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今回紹介いたしますのはこちら。


「フードンビ」第1巻 栗原正尚先生 
集英社さんのヤングジャンプ・コミックスGJより刊行です。


栗原先生は高校在学中にプロデビュー、その後空白期間を経て週刊少年ジャンプやビジネスジャンプの漫画賞、そして手塚賞で佳作を受賞し再デビューした漫画家さんです。
代表作は00年の連載開始から今までタイトルを変えて仕切り直しながら続いている「怨み屋本舗」シリーズ。
現在も「怨み屋本舗」シリーズは続いていますし、ヤングチャンピオンで「神アプリ」を連載中で、その上本作を連載と、精力的に活動されております!!

さて、本作はゾンビものです。
ゾンビものと言えばホラーに分類されるもので、本作ももちろんホラー漫画のジャンル分けされるでしょう。
ですが栗原先生の持ち味と言えば、やはり登場人物の心理的な駆け引き。
本作でもそれは発揮され、ホラーでありながらサスペンスでもある作品になっているのです!!


外界とは道路一本でしかつながっていない、埋め立て島、希望島。
そこに聳え立つ、巨大通販サイトの倉庫で柏木春人はバイトをしています。
趣味はキックボクシングと読書、という彼には、ちょっと変わった特技もありました。
それは、見ただけでその人物の体重がぴったりとあてること!
その特技を生かして、職場のアイドルである水沢にアプローチをかけるきっかけを作り、体よくデートの約束を取り付けることに成功。
柏木はウキウキ気分になるのですが、そこでちょっかいを出してきたのが正社員の芥山です。
どうやら水沢を狙っているらしい芥山は、自分が手を出せない女性と難なくデートまでこぎつけた柏木が許せないようで。
正社員という立場を利用しつつ、もし暴力なんてふるったら裁判をおこしてやる、と方をちらつかせつつ芥山をいじめるのです。
なにせ芥山、自他ともに認める不細工でふとっちょさん。
その上柏木のようなさわやかイケメンが大嫌いというゆがんだ性格までもっていまして、とにかく柏木を目の敵にしていたのです!

お昼休み、水沢は女子たちで集まって昼食をとるとのことで、一緒にどうかと柏木も誘われたのですが、柏木はキックの試合が近くて減量中。
売店で栄養補助食品を買って食べるよとそのお誘いを断るのですが、同時に断れないお誘いも受けてしまいます。
芥山です。
芥山は柏木に話があるから来い、と返品検査室に呼び出しました。
一応相手は上司と言っていい正社員、断ることもできずそこへ向かうと……芥山とその取り巻きのバイトが、本来飲食禁止のはずの返品検査室でお昼をとっていました。
とはいえ芥山は出社前に無料券があったから牛丼を2杯食ってきた、とおなかをさすって食事をしていませんでしたが……
ともかく問題は芥山の「話」です。
それはなんと、水沢と口を利くな、というわけのわからないものでした。
水沢に目を付けたのは俺が先だ、金のない大学生のお前より、年収500万の俺と付き合うほうが幸せなはず。
大体俺ですら携帯のアドレスも知らないのに。なんでお前が?
バイトのくせに生意気だぞ!
……なんだかむちゃくちゃにもほどがある言い分に、もはや理解することもできない柏木……
おまけに芥山たちは、冗談とも本気ともつかない口調で水沢は俺たちの共有物にするんだ、ととんでもないことを言う始末で。
柏木は警戒心を強め、芥山たちの様子を注意深くうかがうのですが……
そこで柏木は奇妙なことに気が付きます。
弁当を食べていた芥山の取り巻きの一人の……体重が、増えている?
なんだか様子のおかしいその男、突然虹彩に十字型の傷のようなものが浮かび上がったかと思うと、机の上にバタンと倒れこんでしまったのです!!
芥山はその様子を見て、あろうことかまず自分の保身をしようとします。
ここで食事をしていたことがばれてはまずい、そもそも俺は食べてないからお前らだけで処理しろ!と、倒れた男の体の心配もせず……
原因はやはり今食べていた弁当でしょうか?
急に体重が増えたのも、倒れたのも、あの弁当が原因……?
そんなことを考えていると、突然倒れたはずの男が起き上がり、
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心配して近寄ってきていたもう一人の取り巻きの男に噛みついたではありませんか!!
噛みついた相手の肉を貪り食らうその男、もこもこと筋肉を隆起させ、より一層体重を増加させながら立ち上がり……
今度は柏木たちのほうに襲い掛かってきます!!
これはまさか……ゾンビ!?
柏木は得意のキックボクシングでゾンビを攻撃するものの、やはり決定打にはなりません。
このままではまずいというところで目に付いたのは……返品されたアイロン!!
そのアイロンのとがった先端で、思いっきりゾンビのこめかみを殴りつけると……ようやくゾンビは活動をやめました。
重量があり、先端の鋭いアイロンで殴りつけたおかげで脳が破壊されたおかげのようで。
ここも映画に出てくるゾンビのようですが……
柏木は、自分の手で人を殺してしまったショックと、目の前で繰り広げられた惨劇のダブルショックで思わず嘔吐してしまいます。
芥山はそんなときでも、相手はゾンビなんだから最初っから頭を狙えよ!と高圧的……
一旦の脅威は過ぎたかと思われたものの、やはり相手は映画に出てくるようなゾンビに近い存在だったようで。
先ほど噛みつかれた法の男も起き上がり、柏木たちに襲い掛かってきたのです!!

なんとかその場は乗り切ったものの、返品検査室を出た廊下でもゾンビが幅を利かせています!
気が付かれないうちにそっと逃げようとするものの、芥山は自分が助かるために携帯していた防犯ブザーをひそかに柏木の懐に忍ばせ、作動させます!!
その音でゾンビたちが柏木を狙ったその隙に、自分は逃走!!!
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クズ・オブ・クズの芥山のせいで、柏木は早くも大ピンチに陥ることになってしまったのでした!!

一方、水沢も友人の知的系の女子須永とともにお昼を食べていたのですが……
そこでも、一人の男が突然ゾンビに!!
いや、一人の男だけではありません。
何名かの、ある共通の食材を食べているものだけがどんどんと倒れ、ゾンビになっていったのです!!!
この事態は一体何なのでしょうか!?
水沢と須永は突如ゾンビのるつぼに放り出された形になってしまいました!!
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果たして二人はこの場を脱出できるのでしょうか……?


というわけで、幕を開けた栗原先生が手掛けるゾンビもの。
食べ物を食べたせいでゾンビになるということで、「フードンビ」と呼ばれることとなったゾンビたちの脅威から逃げ出す……と言うのが最大の目的ではある本作。
何でもあるからという理由でショッピングモールが舞台になることが多いゾンビものですが、その代わりの舞台として現代ならではのなんでもある場所として巨大通販サイトの倉庫を選んだのは流石栗原先生といったところでしょう!!
とはいえショッピングモールよろしく倉庫内にはなんでもあるとはいえ、その道のりはやっぱり困難そのものです。
爆発的に増えていくフードンビもそうなのですが、なんとっても脅威はザ・クズの芥山!
彼の存在が、物語に大きな大きな混乱を巻き起こすことになるのです!!
さすがはクズを描かせれば一日の長がある(?)栗原先生、芥山の心底クズな性根はもう見ていてすがすがしくなるくらいです!!
さらに本作には、物語を左右しそうなもう一人のクズがおりまして。
これからも多くの人物がフードンビの毒牙にかかっていくでしょうが、二大クズがどれだけその呼び水となるのかも気になる……かもしれません!!

そしてこの後も新キャラなどが登場しつつ、フードンビの謎に迫っていきます。
なぜ食事をするとゾンビになってしまうのか?
その原因となる食材は?
感染に存在するあるルール。
数々の謎に加え、芥山の企みなども絡んできて物語は複雑になっていくのです!!
ゾンビものと言えば絶望的な状況からくる悲壮感がつきものですが、栗原先生の作風もあってそう言った感覚はほとんどなし。
希望島外がどうなっているのかはまだわかりませんが、とりあえずは現状の事象に注視していてよさそう。
とりあえずはその二大クズの動きと、フードンビ発生の元凶の謎、対フードンビのバトルを楽しみましょう!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!