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今回紹介いたしますのはこちら。

「木倉さんと三人三脚」第1巻 奥英樹先生 
小学館さんの少年サンデーコミックスより刊行です。

奥先生は03年に小学館さんのまんが賞を受賞しデビュー・
数本の読み切りや、「MAJOR」の児童向けスピンオフを連載したのち、09年にサンデー超にて初のオリジナル作品「アップセット15」を連載、足掛け三年、単行本5巻を刊行されました。

さて、本作は高校を舞台にしたスポーツ+ラブコメ物です。
それだけならば世の中には割とあふれている作品なのですが、本作には普通のスポーツ+ラブコメものとは大きく違うところが2つあるのです。
一つはその取り上げているスポーツの種目。
そしてもう一つはヒロインにあるのですが……?


フェンスによじ登り白球をつかもうと手を伸ばす男、宝児。
残念ながらダイレクトキャッチはならず、グラウンドに降りてからボールを拾い上げます。
ランナーはホームを狙っており、できるだけ早く返球しなければならないはずなのですが……宝児は縫い目への指のかけ具合とか、フォームは崩れていないかとか、いろいろ考えてしまってまごついてしまいます。
チームメイトにどやされつつ、ようやく投げたその球は……すさまじい勢いで、ダイレクトにホームへ……いや、ホームを越えてはるか頭上のフェンスに直撃しました!!
……フェンスにのぼった素早さと良い、鋭い球筋と良い、身体能力が高いことは間違いなさそうな宝児ですが……
花から野球は向いてないと言っているじゃないか、と捨て台詞を履いて去っていってしまったあたり、コントロールや協調性がないタイプなのでしょうか……?

そんな宝児に突然、一人の少女が声をかけてきました。
彼女の名前は木倉華。
なんだか気弱な印象を受ける彼女、宝児の親友である大御門は面識がある様ですが……
彼女は単刀直入にお願いしてきます。
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陸上部に入ってくれないか、と!!

部活に入って、男女一緒に練習をすれば恋人なんかもできるかもしれない!
そんなある意味高校生らしい願望を胸に抱いていた宝児、彼女の言うがままに着替えて運動場に向かいます。
なんだかよくわかりませんが、大御門は彼女はやめておいたほうがいい的なことをほのめかすのですが……
しばらくたつと、やってきました木倉さん。
彼女は右手に何やら長い棒のようなもの……槍、を携えています。
ですが彼女からは、その槍なんかよりももっと大きな違和感が感じられます。
先ほどまでは、内気でおとなしい、というイメージしか感じられなかった彼女。
槍を持って出てきた途端、男っぽい言葉遣いの粗野な感じにキャラチェンジしているのです!!
槍を持ったらキャラが変わる……これが大御門がいい顔をしていなかった理由なのでしょうか?
しかし木倉さんはそんなことお構いなしでどんどん話を進めていきます。
そこにやりがあるから投げてみろ。
お前なら「最高のスロワー」になれる!!

少し変わって入るものの、かわいいのは確か。
槍を投げたら仲良くなれるのかもしれない……
そんな皮算用を頭で進めている間に、木倉さんはさらに話を進めていきます。
まあ普通見たことないだろうし、手本を見せてやる。
今日一緒に帰ってやってもいいから。
……皮算用は口に出ていて、どうやら聞かれてしまっていたようです!
そして木倉さんはやりを持っておもむろに駆け出し……
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力強く槍を投擲!!
そのやりは鋭く飛んでいき……30メートルはとんだだろうか、というところで地面につき立ったのです!!
思っていたよりもはるかに遠くに飛んで行った槍に驚いた宝児、素直に感動して木倉さんに駆け寄っていくのですが……
木倉さん、今までの態度が嘘のように、おとなしい感じに様変わり!!
まさか本当に槍を持つと性格が変わるというキャラを演じているとでもいうのでしょうか。
それはなんといいますか……痛いというかといいますか……!
木倉さんはそこにはつっこまれたくないのか、とにかく宝児君も投げてみてと槍を渡してきます。
アドバイスを求めるつもりで何か一言ないかと尋ねてみる宝児ですが、木倉さんは迷った末に一言こういうのです。
「がんばって!!」
……そう言うことではないが、かわいいからよし!
槍を持ち、駆け出す宝児!!
さっきの木倉さんのフォームを思い出しながら走ろうとするものの、予想以上にやりを持ったまま走るのは難しく……
渾身の力を持って投げた槍は、ぐるぐると回りながら飛び、すぐ近くの地面に落ちてしまったのです。
おまけに宝児本人は地面に倒れてしまい、全然恰好が付きません!
いつの間にか再び槍を持っていた木倉さんにダサいと笑われてしまう宝児ですが……何かの手ごたえは感じたようです。
もう一回投げれば、もっと。
そんな宝児を見て、木倉さんは……
よし、じゃあもっと気合入るように
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うまく投げられたら、ご褒美、ね。
上着をはだけてそう言ったのでした!!


というわけで、とんでもないくらいひょんなことから槍投げに挑むことになった宝児。
肩の強さはとんでもないものの、基本的にはそれだけで、何かを投げるときにいろいろと考えすぎてしまうためにスポーツ全般に向いていない彼ですが……
そんな彼を見染めた木倉さんの審美眼はどんなものなのでしょうか!?
スポーツに向かないと思われていた宝児が、ついに日の目を見るのか……?
そんなことよりも気になるのはやっぱり木倉さん本人の問題です。
槍を持つと人格が変わる。
漫画だからそのくらいあってもいいじゃない、と言ってしまえば身もふたもないわけですが、それにしてもこうなるには理由があるはず。
物語はもう少し進むことによって、その謎が明かされるのですが、その真実は意外すぎるもので!?
やり投げと木倉さんとの出会いにスポットライトを当てた前半とは打って変わり、今巻後半では物語の最終目的のようなものも明示されることに。
木倉さんのキャラに秘められた秘密とは?
なんだかんだ可愛らしい木倉さんのハートを射止めることはできるのか?
あと、やり投げで宝児の力は開花するのか!?
やり投げ+人格変化ヒロインというマイナーハイブリッドラブコメ、今後の展開やいかに!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!