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今回紹介いたしますのはこちら。

「エロゲの太陽」第2巻 原作・はまむらとしきり先生 漫画・村正みかど先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。

さて、有能すぎるがゆえに大会社を追われてしまった神田。
路頭に迷っていたところを月島と言う女性に拾われるのですが、なんと彼女はエロゲ制作会社の社長でした!
最初こそ流されるまま、当座の資金稼ぎに働いていた神田ですが、徐々にこの仕事に惹かれていき……?


エロゲメーカー、エリコムは修羅場真っ只中。
制作に追われる現場で、神田は何とか自分の仕事……モザイク処理を終えました。
月島は神田の奮闘をねぎらい、近くの銭湯に案内してやろうかと提案するのですが、それに異を唱えたのがプログラマーの芽衣です。
月島は神田に甘すぎる!神田みたいな新人を社長直々に気にかける必要なんてない!と言うのですが……
作画担当の聖美によりますと、芽衣は月島にあこがれている上、やきもち焼きなのだとのこと。
この箴言も、まあそう言うことなわけです!

モザイクかけしかできないのなら、自分の肩でも揉んでいろ。
そう言われた神田は、大人しく芽衣の肩をモミモミいたします。
すると当然芽衣の仕事風景が目に入ってくるわけですが……
なんだかいろいろと気になる点が見えてきました。
CGのリストの通しナンバーですが、005の次が007になっているのはなぜ?
素直に尋ねてみますと、006は没になったのだとのこと。
ですが神田は確かに006にモザイク処理をした覚えが……
このキャラのエピソードと006のイラストは、設定と矛盾することがあとで分かって没にしたのだそうですが、なんだか無駄なことをしているような。
さらにみていくと、ほとんど同じようなイラストが二枚存在することにも気が付きました。
これは……間違えて同じ絵を2回発注してしまたんだそうで!!
無駄なことをしている気がするどころか、完全に無駄な仕事をさせてます、これ。
仕事させた相手怒っても仕方がない結構なミスな気がしますが……
幸い(?)絵を描いたのは聖美で、彼女は全然これっぽっちも気にしていないというか、気が付いていない感じなので良しとしましょう……
神田は素人だから知らないだろうが、エロゲを作っていたら予定変更やCGの誤発注、スケジュールの勘違いくらい日常なんだ、と鼻息を荒くする芽衣。
正直社会人としてはおかしいわけで……こんな調子ではいつゲームが完成することやら。
月島に、こんなのでいいのかと尋ねてみますと、月島も不安そうな顔でこんな衝撃のカミングアウトをするのです。
良いわけないだろ、このゲームの発売日、本当は今日だったんだから。
……え?

エロゲと言うのは、けっこう当たり前のように発売を延期します。
過大な目標やタイトすぎるスケジュールによって、しばしば危機的状況となるプロジェクト。
作業は過酷になり、徹夜や残業の連続によって心身ともに消耗。
普段ならあり得ないようなミスをしてしまい、一層状況は厳しくなっていく……
それでも足を止めることは許されないこの状況……有名プログラマーが名付けたその名は「死への行軍(デスマーチ)」!!
はまむら先生曰く、マスターアップ直前のソフトハウスでは、どこでも似たようなことが繰り返されているんだそうです……

ようやくゴールが見えてきたかと思えば、今度はタイトル画面に、発注し忘れたと思って聖美に描きなおさせたばかりの鼻からスパゲッティを食べているイラストが表示されてみたり。
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それこれも、今まで進行管理をしてくれていたスタッフが退職してしまったからなのです。
膨大なデータを管理するその作業……人の不足している今、本来なら社長である月島がやるべきなのかもしれませんが、彼女の性格上……無理です!
いまさらそのことを考えてもどうしようもありませんから、とにかくこのまま押し切ろうということになったのでした。

何とか延期した発売日には間に合わせることができた一同。
達成感や、デスマーチから解放される喜びでひとまず安堵する一同なのですが、そこにある人物が姿を現しました。
一緒に仕事をしたこともある、流通会社の岩倉さん。
彼がやってきたのは、今回も仕事の依頼があったからでした。
今回の仕事……その内容はなんと、
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一か月でフルプライスのエロゲを作れ、と言うとんでもないものでした!!
岩倉の会社では今、6か月連続でソフトをリリースし、そのすべてを購入したユーザーに豪華特典をプレゼントする、と言う社運を賭けたキャンペーンを行っていました。
ところがその第2弾のソフトが、もういきなり完成しないという事実がここに来て判明しまして……
金さえもらえばどんな無茶もする、という噂もちらほら聞かれるこのソフトハウス、エリコムに白羽の矢が立ったということのようです!!
ですがいくらなんでもそれは……と言いたいところでしたが、岩倉はなんとそこで現ナマのタワーを積み上げて見せたではありませんか!!
とはいえ、無理なものは無理。
素人の神田であろうとも、それが不可能なことがわかるのですが……
芽衣は自信満々に言うのです。
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できますよ、私ならね。
芽衣の頭の中にはあるアイディアがあり、自分をリーダーにしてくれればやって見せる、こんな大金を手に入れるチャンスはめったにない!!
そう言ってはばからない芽衣。
社員たちは、この仕事が終わったらアニメのDVD‐BOXを買おうだの、ちょっと高いギターを買おうだの沸き立っています。
ですが、神田にはどうしてもまとわりつく嫌な感覚を拭い去れないのです。
そう言えば今日の朝、拝啓&グラフィッカーのみのりがタロット占いでこんな結果を出していました。
「塔」。
崩壊、災害、悲劇、アクシデント……
正位置でも逆位置でも悪い意味しか持たない、ただ一つのカードを……!


というわけで、今回もエロゲ業界に斬り込んでいく本作。
目先の金に目がくらみ、自らつっこんでいったデスマーチ。
いくらアイディアがあるとはいえ、すんなり物事が進んでいくはずもありますまい!!
そのアイディアはどんなものなのか、そしてどのようなトラブルに見舞われるのか?
タロットの暗示が示すように、様々な困難がエリコムに襲い掛かってくるのです!!

そしてそんなエピソードの他、前巻を気になる引きを見せてくれた「ブラック社長編」の完結、そして実在するという業界ゴロの暗躍を描く「新規参入編」、そしていろいろな意味に神田が今までにない活躍を見せる「音響編」を収録!!
エロゲ制作ならではなのか、はたまたゲームソフト制作ではそれほど珍しくない光景なのか……
非常に生々しい舞台裏が描かれております!!
と同時に、コミカルな要素やサービスシーンもばっちり完備!
今巻も様々な楽しみ方のできる内容となっております!!

さらに本作のある意味一番の目玉ともいえるあとがき漫画も収録。
今回ははまむら先生に深い深いトラウマを残したある出来事について描かれておりまして……
こちらも必見ですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!