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今回紹介いたしますのはこちら。

「団地魔女」 派手な看護婦先生 

小学館さんのIKKIコミックスより刊行です。

派手な看護婦先生は12年ごろから活動されている漫画家さんです。
ウェブ漫画誌をメインに活動されていまして、本作もWEBイキパラCOMICにて連載されていました。
が、イキパラは9月ごろから大御所先生以外の連載作品をすべて終了、あるいは中断。
本作もしばらく沈黙状態に陥っていたのですが、この度大量描きおろしを加えて単行本刊行、完結となったのです!

さて、本作はいわゆるボーイミーツガールものです。
ですが、そのタイトルからもなんとなくうかがい知れるように、ただのボーイミーツガールではありません。
団地と魔女、とても相容れないように思える二つの要素が合わさった本作、その内容とは!?


団地の一室、吉田さんの家のインターホンを鳴らす少年、はる太。
彼は鍵屋さんの息子で、最近副業が忙しいお父さんの代わりに鍵屋の仕事をこなしています。
そんな彼がお仕事の依頼を受けてやってきたわけですが……扉の先ではなんだかものすごいものが割れる音やら何がが落ちるような音やらが響き渡って……ようやくその扉は開きました。
出てきたのは、エプロン姿のおっぱいが大きいお姉さん。
その手にはなぜか布団たたきが握られています。
お姉さんはにっこりとほほ笑んで、待ってたわ鍵屋さん、さあ上がって、とはる太を部屋に招き入れました。
ちょっと部屋が汚れてるけど気にしないで、と言われはしたものの……その部屋、汚れてるなんてものじゃありません。
さっきの音から想像したものよりも、もっと激しく部屋の中は荒れ果てていて……なんか、人まで倒れてるじゃありませんか!!
さすがに驚くはる太ですが、お姉さんは一切それに触れることなく「本当に錠を開けられるの?」と尋ねてきまして。
おずおずと、ピッキングならお父さんよりも早くできる、と答えるはる太。
それを聞くと、お姉さんはじゃあさっそくお手並み拝見と行きますか、とつぶやくと布団たたきを構え……
オラッ!と言う気合とともに何もない壁にたたきつけたではありませんか!!
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すると何もない壁だったはずのそこに「非常口」と書かれた扉が出現したのです!!
まるでレトロゲームの隠し扉のようなその扉についているのは……非常識な登場をしたにもかかわらず、スタンダードなシリンダー錠。
ですがやっぱり、この扉が何なのか気になって仕方ありません。
お姉さんによると、「断末間」の「非常口」なんだとか……?
開ければわかるから、ということで、はる太はとにかく鍵を開けることにしたのです。

はる太の腕前は確かなものでした。
すぐに錠は、パチンという音を立てて解かれたのです!
鮮やかな腕前にお姉さんも素晴らしいと興奮!!
すごい!とはる太をぎゅっとその胸に抱きしめちゃいました!!
豊かなお胸にうずめられるという衝撃に呆けるはる太をいったんおいておいて、お姉さんはあたしも仕事すっか、と扉に手をかけました。
……お姉さんはいったい何者なんですか。
どこかに行く様子のお姉さんを呼び止め、思わずはる太はそう尋ねてしまいます。
お姉さんは少し黙った後、こういいました。
まあ、害虫駆除業者みたいな感じかしらね。
……魔女かも。
確かめてみる?
ガコ、と乾いた音を立てて非常口は開きました。
そこに広がっていたのは……先の見えない暗闇が広がる……洞穴!?
この先に行けば、お姉さんが何者なのかわかる、と言うのでしょうか……?

特別に入れてあげる、と言うお姉さんのお誘い。
はる太はそのお誘いに
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乗る乗らないの返答をする前に、中から伸びてきた甲殻類のハサミのようにはさまれてしまいました!!
そしてそのまま、扉の中に引きずり込まれてしまい……
お姉さんが中に追いかけていくと、中に広がっていたのは荒廃した廃墟のような空間で、そこに巨大な具足無視のような怪物が待っていました。
その手(?)には、ぐったりしたはる太が握られていて。
お姉さんは、あたしの鍵屋、せっかく見つけたのにてめえなにすんじゃこら!!と怪物を布団たたきで一撃!!
すさまじい威力のそれに、たまらず怪物ははる太を放り出し、無事救出することができたのです。
しかし怪物はまだまだ元気。
そんな怪物を前にして、お姉さんははる太にとんでもないことを言い出すのです!!
ねえ、もう一つ開けてほしいのがあるの。
トクベツにやらしたげるって言ってんのよ。
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こ・こ!
お姉さんはスカートをたくし上げ……その部分を見せつけてきたのです!
顔をのぞかせたのは予想していたものとは違う……南京錠で封印された奇妙な下着で!?
これを開けたら……何が、どうなっちゃうんですか!?


というわけで、はる太の前に現れたお姉さんと不可解な扉の物語を描く本作。
この後もはる太はあまりにも不思議なこのお姉さん、るみねに振り回されていくことになります。
すっかりはる太が気に入ってしまった様子の彼女が、はる太にグイグイ来たりそっけなく扱ったり……
そんな彼女に、はる太はどんどんとひかれて行ってしまい!?
さらにこの後、はる太に好意を寄せている少女、月島さんが登場し、はる太の女難の相はますますくっきり!
はる太のもやもやした思いが強くなっていく中でもルミネはマイペースですし……
そんな中でさらに不審にもほどがある怪しげな男があらわれます!!
どんどんと怪しさを増していくストーリー、揺れ動く少年の心、やさしかったりそっけなかったりするお姉さん。
そんな要素がまじりあう、独特な雰囲気が楽しい作品となっているのです!!

ちなみに本作、連載分に100ページ近い描きおろしで完結まで描かれています!
いろいろな要素にきっちりと決着をつけ、見事にフィナーレ!
連載を追っていた方も大満足間違いなしの一冊に仕上がっていますよ!!

個人的には月島さんが好きなのでもうちょっと活躍してほしかった所ですが……
描きおろし分でちゃんと完結させるために主役二人にスポットライトを当てる構成の都合上、仕方ないのかもしれませんね……!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!