st0
今回紹介いたしますのはこちら。

「灼熱の卓球娘」第1・2巻 朝野やぐら先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。

朝野先生は12年にジャンプSQ.の漫画賞を受賞。
14年に本作をジャンプSQ.19にて連載開始、この度めでたく先生初の単行本刊行となりました。

さて、本作はそのタイトル通り、女の子が卓球する作品です!!
ですが昨今はやりの部活系の日常ものではなく、ガッチリとしたスポーツもの!
だからと言って萌え要素もおろそかにしない内容となっているのです!!


中学女子卓球界に激動が起きていました。
9年連続全国王者だった凰堂学園が、まさかの予選敗退……!!
長かった一強時代は終わり、群雄割拠の時代が幕を開けたのです!!

私立雀が原中学の卓球部でも、熱のこもった練習が行われていました。
この卓球部では、部の伝統で実力順で一人一人の部員を校内ランキングで順列をつけています。
その順列で1位を誇る2年生……上矢あがり。
彼女はその日も2位である天下ハナビを蹴散らしていました。
その強さは、3年生のムネムネ先輩も感嘆するほど。
先輩にも褒められるし、後輩たちには慕われますし、次は自分と対戦しようと引っ張りだこになりますし……
あがりは、そんなモテモテ感に浸っておりました。
1位ってこんなにも気持ちよくて、ドキドキする……
この1位だけには、誰にも渡さないんだから!と、その幸福をより長く続けるためにもあがりは気合を入れなおすのです。
部で1位と言うだけでこのドキドキ。
ということは、全国大会に行ったりなんてしたらもっと!!
目指すは全国!
絶対王者を撃破した学校のように、次は自分が全国で暴れまわるんだ!!

翌朝、あがりは朝練のため朝早く学校に来ていました。
すると……なんか校門にまたがって、ドキドキする!といいながら震えている女の子がいるじゃありませんか。
st1
不審者かと思われた彼女ですが……事情を聴いてみると、転校生なんだそうで。
楽しみさのあまり早く学校に気過ぎたばかりか、お気に入りのマスコットを落として校門の内側に転がらせてしまい、やむなく門を乗り越えて中に入ろうとしたら、降りられなくなった……
なんだかおどおどした感じのその女の子、旋風こより。
あがりが卓球部の朝練に来たという話を聞くと、興奮しだします!
私、卓球部に入ろうと思ってて、
卓球が大好きだから!!

となれば話は早いです。
さっそくあがりはこよりを部に連れて行きますと……卓球部の面々は大盛り上がりでこよりを迎え入れてくれます。
ですがハナビは持ち前の人間関係の壁の無さを発揮してガンガンスキンシップしてきますし、ムネムネ先輩の巨大なムネムネに圧倒されるしで、こよりはちょっと腰が引けちゃいます。
そんな姿を気遣ってくれるあがり。
こよりはそんなあがりに、すっかりなついてしまうのです。

校内ランキングもあることですし、さっそくこよりは試合することになりました。
相手は校内ランキング4位のムネムネ先輩。
そんな実力者であるムネムネ先輩を、こよりは後半のド道の追い上げによって11-8というスコアで……いきなり打ち破って見せたのです!!
新入部員の大躍進となりますと、部はさらに盛り上がります。
実力はもちろんのこと、卓球が大好きだからと実に楽しそうに練習をする姿も好感がもて、後輩たちからもいきなり信頼を寄せられて……
面白くないのはあがりです。
いつもああやってちやほやされるのは自分の役なのに。
いくら新入りが珍しいからって、自分がエースなのに、エースが目の前にいるのに!!
人知れずイライラを募らせていく明かりですが……自分がそのイライラの根源であるとは考えもしないこよりは、そのちやほやの恥ずかしさから逃げるため、あがりの後ろにくっついて助けを求めてきて……
あがりのもやもやがさらに強まる中、ムネムネ先輩の一言がきっかけとなってさらにややこしいことになっていくのです!
こよりちゃんって、前のところで県ベスト4だったんだってね、そりゃ強いはずだよ!!
……あがりの最高成績は、都ベスト8。
参加人数などは置いておいた数字上では、自分の上を行っている?
焦りを感じるあがりの耳に飛び込んでくる、後輩たちのこんな声。
それってあがり先輩より強いんじゃないの?
これは……新エースの到来だ!!

今まで自分がいた場所が、すべてこよりに奪われる。
あがりは1位の座を死守するために鬼気迫る表情で練習に打ち込み……ちやほやされるこよりを見て、ひそかに涙をこぼします。
そんな中、こよりは早くも2位である花火を11-7で撃破。
……こうなればもう、1位と2位の直接対決は必至と言う流れになってきます。
火蓋を切る、1位決定戦。
あがりは、叩き潰す!と言う壮絶な敵意を燃やしてその勝負に挑むのですが、こよりは頬を染めてこういうのです。
この試合、すごく楽しみだよ。
ドキドキするね!
明かりはそんな言葉にそっぽを向きます。
いつもならば、自分を応援している後輩たちが、この試合ではすべてこより側についている。
そんなアウェイの状況で、ドキドキするわけがない!!
周りの声援すべてを渡しのものに変えてやる。
気持ちよくドキドキするんだ!!
いきなり火を噴く、あがりの必殺「ループドライブ」!!
st2
すさまじい回転がかかっているこのドライブは、相手のラケットに触れるとその回転の力で高く跳ね上がります。
そして返ってくるチャンスボールを、バックハンドでスマッシュ!
これが「北のドライブマン」の異名を持つこよりの必勝パターンなのです!!
点差はみるみる開き、なんと0-8に。
県4位の実績を持つこよりを圧倒するあがり……周囲はもう勝負は決まったも同然なのではないか、とざわつき始め……再び部員たちのあこがれのまなざしや、驚嘆の声があがりに集まり始めて……!
皆もっと褒めて、それが私のすべてだから!!
ですが。その時のことです。
今までやられる一方だったこよりが、初めてバックハンドスマッシュを返したのです。
その顔は、疲労困憊の顔でも、真剣なまなざしでもない……笑顔。
st3
ドキドキが止まらないよ!
そう言って、こよりは今までが嘘のようにあがりの打球を返し、自身のスマッシュの威力を上げていくのです!!
私ね、卓球が大好き。
卓球って、相手との距離が近くて表情がよく見えるから好き。
ハナちゃんは笑顔で、ムネムネ先輩はやさしい顔で、上矢さんはどこまでも鋭くて真剣な顔。
上矢さんと打ってるとドキドキしてきて、どんどん体が熱くなるよ。
もっと……ドキドキしたい!!
一転して攻勢に出るこより!!
楽勝ムードから、押され始めてきたあがりなのですが、なぜか彼女の胸もドキドキしてきて……?
白熱の1位決定戦……決着は間近。
こよりとあがり、二人の戦いの決着と、その結果は……!?


というわけで、本格的な卓球まんがである本作。
ダイナミックな構図で描かれる躍動感あふれる対戦シーン、しっかり描かれる練習パート、続々現れる強敵。
それらの要素がくみあわさった、読み応えある熱血卓球漫画となっています!!
個人的に注目したいところは、主人公の強さ設定。
まんがでは大体主人公と言うのはほとんどずぶの素人か、めっちゃくちゃな強キャラであることがほとんどです。
が、本作の主人公であるこより&あがりは、もと県4位と都8位と言う、強いは強いけど全国でも指折りというわけではない、と言う立ち位置!!
素人同然のキャラが短期間に強くなりすぎ!!というツッコミにも、全国トップだったはずのなのに意外といろんなキャラに苦戦するんだね、と言ういじわるなツッコミにも両対応の主人公と言うのは案外珍しいかも……!?
さらに二人が出会ったことが全国が狙えるくらい強くなっていく理由にもなっていまして、主人公の俺強い感にプラスした成長物語も見込めます!
二人の今後の成長と快進撃に期待しちゃいますね!!

そんな卓球部分はもちろんのこと、キャラクターも魅力的なことを忘れてはいけません!!
部活系日常漫画に負けない、個性豊かなキャラクターたちが、練習シーン以外の日常パートもしっかり披露。
それぞれの個性を生かした(?)キャッキャウフフな姿を見せてくれまして、萌え漫画的な部分もきちんと備えているのです!!
加えて言えば昨今のはやりなのか、百合百合しいシーンも完備。
萌え的なものを求めている方も満足間違いなしですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!