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今回紹介いたしますのはこちら。

「不死(しなず)の猟犬」第2巻 八十八良先生 
エンターブレインさんのビームコミックスより刊行です。

さて、人間が「不死」であるのが当たり前の世界で、「ベクター」と呼ばれる存在を逃がす仕事「逃がし屋」をしているリン。
ベクターとは死の概念が存在しているいわば普通の人間で、ベクターと不死の人間が愛し合うことによって不死の人間も死ぬようになる症状、「RDS」が発症する……
自分も死の概念のあるベクターであるリンは、警察組織の内部にもぐりこんでスパイ活動も同時にしていたのですが、逃がし屋の長で「ママ」と呼ばれている人物から、こんな指令を受けてしまうのです。
彼女の警察の上司であり、鋭い感覚で逃がし屋に迫る警部補、剣崎をRDSにして殺せ。
人を愛したことも愛されたこともないというリンは、この命令に困惑するのですが……


今晩空いてますか?
だしぬけに剣崎に持ち掛けるリン。
基本的に仕事以外興味のない剣崎は、そのお誘いを受けて部下の若林に目くばせをします。
懇親会の類か、だったらみんなでパーッとやったほうがいいね、と盛り上げようとするのですが、それはリンの目的とは大きく離れているわけで。
待ってください、何故みなさんが来られるのですか?とストレートに懇親会を否定。
そこでようやく剣崎は、リンが自分と一対一で会いたいと言っていることに気づきます。
いいだろう、8時には出られる、とあっさりOKした剣崎。
なんだかっという間に決まった……デートにしか見えない約束。
可愛らしいリンを少し狙っていた若林、どうして可愛いリンちゃんがあんないつも眉間にしわを寄せている剣崎を選ぶんだ!?と納得いかない様子!
さっと切り替えて、後日僕とも食事に行こうよ!とさわやかスマイルで誘ってみるのですが、リンは「あなたは私のターゲットではありません」とこれまたストレートに断られてしまうのでした。
そんなところで、急な一報が舞い込んできます。
捜査中のベクターを取り逃がした、応援が欲しい、と……
同僚の女性軍は、今日はどうも無理そうだけど、また次があるよと慰めてくれました。
リンは、まだチャンスはあります、とその言葉を冷静に受け止めるのですが……ひそかにその手には携帯が握られていました。
逃がし屋の仲間である切子に向けてのメールが作成されていて……?

逃げていたのは女性ベクター。
ですがこの世界の人間とちがって「死ぬ」人間である彼女が、銃器を持った「不死」の人間二人におわれている……
そんな状況で逃げ切れるはずもなく、あっさりと確保されてしまいました。
が、警察官が応援を要請しようと無線を手にした瞬間、その無線を持った手が吹っ飛ばされます!!
彼女を逃がしに来た……切子です!!
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切子はマシンガンを乱射しながら駆け寄り、警官たちの腕や足を吹き飛ばして無力化!!
すかさず彼女を奪還したのでした!!

切子はこの仕事が逃がし屋としての初仕事。
張り切っているためか、リンの他のチームの応援を待てと言う指示を無視し、どこにも応援を要請せず自分だけで仕事をこなそうとしています。
こちらも最近逃がし屋の補佐を務めるようになった香田に、あとはあんたが私たちをピックアップすれば任務完了だ、こんなのスーパー切子ちゃん一人で充分!と自信満々で言いきるのです。
もちろんそんな自信だけでなく、事件のたびに仕事を早退していたらリンが疑われるだろう、という老婆心もほんのちょっぴりとはいえあるのですが……
それでもやっぱり切子の中で一番大きなウェイトを占めているのが、様々な人物から逃がし屋として高い評価を受けているリンへの対抗心!
そりゃあ銃器の扱いはリンのほうがちょびっとだけ上だけど、総合力ではハイパー切子ちゃんが断然上なんだから!
……確かにその漲る自信通り、手際よく警察を無力化していくのですが……その快進撃もすぐに終わりを迎えてしまいます。
現場にたどり着いた剣崎が、指揮をとり始めたのです。
その変化は、切子にも察知できるほどのもの。
さっきまで突撃バカな警官ばかりだったのに、何で急に方位を狙ってくるんだ……?
イライラしながら迎え撃っているものの、香田の車は一向に到着しません。
どうやら車が妙に混んでいるようで、まだまだ到着までかかりそうなのです。
警官は攻め手を変えてくるし、車は来ないし、逃がす対象のベクターは目の前で繰り広げられる銃撃戦や必死の逃走で気分を悪くしてしまっていますし……
度重なるあれこれに、切子はイライラを爆発させてしまいます!!
勝手に出撃して失敗でもしたら、また「ママ」から大目玉だ!!
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怒りを爆発させる切子に、女性ベクターはおずおずと提案してきました。
会社の人が言っていたが、遠回りでも川をぐるっと迂回したほうが、混む時間帯では早くなるらしい。
……ですがその提案には不安も残ります。
川を迂回するということは、橋を渡らなくてはいけないということ。
ですが橋と言うのは、襲われたら逃げ場のない危険地帯でもあるのです。
少し考えたのち、切子は……

車で拾うなら、川の向こう側……そう仕向ける。
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剣崎はそう考えていました。
今までの一連の流れは、すべて剣崎の策略だったのです。
そして切子が懸念していた通り、橋の上で一網打尽にする夫人を組んでいて……
そんな剣崎のもとに現場からの連絡が入りました。
逃がし屋が包囲を強襲、橋と反対方向に向かう模様!!
……その知らせを聞き、剣崎は自分の目論見が実を結んだことを確信します。
これは陽動……逃がし屋は、橋に来る。
念願であった逃がし屋の捕獲が目の前に来たというのに、剣崎の顔は曇っていました。
こんな簡単だったか?逃がし屋ってのは。

……陽動が実を結んだと思い込んでいる切子とベクターの女性は、誰もいない道を走っていました。
そしてたどり着く……問題の、橋。
二人は何も知らずその端に急ぐのです……!!


というわけで、物語がどんどんと進んでいく本作。
この事件を終えた後、物語は剣崎とリンのある契約をメインに進んでいくこととなります。
剣崎をRDSにして殺すという目的があるリン、そしてリンが何かを知っていると踏んで情報を引き出そうとする剣崎。
お互いの急所を探り合う二人は……?
そして剣崎は、徐々にこの世界の謎に迫っていくことになります。
ベクターとは何なのか、RDSとは?
物語の深淵に迫ることとなる剣崎ですが、俗にいう「知りすぎた」状態にならなければいいのですが……
リンと剣崎、果たして二人の行く先に待っているものは!?

さらにこの後、新たなベクターも登場します。
今までとは一風違った行動をとるそのベクター、物語に波紋を起こすことは間違いなさそう。
更なる混迷を迎えることとなりそうな本作……今後の展開からも目が離せませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!