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今回紹介いたしますのはこちら。

「ゆうべはお楽しみでしたね」第1巻 金田一蓮十郎先生 

スクウェア・エニックスさんのヤングガンガンコミックスより刊行です。

金田一先生は、96年に高校生でデビューし、現在まで活躍を続けている女性漫画家さんです。
代表作はアニメ化もされた「ジャングルはいつもハレのちグゥ」シリーズ。
現在でも本作の他に、「ラララ」「ライアー×ライアー」を連載されるなど、精力的に作品を発表されています!

さて、本作はオンラインゲーム「ドラゴンクエスト10」を物語の軸に据えた日常漫画です。
オンラインゲームで親しくなった友人との間に、突然思いもよらない出来事が巻き起こって……?


ドラゴンクエスト10の世界では、6つの種族が生活しています、
人間をはじめとして、大柄で屈強な体を持つオーガ、小柄で華奢ながら高い魔力と知識を持つエルフ、歌や踊りを愛する水の民ウェディ、小柄ながら高い技術力を持つドワーフ。
そして、愛くるしい容姿を持つ、楽しいこと大好きなプクリポ。
そんなプクリポ♀、「パウダー」を枚キャラとして動かしているのが本作の主人公です。
ドラクエ10が発売してからもう2年半、今となってはすっかりその人気は安定し、ライト層にやさしく、しばらく離れていてもプレイの再開をしやすいゲームバランスもあって、ゲーム内の世界、アストルティアはにぎわっております。
ですが最初に発表された時は、ドラクエがオンラインゲーム!?しかもナンバリングで!?と拒否反応を示す方も多く……
このパウダーもどちらかと言えばそっち側だったようなのですが、プレイしても見ないで否定をするのはどうだろう、と言う考えからプレイし始めたのです。
ゲーム内でたまたま出会った人々がいい人ばかりだったこともあり、パウダーはどんどんとドラクエ10にのめり込んでいきまして……
何週間か達頃には、すっかり日々の「日課」になっていたのです。
そしてパウダーとこのゲーム、そして仲の良いフレンドを切っても切れない関係にしたのが、しばらくしてから実装された「チーム」システムです。
親しいフレンドの誘いに乗って、そのチームに参加してみたのですが……
そのチームがまた居心地のいいこと!!
基本的にみんなマイペースで、それでいて相手の都合は尊重、べたべたしすぎない適度な距離感……
ネットゲームと言うのは人間同士がやるものです。
当然、自分としっくりくる人ばかりではなく、合わない人と言うのもいて当然なはずなのです。
大体の人が、リアル友達のリアル友人が……と言うつながりらしく、変な人はいないだろうという安心感もあっての雰囲気のようで。
……そんないい感じのムードだったからでしょうか。
ついついパウダーはチームの皆の前でカミングアウトしてしまうのです!!
自分はネカマである、と……
チームの一員であるタミイさんやあにがさきさんなんかは、全然わからなかったとびっくり仰天。
ですがともえさんも自分もネカマだけどね!!と相乗りしてカミングアウトしてくれたこともあり、今度はパウダー自身も驚かされてみたり。
チームの皆はその事実を知っても、笑って受け入れて今まで通り接してくれたのです。

そんなカミングアウトの場にもいたチームの一員、オーガ♂」のゴローさん。
なんでも今自分の住んでいるアパートの契約が切れるとのことで。
更新しようか、もっと勤め先に行きやすい場所に引っ越すか迷っているのだそうです。
話を聞いてみると、その職場の最寄り駅はパウダーの家の最寄駅から電車で一本で行ける位置。
今パウダーは昔祖父が住んでいた一軒家で一人暮らしをしていまして、部屋が空いている状態。
そこでパウダー、同性同士ですし、もしよければルームシェアなどどうですか?と持ち掛けてみるのです。
相手は顔も知らないネトゲ仲間。
ですが今までの付き合いで、信頼するに足りうる人物であるとパウダーは感じていたのです。
これまでの会話やログイン時間帯から察するに、おそらくゴローさんは同い年のサラリーマン。
ネカマとカミングアウトしても今まで通りおつきあいしてくれる、いい人なのです!

話はとんとん拍子に進み、待ち合わせの日がやってきました。
会話アプリで待っている場所を確認し、どんな人なんだろう、とワクワクしながら歩いていくパウダー。
その場にたどり着くと……いました、ゴローさん。
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……ですが……ゴローさんの「中の人」は、パウダーの予想に反しまくって
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ギャル風の女性だったのです!!
あわてて何食わぬ顔でその場を通り過ぎた後、会話アプリでゴローさんに確認するパウダー。
どうもゴローさん……ネカマの意味を知らなかったようです!!

ギャル系の女子が苦手なパウダーですが、引っ越しの荷物は今日届く手はずになっており……さすがにこのままにしておくことはできず、勇気を振り絞って話しかけ、事情を説明……
ゴローさんの実家は確か東京でしたよね、何とか交渉してそこまで荷物を運んでもらって、いったん実家で落ち着いてから後日改めて部屋探しをしませんかと妥協案を持ち掛けるパウダーですが、ゴローさんはさらりととんでもないことをいってのけます。
何言ってんの、このまま住むよ、パウさん家。

初めてであった男と女が、一つ屋根の下で暮らす。
そんな状況も、ぶつくさ言いながらも嫌がる様子は全く見せないゴローさん……
見た目道理、男なんて何のそのな人なのか、はたまたパウダーごと気を男として意識していないのか。
複雑な思いで引っ越し準備を進めているゴローさんを見つめるパウダー。
そんなパウダーの気持ちを知ってか知らずか、ゴローさんは言うのです。
不安になんて、なるわけないじゃん。
顔見たのは今日が初めてだけど、知りあって1年以上だよ?
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パウさんがすごくいい人だって十分知ってるし、パウさんだってアタシがいいやつだって知ってるからルームシェア申し出てくれたんでしょ?
……彼女、パウダーが思っているような今時のギャルではないのかもしれません。
なんにせよ始まってしまったよく知っている、見知らぬ二人の共同生活。
何はなくとも、まずすることは……ドラクエ10です!!!


というわけで、ドラクエ10で出会った男女の共同生活を描いていく本作。
相容れないと思われていた、いや、パウダーが勝手にそう思っていた二人ですが、いざ一緒に暮らしてみるとそうでもないことがわかってきます。
だんだんと打ち解けていく二人、ドラクエ10という共通の趣味もあって仲良しになっていきます。
それは私生活でもゲーム内の生活でもおなじこと。
たとえば同じゲームの中でも様々なコンテンツがあるわけですが、性格が違えば楽しんでいるコンテンツも違ってきます。
まったりプレイヤーのパウダーは、ロケーションに凝った素敵な写真をとったり、まったりチャットしたりするのが好き。
一方のゴローさんは、ガチガチの血を血で洗うプレイヤー同士のバトル、コロシアムが好き。
そんなまったく別方向に向いていた好みですが、一緒の家に住んでいることもあり、それぞれの持つ魅力にお互いが気付いてき……

さらにリアルのほうでも確実に二人の距離は縮まっていきます。
今まで何も知らなかったお互いの家族構成やら、職業やらを知っていき、さらには交際関係まで!?
だんだんとそうやって付き合いが深くなっていくうちに、内心ではゴローさんには早いところちゃんと部屋を見つけて家を出ていってもらいたいと思っていたパウダーですが、その気持ちにも徐々に変化が訪れて……?
果たしてこの奇妙な関係は、どうなっていくのでしょうか!!

そしてドラクエ10プレイヤーならば思わずニヤリとしてしまうシーンが多数用意されているのも注目点。
未プレイの方でもわけがわからないといったようなことはなく、わかりやすいネタに簡単な解説もついていますので、男女の同居ものとして単純に楽しむ読み方もOKな仕上がりになっております!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!