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今回紹介いたしますのはこちら。

「おどろ領域ナユラ」第3巻 黒谷宗史先生 
幻冬舎さんのバーズコミックスより刊行です。

さて、ナユラを狙う狂暴な悪霊、カシマレイコの存在が明らかになった前巻。
さらに例は人と相いれないからすべて滅ぼすべきと言う過激な考えを持つ少女、白百合アンリも登場。
ナユラとは分かり合えないかとも思われましたが、なんだか彼女はナユラになついてしまいます。
物語の真相にも徐々に近づきつつある本作、今巻でとうとう……!


凶悪な怨霊、カシマレイコの目的。
それは、ナユラの腹の中に潜む御扉髏神(おどろがみ)を生み出させることでした。
おどろがみはカシマレイコの子供でもあるのですが、破壊衝動によって狂い、今や破壊衝動だけの存在となってしまっています。
が、ナユラはカシマレイコと「共存」するには、この子供を返してあげるのが一番ではないかと考えるのです!
そして、カシマレイコが潜んでいるのは大杜島だとわかるや否や、ナユラは乗り込むことを決意しちゃったのです!!

紆余曲折あり、苦心して大杜島にたどり着いたナユラとアンリ、そして漆葉。
ですが島にたどり着くや否やカシマレイコの魔手が伸び、ナユラがいきなりいずこかへと連れ去られてしまったではありませんか!!
ナユラの耳元で、カシマレイコは囁き続けます。
ようやく帰ってきたわねナユラ、お前の友達は私たちで十分よ。
これからまたたくさん遊びましょう。
カシマレイコと話をしたい、とナユラがきりだしても、彼女たちは聞きません。
いまさら何を話すというの?お前は私たちの言うことをずっとずっと聞いていればいいの。
お前はこれからここでずっと私たちと生きるの、お前たちを愛しているのは私たちだけなのだから……
フラッシュバックする、ナユラの過去の記憶。
霊能の家系である白百合家と墨百合家。
その血筋の両親から生まれたナユラは、生まれつきとんでもない霊能力を備えていました。
その力のせいで、どんどんと悪霊をひきつけ続けるナユラ。
両親だけでは手に負えなくなり、やむなく祖父に相談することにしました。
ですがその道中で事故に巻き込まれ、両親はなくなってしまったのです……
両親は、ナユラのせいで死んでしまった。
……ナユラは、望まれた子ではなかったんだ。
でも安心なさい、私たちだけはお前を本当に愛している。
お前のおかげであのお方の子は生まれることができる。
お前は人と霊の垣根をなくすために生まれてきたの……
続けられる悪夢の囁き。
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ナユラはあまりにも悲痛すぎる現実を突きつけられ、顔面を蒼白にしてしまうのです……!

その頃、ナユラと分断されたアンリと漆葉も、窮地に立たされていました。
突如として激しい頭痛を感じる漆葉。
その頭痛の中で、漆葉の名前を呼ぶ声が聞こえてきました。
後ろを振り向くと、そこにいたのは彼の両親。
その両親は、口々に漆葉に対して怨嗟の声を履き続けるではないですか。
もうこれ以上私たちを苦しめるのはやめてくれ。
毎日毎日一人でぶつぶつ言って、友達も作らずいつも一人で。
喜色悪い、もうどこかへ行ってくれ!死んでくれ!!
……こんなところに彼の両親がいるはずがありません。
間違いなく幻なのでしょうが、だとしてもこの本音かもしれないと感じてしまう言葉の与えるダメージは甚大でしょう……
そして、アンリも悪夢を見せられていました。
彼女の目の前に現れたのは、可愛い可愛い……もうなくなったはずの弟。
さっき霊と友達になったんだ、霊にもいいやつはいる、退治しないなら姉ちゃんにも紹介するよ!
そう言って駆け出す彼の後を追っていくと、そこに待っていたのは
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弟がその友達になったはずの霊に食い殺さるというむごたらしい結果だったのです!
女の肉を食うために、エサにした……
これが過去実際にあったことで、アンリに礼を絶対に許さないと決意させた事件……
再び目の前で繰り広げられた惨劇。
悪霊に食い散らかされ、ごろりと転がった弟の首をみて、アンリは呆然としながらもその首に手を伸ばすのですが……!!
その時、後ろから漆場に抱き留められらアンリ!
正気に戻ると、アンリは崖っぷちに立っていました!!
あのまま首に手を伸ばしていたら、断崖絶壁の下にまっさかさまだったことでしょう……
漆場は以前、悪霊によって両親の幻を見せられ、今のアンリと同じようにがけに落とされそうになったことがありました。
その時はナユラに助けてもらったのですが……人生何が功を奏すかわからないもので、悪霊の両親を使った精神攻撃に慣れてしまっていたのです!!
二人はこうして命を拾うことができましたが、何せここはカシマレイコのおひざ元。
警戒しながら先に進むと、そこにいたのは……
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いきなりのカシマレイコ!?
二人の前にいきなり登場したラスボス!!
このだしぬけの大ピンチから二人は逃れることができるのでしょうか!?
そして、同じく追い詰められたナユラの前に現れるのは……!?


というわけで、とうとう完結となる本作。
ナユラとカシマレイコと廻因縁の数々が明らかとなり、物語はどんどんとクライマックスへ!!
霊との共存を願い続けるナユラ。
そんなことはできるはずがないと霊を見れば即けしにかかるアンリ。
そしてそれを裏付けるかのように、狂暴な我欲のままに動くカシマレイコ……
それぞれが体験した悲しすぎる過去は、それぞれを違う目的へと走らせます。
果たしてその中のどの考えが正しいのか……?
決着をつけるときはやってきてしまうのです!!

クライマックスということで、第2巻までのメインだった一話完結型のホラーコメディの姿はほぼありません!
物語の様々な謎に切り込んでいき、一直線にフィナーレへと突き進んでいくシリアスメインのストーリーが展開!
ギャグを交えつつも、本作のもう一つの持ち味であるおどろおどろしい描写をふんだんに盛り込み、読み応えある内容となっています!
クライマックスにはショッキングな展開も待ち受けておりまして、最後まで驚きを与えてくれる物語も見逃せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!