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今回紹介いたしますのはこちら。

「囚人リク」第21巻 瀬口忍先生 
秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

さて、いよいよ脱獄作戦が決行された本作。
ですが何事も思い通りにはいかないもので、作戦は一部が失敗。
しかもその一部の失敗に気づいた看守がおり、脱獄作戦が一気に看破されてしまい、リクたちは非常階段内に閉じ込められてしまう形になって……?


屋上のヘリポートへの出入口はロックされてしまい、下からは完全武装の看守たちが大挙して押し寄せてくる。
さらに先行してやってきている二人の看守は銃を持ってリクたちに狙いをつけており、動くこともままなりません。
もはや手の打ちようがなくなった一同は、怪談の途中に座り込んでしまいます。
リクは大の字になって寝そべり、涙を流すばかり……
あれだけ苦労して準備を続けてきて、さらにこの仕打ち。
辛いことばかり、悲しいことばかり、苦しいことばかり。
自然に様々な感情がこみ上げてきて、リクは「何でそんなにいじめるんだよ!」と絶叫してしまいます。
そんなときに頭をよぎるのは、やはりやさしかったおじさんの姿。
オジサンは最後の瞬間まであきらめなかった。
鉄砲を向けられても、最後まで戦った。
だったら俺も……
涙を流しながら、あきらめずに最後まで戦う、と踏み出そうとするのですが、それはすなわち銃で狙撃されに行くのと同じことで。
無駄に撃ち抜かれに行くのか、とレノマに止められるものの、それでもリクはじっとしてるだけなんて嫌だ、と先に進もうとして……
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その様子を見た椿は、思わず立ち上がってしまいます。
何の策もない、怖いはずなのに、屈服したくないという思いだけで立ち上がれる。
そんなリクの想いに中てられ、じっとしているのは嫌だと動いてしまったのです!!
その瞬間、小柄なリクとちがい、椿が動いたのは下で銃を構えている看守からも見えた様で、牽制の射撃が行われてしまいました。
ですが椿は、その瞬間に何かに気が付いたようで……
田中に、依然話した屋上の構造を覚えているか、と質問。
覚えていることを確認すると、椿は
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非常階段から飛び降りたではありませんか!!
もちろん自殺や、無謀な陽動ではありません。
ネクタイをほどき、非常階段の中央に設置された柱に巻き付け、落下の勢いを殺し……銃を構えている看守のもとへ瞬く間に降り立ち、蹴り飛ばしてしまったのです!!
そしてその看守を盾にして、じわじわと怪談を移動し始めます!!
仲間が盾になっていては、さすがの看守も狙撃はできません。
膠着状態になったところで、椿はリクに語り掛け始めます。
お前がいなけりゃあきらめるところだった、やっぱりお前は大したリーダーだよ。
そう言うと椿はノックアウトとした看守のこしにぶら下げられていた手りゅう弾をもぎ取り、リクたちのほうへと投げたのです!!
それを受け取った田中とレノマに、椿は叫びます。
屋上は、唯一窓がある!
あそこならその手りゅう弾で爆破できる!!
早く屋上へ、エレベーターの別働隊に先回りされたら終わりだ!!
確かにその通りですが、今のもう一人の看守の射撃を妨害しなければいけない状況では、椿も一緒に屋上を目指すということはできません。
……椿は、ここで一人残るつもりなのでしょうか……?
リクはそれに気が付き、何一人で勝手なことしてるんだ、一緒に脱獄するんじゃないのか!?待ってろ、俺もそっちに行く、と声を張り上げるのですが……
リクはレノマによって壁にたたきつけられ、それを阻止されてしまうのです。
わかんねえのか、椿の男を無駄にするな。
俺たちがすべきことは、屋上を突破してヘリを用意し、アイツを待つことだ。
険しい顔でそう冷静に語るレノマ。
……その表情から、リクは今しなければならないこと、そして椿の想いを痛いほど思い知るのです……

その様子を憎々しげに見つめている、もう一人の看守。
この脱獄作戦を看破したのもこの看守で、その手柄を自分の物にできるとほくそ笑み、自ら先行して一同を追い詰めたのもこの看守自身の意思です。
そして実際にあそこまで追い詰め、この極楽島での輝かしい未来に、すぐそこまでというところまで近づいたはずでした。
ですが、リクの一言で一気に一同に生気が戻り、瞬く間に状況が悪くなってしまったわけで。
リクとやらのせいで、そいつの諦めの悪さのせいで……余計なことを!!
怒りに燃えた看守は、せめてリクだけでも始末しようと銃を構えます!!
が、その銃身は構えたサキからはじかれてしまうのです!!
そうはさせない、と椿が看守の銃を撃ったのでした!!
振り返らず入る一同を、そうだ、それでいいと見送る椿……
ですが、椿もここで死のうというつもりなどありません!
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いとしい妹、美雪の元に戻るため……こんなところで俺は死なない!
看守に向けて銃を構える椿……!!
屋上に向かうリクたち、そして今も屋上に向けて進んでいる別働隊の乗ったエレベーター!
もはや時間はありません。
リクたちは間に合うのか。
そして、椿は……!?


というわけで、椿の戦いを描く本作。
脱獄作戦にいきなり立ちはだかった関門に挑むのは、椿でした。
スラムで生き抜いてきた武闘派の椿ですから、本来ならば看守の一人くらい簡単に「片付けられる」でしょう。
ですが、リーダーであるリクの誰も殺さない、と言う流儀は絶対です!
なにせ今こうして立ち上がって戦えているということが、そもそもリクの意思の力によるものなのですから!!
時間はなく、こうして見合っている間にもタイムリミットは近づいてきています。
椿は看守を倒し、一同に合流することができるのでしょうか!

そして屋上に向かった一同もまだまだ安心はできません。
手りゅう弾があればヘリポートに出ることはそれほど難しいことではないでしょう。
ですが問題はそこからです。
別働隊が駆け付けるまでに、ヘリを奪えるのか?
椿を待つ時間はあるのか……?
さらに、一同には見えていない落とし穴がまだある可能性も……!
脱獄編、まだまだ目の離せない展開が続きます!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!