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今回紹介いたしますのはこちら。

「いぬやしき」第3巻 奥浩哉先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。

さて、ある事件をきっかけに機械の体となってしまった壱郎。
人間とは到底呼べない体になっていしまった自分に嘆く壱郎ですが、突如与えられたこの力を人を守るために使おうと決心、うだつの上がらなかった以前に比べ、前向きになるのです。
ですがそんな壱郎とともに機械の体になった男子高校生、皓は壱郎とは逆に、自分の思うがままに凶行を行っていて。
壱郎と皓、相反する目的を持つ二人は、いずれぶつかる運命なのでしょうか……?


とある街角のお弁当屋さんで、店員の二人の女性が雑談をしていました。
背の高い女性が、背の低い女性、井上にコンパに一緒に行かないかと持ち掛けていたのですが、井上はなんでもすでに同棲している彼氏がいるとかで、ことわられてしまいます。
何せ井上さん、美人ですからそれは背の高い女性も肯けるところ。
となると今度は俄然その彼氏が気になってきます!!
普通のサラリーマンだということですが、背の高い女性はいろいろと突っ込んで聞いてきます。
年収はいくらなのか?顔はどうなのか?
井上によれば彼氏さんは年収300万程度なのだそうで、絶対今後苦労するからやめたほうがいい、と余計な世話を焼く背の高い女性。
ですが井上は相当出来た女性のようで、子育ては苦労して当然、自分の親も苦労して自分を育ててくれた、と今の共働きも苦にしていません。
背の高い女性は、ということは相当なイケメンなんだろうと考えまして……井上もイケメンかどうかは置いておいてかっこいい、とこたえるのですが、そこに話題の彼氏さんが現れるではありませんか!
どうやら井上を迎えにきたらしい彼氏さん、見るからに人の好さそうなやさしい笑顔を浮かべています。
しかし、決して不細工ではないものの、イケメンとかかっこいいという感じでは決してなく……
あからさまにがっかりした顔をする背の高い女性などどこ吹く風、仕事を終えた後、二人で手をつないで仲良く家に帰るのでした。

夜になりました。
一緒にバラエティ番組を見て笑いながら、和やかな時間を過ごす二人。
そんな和やかな時間の中で、彼氏さんが意を決してこんなことを言い出しました。
付き合ってまだ、1年だけど……
なんかさ、そろそろ、結婚とか……してもいいんじゃないかな、って……
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おずおずと切り出した、結婚の提案。
突然の発言に少し驚いた井上ではありますが、うんうんそうだね!結婚しようか!と満面の笑顔で返答するのです!!
待ち望んでいた言葉だったのでしょう、井上の目頭はうっすらとうるんでいて……
二人はしっかりと抱き合い、広がり続ける希望にあふれた夢を語り合います。
子供は何人欲しい?
2人?3人?
いいね、何人でも産むよ……

幸せいっぱいの井上、仕事にもいつも以上に力が入ります。
ニコニコと笑顔を浮かべ、店頭に立つ井上。
……そんな井上を、一人の男が見つめていました。
色黒で長髪、背の高い……その瞳には確かな悪意を湛える、危ない男が……!

仕事帰り、彼氏に電話をかける井上。
何か映画を見ようということになり、レンタルビデオのショップに立ち寄ってビデオを物色し始めます。
目的のビデオのパッケージに手を伸ばすと、すぐ上の棚に別の手が伸ばされました。
その手の主は、先ほどの長身の男。
男はじっと井上の顔を見つめて……
言いようのない恐怖を感じた井上は、走って逃げ出します。
外に逃げ出した後、井上はあの男がいないことを確認し……彼氏さんに今の恐怖を伝える電話をします。
電話をしながら家路を急ぎ、もうすぐアパートにつく、というところで
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通りがかった車が横に停車し、井上を拘束!!
瞬く間に井上を連れ去ってしまったのです!!

長身の男は、井上に手をかけます。
その体を怪我しただけでなく、薬物まで使用して……
暗い寝室で意識を取り戻した井上は、その事実に驚愕するものの……絶望や悲観よりも先に、目の前に仁王立ちする長身の男を目撃し、固まってしまいます。
長身の男は何も言わず、井上の唇を奪おうとするのですが……そこでなんと井上は、頭突きで反撃!!
逃げ出そうとするものの、ここがどこかどころか、構造すらわからない部屋の内部、隣の部屋に隠れることくらいしかできませんでした。
長身の男はゆっくりとその部屋に入ってきます。
見えてるぞ、出てこい、無駄だ。
……この場所で隠れても、無駄なのは確かでしょう。
姿を現した井上は……
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日本刀をその手に持ち、構えているではないですか!!
この部屋に飾ってあったものなのでしょう、あくまで戦う、織れない意思を見せる井上。
ですが長身の男はうろたえる様子もなく、言い放つのです。
お前みたいな女、初めてだ。
……絶対、俺のものにする。


というわけで、幸せな二人が巻き込まれる悲劇を描いていく今巻。
幸福の絶頂にいたはずの二人が、理不尽な暴力に巻き込まれて弄ばれる……
まさに悪夢といった物語が展開していきます。
この長身の男、その見た目通りに身体能力も高いようなのですが、何よりも恐ろしいのが権力も絶大だということ。
ダーティーな組織に所属し、そのトップグループに位置しているらしい彼は、文字通り好き放題生きています。
そしてその好き放題した後当然出る「不始末」は、彼の組織の部下たちと、権力によって完全に揉み消されてしまう。
井上がどんなに抵抗しようとも、ただの一般人にできる抵抗などたかが知れているのです……
ですがそれでも井上は抵抗します。
けなげに愛する彼とともに過ごす未来を夢みて、戦おうとする彼女に救いの手は差し伸べられるのでしょうか。
こういう時こそヒーローの登場が求められるのですが、当然物事はそう都合よく進むはずもなく……
どんどんと、海に沈められるかのようにどん底へ沈められていく井上達。
あまりに絶望的なドラマを、読み手は誰か止めてくれと思わずにはいられないでしょう……!
そこにヒーローは現れるのか、救いの手は間に合うのか、それとも……
淡々と描かれる避けられない悪夢の先にあるものは!?


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!