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今回紹介いたしますのはこちら。

「サイケまたしても」第2巻 福地翼先生
 
小学館さんの少年サンデーコミックスより刊行です。

さて、言い訳続きの人生を送ってきたサイケが、自分に秘められた「モグラ池でおぼれるとその日の朝7時に戻る」と言う能力に気が付き、奮闘する本作。
運命を変える難しさに負けず、死ぬ運命にあった蜜柑を救うことができたのですが……そんなサイケの前に突然、「お前は能力者だろう」と声をかけてくるこわもての男が現れて……?


道路をてんてんと転がるボール。
ボール遊びをしていた子供が手から落としてしまったようです。
慌てて追いかける子供、お母さんがお友達と談笑中で、我が子が駆け出していることに気づいていません。
ボールを追って、曲がり角に差し掛かる子供……その時、子供が差し掛かっている道路には、高速で走る車が迫っていて……!!
このままでは轢かれてしまう!!
そんな瞬間、子供の胸をポンと抑える手が。
車はボールを撥ね飛ばし、そのまま直進……
子供は無事です。
その手を出してきた人物は、サイケ。
子供に気を付けてねと声をかけると、登校時三つ目の案件クリア、と携帯でなにやら確認して歩き去っていきました。
……これが、今のサイケの日課です。
自らをヒーローと称し、毎日起きるこの街でのトラブルを未然に防ぐ、そんな活動。
今まで何のとりえもないと思っていた自分に、神様がくれたボクの唯一の才能だ、だからこの能力は人のために使おうって決めたんだ。
そんな決意を元に、そのあともクラスメイトが大事な花瓶を割ってしまった、というトラブルを未然に防ぐため、サイケはモグラ池に飛び込むのです。
……ニコニコしながら、クラスメイト達をそれとなく助けていくサイケ。
以前の、孤高を装ったぼっちだったサイケとは違う、余裕を感じさせる最近のサイケを見て、クラスメイト達はこんな感想を抱きはじめました。
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なんか、かわったよなアイツ。

サイケの通う学校からそう遠くない場所にあるコンテナ置き場。
その一つのコンテナの上で、全身黒づくめの長髪の男と、金髪のこわもての男が対峙していました。
どうして俺が「能力者」だとわかった?
さてはてめぇだな、最近噂の「同属狩り」ってのは。
長髪の男はそんなことを言いながら、長い棒を振り回しつつこわもての男に近づいていきます。
どうやら彼らは二人とも、サイケと同じような、超常的な能力を持っているようで。
長髪の男は、せっかくこんな力を得たのに、力を得たものどうしてつぶし合っても仕方がない、一緒に組めば面白いことができるんじゃないか?とこわもての男に話しかけるのですが……
こわもての男は、それは無理だときっぱり言いきったのです!

俺は、生まれてこの方「面白い」と感じたことが一度もない……から。
これはゲームだ、俺に勝てたら能力者の見分け方を教えてやる。
さあ、俺を楽しませてみろ。
そう言って、手招きをするこわもての男……
長髪の男も、理解したようです。
なるほどそう言う人種か……俺もだよ!
その台詞を言い終わるが早いか、棒を振り下ろしてくる長髪の男!!
こわもての男は紙一重で避けた……はずだったのですが、こわもての男の額から鮮血が飛び散ったのではないですか!!
再び振るわれる長髪の男の棒!
こわもての男は、今度はそのインパクトのギリギリまで棒を凝視……すると、なんとその棒はヒットする直前、L字型の枝のようなものが生えだしたではありませんか!!
これが長髪の男の能力「分裂能力(ジェミニ)」!!
その棒を凝視していたこともあり、もはや回避は不可能。
今度こそ、先ほどのようなかするだけではない、クリーンヒット確実!!
事実、こわもての男は避ける間もなくその棒を顔面にもらうこととなったのですが……
避ける間もない、と言うのは誤りのようです。
直撃した「鉄の棒」は、
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こわもての男の頭を砕くどころか、逆にぽっきりと折れてしまったのですから!!
どうやらこれがこの男の能力のようです。
「硬化能力」ではないというのですが……
長髪の男はそんなことは知ったことではないとばかりに、今度は自分の手を分裂させて、日本の右腕で殴り掛かっていきました!!
後ろに飛んでそれを回避するこわもての男ですが、すでにそこはコンテナの隅。
すでにこの時点で、長髪の男はこわもての男をコンテナの隅に追い詰めていて、逃げ場を奪っていたのです!!
後ろにはねた先には、足場はありません。
高所から落下して、こわもての男のノックアウトは間違いなし……
かと思いきや、こわもての男はなんと地面を砕きながら着地し、無傷で済んでいるではありませんか!!
しかも後ろにはねた瞬間何かの能力を使って、長髪の男が立っていた部分を切断していました!!
長髪の男は、足を4本に増やして着地するものの、それでもすぐには動くことができない痛みが襲ってきて……
祖の足じゃ動けないだろ?
こわもての男は、工事用の巨大な鉄パイプを担ぎ、長髪の男にたたきつけるのです!!

やはり「面白い」を感じなかった、と街を歩くこわもての男。
そこで、人助けをしているサイケを見かけます。
とある方法で「能力者」を見分けることができるこわもての男、当然サイケが能力者だということもわかるのですが、彼が何よりも気になったのが、「能力を使って人を助けている」ということ。
そんな能力者、今まで一度も見たことがないぞ?
なにかの寒気にも似た何かを感じたこわもての男は、サイケを見てこう考えました。
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狩ろう、こいつ。


というわけで、第1巻のタイムリープものらしい展開から一転し、能力バトルものとなる本作。
ですがそこは流石の福地先生、本作ならではと言っていい能力バトルを展開します。
紹介分でも出てきたように、登場する能力者は武器や体の部位を増やすものや、鉄の棒を追ったり重い鉄パイプを担いだりできる、能力バトルものらしい能力を持っています。
ですが主人公であるサイケは、モグラ池でおぼれるとその日の朝7時に戻れる、と言う、とてもじゃありませんが先頭に向いているとはいいがたいものです。
だからと言ってサイケには、バトル漫画の主人公のような、屈強なカラダとか、卓越した戦闘技術もないわけで。
主人公らしい能力として持っているのは、正義感とくじけない心、これだけ。
朝7時に戻る力と、正義漢、くじけない心。
その三つだけで、バリバリの戦闘向け能力者達と渡り合っていくのです!!
福地先生と言えばデビュー直後の出世作から能力バトルですから、能力バトルに関してはお手の物と言えます。
そんな福地先生が描く、新しい能力バトルの形が楽しめますよ!!

そして次巻から再び新シリーズへ入っていくようです。
協力ではあるものの戦い向きではない能力者のサイケがいかにしてこれから戦っていくのか……?
もしかすればこの能力バトルもまた次巻から形を変える可能性もありますし、今後の展開に期待せざるを得ませんね!!