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今回紹介いたしますのはこちら。

「サイケまたしても」第1巻 福地翼先生 
小学館さんの少年サンデーコミックスより刊行です。

福地先生は99年にデビューし、01年より初連載作「うえきの法則」でアニメ化を達成します。
その後は体調不良などもあり、短めの連載を休載をはさみつつ数本発表。
14年に本作のシリーズ連載を始めました。

さて、本作はとある事件をきっかけにして主人公が変わっていく作品です、
その事件とは何なのか、主人公はどう変わっていくのか?
衝撃的なストーリーが展開するのです!!


葛代斎下(くずしろ さいけ)、中学三年生。
毎朝洋楽を聞きながら登校するのが日課で、好きなのは黙々と授業の板書をノートに書き留めること。
昼食は一人で、小説を読みながらとる……
そんな毎日を過ごしていたサイケ。
その日は先生と進路についてのお話をすることになっていました。
サイケの進路希望は、他の生徒全員が決めてしまっているのが当然のこの段階においても真っ白。
何かやりたいことはないのか、趣味でも何でもいいんだ、と教師も問いかけるのですが、サイケはそれでも何もないと答えるのです。
そんなとき、先生が手遊びにまわしていたシャーペンが滑り落ち、教室の床と床の隙間に刺さって盾に立ったではありませんか!
ちょっとした奇跡に先生ははしゃぐのですが、それでもサイケの表情は変わりません。
何をしても無感動。
サイケは昔の自分に似ている、始める前から何もかもあきらめてはいないか、一度きりの人生なんだから一つくらい夢中になれるものを見つけないとな、と諭す先生ですが……
サイケはこんなことを考えていたのです。
先生、夢がないやつは人間失格ですか?と。

そんなサイケにも、心が許せる幼馴染がいました。
枸橘蜜柑(からたち みかん)です。
美術部に所属する彼女ですが、今日は美術部の月一回のお休みの日。
サイケに一緒に帰ろうと持ち掛けるのです。
その瞬間、いたずらな風が吹き、蜜柑のスカートをめくり上げました!
おパンティが見られたかと慌てる蜜柑ですが、サイケはそれでも「見たけど何か?」と表情一つ変えないのです!
……そんなサイケに一発鉄拳を叩き込み、二人でハンバーガー屋さんへ。
蜜柑はいまだにサイケの進路が決まっていないことに驚きます。
彼女自身は進路をしっかり見据えています。
絵を描くのが大好きだという蜜柑は美術系に力を入れている女子高に照準を合わせているのです!
……成績的にはちょっと厳しいのですが!!
好きなことのためだから頑張れる、という蜜柑。
その言葉と先ほどの先生の言葉が重なり合い、一層気持ちが落ち込んでしまうサイケ……
そんな気持ちを知ってか知らずか、蜜柑は話題を変えてきました。
三丁目のモグラ池で、「池の上を歩く人」を見たという噂を聞いた、見に行ってみよう!
断る理由もありませんし、サイケは河童じゃないのと言いながらもモグラ池まで付き合うのでした。

モグラ池は人口の溜め池的なもので、作で囲った中に水を湛えています。
水位はだいぶ低く、堕ちると自力で登るのはちょっと大変そうな、危険な池。
とはいえ池のほとりに張られたロープさえ越えなければ問題はないので、二人座って池の様子を眺めていたのですが……間もなく5時半という時間になっても何の変化もありません。
携帯の充電も切れそうになりましたし、そろそろ帰ろうかという雰囲気になったところ……急に蜜柑はこんなことを言うのです。
サイケはスゴイやつなんだからね!と。
昔、蜜柑がこの池に落ちた時、サイケは自分が泳げないにもかかわらず助けに来てくれて、その挙句サイケのほうが溺れてしまったという事件がありました。
サイケにはサイケにしかないいいところがいっぱいある。
幼馴染の自分が言うんだから間違いない!
だからいつかサイケにも見つかるよ、誰にも負けない自分だけのやりたいこと!
蜜柑はそうサイケを励ますためにわざわざ池に来たいなどと言い出したのでしょうか?
のどが渇いたと先に帰路につこうとしていた蜜柑を振り返るサイケ。
すると
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蜜柑の目の前に、暴走したトラックが突っ込んできていて……!!

雨の降りしきる中、サイケは傘もささず一人モグラ池に来ていました。
神様、何であなたはミカンを連れて行ったのですか?
いるかいないかもわからない神様に向けてつぶやくサイケ。
足元に目をやると、蜜柑が身に着けていたキーホルダーが落ちているのが目に入ります。
ここで起きたことが現実であると否応なしに突き付けてくるその事実。
蜜柑には夢があったのに、あいつの未来は希望に満ちていたのに。
連れて行くなら、何一つ持っていないボクのほうだろ!
やり場のない怒り、こみ上げてくる悲しみ……
モグラ池のほとりに突っ伏して鳴き声を上げるサイケ。
降りしきる雨のせいで地盤がもろくなっていたのか、偶然なのか、それとも他の要因があるのか。
あろうことか、そのタイミングでサイケが伏せていた地面が崩落!
サイケはモグラ池の中におちてしまったのです!!
何気ない、いつまでも続くと思っていた日常。
それも終わるときは終わるんだ。
泳げないサイケ、周りに人がいるとは思えないこの場所、この時にこの池に落ちては助からないでしょう。
ですがサイケは、もういいんだとあきらめていました。
挨拶を交わす相手もいない事実に目をそらすために「日課」とうそぶいて続けていた洋楽を聞いての登校。
食事中の読書もそう、自分の現状に目をそらすためでした。
自分が傷つかないように必死で壁を築くだけの、意味のない無駄な一日……
そんな無駄な一日を、今までどれだけ過ごしてしまったんだろう。
薄れ行く意識の中で、サイケは思うのです。
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ごめんね蜜柑、助けてあげられなくて。

サイケが目を覚ますと、自分のベッドの上、時間は午前7時でした。
まさか今までの出来事は夢だったのか!?
飛び起きて蜜柑に電話をかけると、蜜柑は普通にいつも通り!!
安堵してサイケはいつものような無駄な一日を過ごし始めるのですが……徐々に、その違和感に気が付くのです。
自分の周りで話している、生徒たちの会話。
先生の進路指導。
先生の手から滑り落ち、教室の床の隙間に立つペン。
美術部の突きに一度の休みの日だと駆け寄ってくる蜜柑……!!
これはもしかして……いや、もしかしなくても……「今日」をもう一度繰り返している!?
だったらやることは一つです。
神様にもらった二回目の今日。
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もう二度と、無駄にはしない!!!


というわけで、サイケの奮闘を描いていく本作。
この後サイケは何とかして蜜柑の命を救おうとするのですが……
運命を変えるというのは、些細なことならば簡単なようなのですが、人の生き死にのような重大な出来事を変えるというのは困難なのか、なかなか思うようにいきません。
サイケは彼女を救うことができるのか?
今まで逃げて、逃げて生きてきたサイケが久しぶりに真っ向から立ち向かう困難。
その奮闘が実を結んでほしいところですが……

そしていくら何でもヒロインを助ける一日だけで物語が続いていくわけもありませんで、この戦いにはこの第1巻で決着がつけられることとなります。
サイケの苦悩は読み手にもビンビン響いてきまして、蜜柑のかわいらしさも相まって思わず感情移入してしまうこと必至!!
鬱展開に次ぐ鬱展開、それをひっくり返すことができるのか!?
ハラハラしながら読み進められることでしょう!!
そんなサイケの戦いがどう決着するのか!?……はぜひとも読者の皆さんの目で確認していただくとしまして……物語は予想外の展開で第2巻に続いていきます!!
感動必死のエンディング、という感じからものすごい勢いでどんでん返しが巻き起こる怒涛の本作。
これから先も目が離せなそうです!!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!