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今回紹介いたしますのはこちら。

「超人戦線」第3巻 原作・青山広美先生 漫画・山根和俊先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。

さて、謎の美女・FEEに導かれて決闘をしいられる戦士たちの物語を描いていく本作。
謎は今だ多く残されている本作ですが、今巻でもその謎は完全に明かされることはなく、二組の戦士たちの戦いが描かれていくことになるのです。


首相官邸。
可部総理に直々の命により、一人の女性が呼び出されていました。
アンジーと言う、褐色の肢体も眩しい彼女は、バーでポールダンスをして稼いでいる女性。
なのですが、実は彼女には秘められた過去があったのです。
元、アルジェリア特務機関のエース「ワイヤーガール」。
特殊なワイヤーを使用し、数々の困難なミッションを突破して見せた凄腕の仕事人だったのでした!
そんな彼女を呼び出した理由は……最近日本の各地で巻き起こっているとある事件の解決のため。
それは……人体発火事件。
冷却スプレーの誤使用、というのが公式で発表された原因なのですが、実際は違います。
そもそもその発火現象、火の気がない場所どころか、水中でも起こっています。
検死の結果、ガソリンや化学物質の反応もなし。
発火温度は瞬間的に2000度を超えていると推定され……
さらに、被害者には共通点があることがわかりました。
全員、強姦ないし準強姦の容疑者であること……
何者かによる復讐?
そう考えるのが自然でしょうか。
実際、現場周辺のビデオの映像などを確認すると、一人の女性が浮かび上がってきました。
葛西祐理、大学4年生。
全ての現場に居合わせ、そして1年前に強姦被害にあった過去がある。
状況からすると、彼女を置いて犯人はほかにいますまい。
ですが祐理はどう見ても普通の女の子。
この女の子が、多くの人目がある状況も含めた今までの犯行のすべてをしたとすれば……考え得るのはやはり「超自然的な力」を有している、と言う可能性。
今はまだ、犯罪者の始末と言う方向にしか力が向けていられないからいいものの、もし彼女が今後反政府団体などに加担するようなことがあれば、危険極まりないテロリストになりかねない、と総理は懸念しているのです。
……実は3日前、すでに特殊部隊による強襲作戦を決行していました。
その結果は、彼女のアパートまで50メートルの時点で特殊車両ごと炎上。
逃げ出した隊員の半数が焼死、そのうち三名は骨も残らない、という惨敗でした。
これによって有利の警戒は強まり、大掛かりな部隊による作戦の決行はもはや不可能。
そこで、隠密作戦も得意な彼女に白羽の矢が立ったというわけです。
……が、ワイヤーが留は一度引退した身。
本来そんな彼女が危険な仕事を請け負うはずもないのですが……
シングルマザーである彼女の一人息子、イーライが難病にかかってしまっていまして。
もし協力してくれるなら、政府が全力を持って彼の治療を行い、多額の報酬も用意する、と持ち掛けられれば話は別!
ワイヤーガールは、葛西祐理の「捕獲」依頼を受けることになったのでした!!

葛西祐理の捕獲。
それは、銃器を使わぬワイヤーガールだからこそできること。
手足はなくなってもいい、脳だけは損傷を与えるな。
祐理はこの国が直面している重大な国防問題参考人でもある。
彼女が持つ超自然的能力は、ある人物……FEEと名乗るものによって付与されたもの。
国防問題解決のためには、葛西裕理の自供と、能力の解明が必須……
そんな事情も知らず、就職に関しての相談があるからと大学に呼び出された祐理。
呼び出された部屋に誰もいないことを不思議に思い、時間を確認するために携帯を取り出しました。
と、その瞬間……携帯が真っ二つに切断。
何が起きたのかに気づく間もなく、祐理はワイヤーを首に巻かれ、宙づりにされてしまうのです!!
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10秒もあれば湿疹は間違いない。
早くも勝利を確信するワイヤーガール……でしたが、祐理が苦しみながらワイヤーを指さすと……猛烈な勢いで炎が上がり、融点1450度の素店ワイヤーを難なく焼き切ってしまったのです!!
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苦しむ祐理を、今度は融点3422度のタングステンワイヤーで縛り上げるワイヤーガール。
祐理はすさまじい火焔を巻き上げて暴れるのですが、ワイヤーガールには届きません。
これはすべて、今までの事例から予測した「視認しているものしか発火させられない」という想定通り!
貴方も女ならば、自分のようなしいたげられた女性の気持ちはわかるはず、と叫ぶ祐理ですが、ワイヤーガールは暴行された貴方に同情するが、今の私は女である前に母親なんだ、とその言葉を聞き入れません。
タングステンワイヤーに100万ボルトの電流を流し、祐理の意識を奪い、任務完了。
……のはずだったのですが、祐理はフラフラとはしているもののすぐに立ち上がったではありませんか!!
金属は熱くなると、電流が流れにくくなる。
そんなワイヤーガールも知っていたはずの知識が、油断からかすっぽりと抜け落ちてしまっていて……
完全にぶちぎれた祐理は、次々に発火能力を使いながら逃げるワイヤーガールを追っていきます。
お金のために同性でも殺すあなたに何を言っても無駄よね?
男にし苛げられた女の苦しみなんて。
息子がいると言っていたけど、暴行された傷で子供すら作れなくなった私の気持ちがわかる?
私はこの世界を正して見せる、悪の手先は地獄で焼かれなさい!!
そう言い放つ祐理。
ワイヤーガール走る先に爆炎を巻き上げ、いよいよ追い詰めることに成功します。
そんな窮地にありながら、ワイヤーガールは依然強気。
自分の行いは正しい、意に反するものは悪だと信じて疑わないその目……独裁者や過激派、政治家、軍人、マフィア……そんな奴らと同じ目だ!
何れ貴方は自分を批判するものまで火刑にするだろう、それはアナタが憎む、男が力で女をねじ伏せる行為と同じよ!!
そう言っても、祐理もまた動じません。
私は違う、大体独裁者や悪党なんて男ばっかりじゃない。
余裕の笑みを浮かべ、ゆっくりとワイヤーガールに近づいていくと……
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祐理の足は、ひそかに貼ってあった鋭利なワイヤーによって切り落とされてしまったのです!!
怒り狂う祐理は、業炎でワイヤーガールを包み……
憤怒の業炎を燃え盛らせる鬼女と、ただ息子のために戦う鬼子母神。
果たしてこの戦いの行方は……?


というわけで、今回も命懸けの戦いが描かれる本作。
今回のワイヤーガールVSファイヤーガールは、珍しくFEEの差し金ではありません。
ですが祐理の能力は間違いなくFEEが与えたもので、プロという言葉をも超える技能を持った人間と、超能力者が限られたスペースで闘う、と言う形も変わっておりません。
やはり総理はこの戦いで祐理を手に入れるという目的とともに、FEEの謎に迫ろうとしているのでしょう。
そんな戦いをおそらく見ているであろう、FEEの出方は……?

さらに後半ではもう一組の戦いが描かれていきます。
尋常ならざる荒行を成し遂げ、心身ともに磨き抜かれた大阿闍梨、三島醍醐。
そして対するはFEEによって「悪魔のギター」を手に入れた、ブルースマン。
この戦いは今までの血を血で洗う直接バトルではない、磨かれた精神と、その精神をむしばむ魔性の力のぶつかり合いとなるのです!!

そして、FEEの正体が今巻でまたまたほんのわずかながら判明。
このバトルが終わった後の展開も予想させる彼女の正体は……?
今後の展開がさらに楽しみですね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!