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今回紹介いたしますのはこちら。

「アポカリプスの砦」第9巻 原作・藏石ユウ先生 漫画・イナベカズ先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。

さて、ノイマンと言う尊い犠牲を払い、何とか海ほたるまでたどり着くことのできた前田達。
ここで研究を続ける坂上博士によって、前田の体の中に潜むFウィルスを研究すれば、ゾンビ化を治す薬ができるかもしれない。
一同は一縷の望みとともに研究所に入るのですが……


前田の中にFウィルスが潜んでいるかどうかを確認するために採血をしようとする坂上。
ですが吉岡は、それよりも手っ取り早い方法があると前田を促します。
わかったと刃物を手にする前田ですが……傷がすぐに治癒するさまを見せるのがわかりやすいこととはいえ、さすがに自分自身の体にナイフを突き立てる踏ん切りはつきません。
すると吉岡はそのナイフを奪い取り、嫌がる前田を抑えて手早くその右手小指を切り落としてしまうのです!
慌てふためく坂上ですが……
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そうしているうちに、もう新しい指が「生え」始めていることに気が付きます。
普通ではありえないその光景。
これが何よりも、前田がFウィルスを保有している動かぬ証拠!!
前田はすぐ生えると言っても普通にいたいんだからやめてよ、と不満げではありますが、時間のあまりないこの状況ではいい判断だったと言えるかもしれません……

さっそく前田を検査する、ことにはなったものの、その前に一同に抗生物質を注射させてもらう、と言い出す坂上。
今までさんざん感染者と接触してきた一同ですから、ノイマン以外にも何かが起こっていても不思議ではありません。
ぶつくさと文句を言いながらも受け入れ、注射は終わり……いよいよ本題です。
坂上は吉岡のこれからどうするんだという問いに答えます。
前田の持っているFウィルスは希少なもの。
Fウィルスを取り出し、培養する必要があるものの、血中にはわずかしか存在しない。
ウィルスが最も多く存在するところ……それは、脳脊髄液。
……そんな説明を聞いているうちに、前田は自分の体に違和感を感じ始めます。
小刻みに震えだす手。
その異変を感じているのは、前田だけではありませんでした。
バタバタと倒れていく、吉岡、岩倉、花畑。
全員急に体に力が入らず、手足の震えが止まらないという怪現象に苛まれだしたのです!!
この状況を引き起こしたのは……そう、坂上です。
先ほど打ったのは抗生物質などではなく、インシュリン。
一時的に全員を低血糖状態にして体の自由を奪うことが目的でそれを注入したのです。
ではなぜこんなことをしたのか?
それもひとえに研究のため。
前田の脳脊髄液……つまり、脳漿を手に入れる。
つまるところそれは……

体の自由がきかない前田をストレッチャーの上に載せ、研究所の奥にある一室に向かう坂上。
たどり着いたその部屋には、真っ赤な血で染まった台が置いてあります。
そして坂上は、その台の上に前田を寝かせます。
何なんだこの台は、何をする気なんだ。
ただただおびえるほかない前田……その脳裏にはもう答えは出ているのかもしれません。
坂上はそれを裏付けるように、語りかけてくるのです。
ごめんね、あんまり痛くないようにするから。
でもここは病院じゃないから専用の道具とかなくて……
そう言って取り出したのは、金属製のねじなんかを切断するためのボルトカッター。
しかもその坂上の背後には、包丁やハサミ、ニッパーや電動ドリルといった、使い道を想像するのも恐ろしい物のばかりが並んでいるではありませんか!
前田は体を強引に起こし、逃げ出そうとします。
ですが低血糖状態となっている前田の動きは鈍く、すぐに坂上につかまってしまいました。
前田は手近にあったカーテンにしがみついて何とか振りほどこうとするのですが、そのカーテンはあっさりとリールから外れてしまい……
露わになったのは
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切り刻まれて瓶詰にされた、変わり果てた「元」人間……
これは、Fウィルスに侵され、人間の姿を保てないまでに変異してしまった……坂上の、夫。
坂上は研究のために、夫を、殺したのです。
こんな姿になっても、やはり夫、切り刻む時は涙が出たという坂上。
ですが、だからこそ彼女はもう止まることはできないのです。
何があってもやり遂げなくてはならない。
FウィルスもMウィルスも抹殺して、「オイディプス計画」を実行する。
そのためには……前田の脳漿を使わなければならない!
許してと言いながら、ハンマーを振り上げる坂上!!
ですがその時、年下相手にすげぇがっつきっぷりだな、などと冗談めかしたことを言いながら、吉岡が登場したではありませんか!
吉岡は祖父が糖尿病だったとのことで、低血糖に関しての知識があり、懐に忍ばせていたチョコの入ったお菓子を食べて回復、すかさずここに駆けつけたというわけです。
自分たちをだまして、前田の頭をかち割ろうとしている。
どういうことか説明してもらおうか、と迫る吉岡。
ですがこういう状況も想定してあったのか、坂上は懐から奥の手を取り出します!!
催涙ガスの入った手投げ弾。
それを地面にたたきつけ、吉岡の目をくらますと、髪をつかんで強引に引っ張って部屋の外に投げ捨て……すかさず鍵をかけてしまいました!!
慌ててドアに飛びつく吉岡ですが、丈夫なそのドアは殴っても蹴りつけても開くことはありません。
そいつに指一本でも触れたらただじゃおかない、とすごむ吉岡の声を聞いた坂上、良い友達を持ったわね、と言いながら……その手に再びハンマーを握るのです。
人類のために、やめるわけにはいかないの。
そう言いながら……
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坂上は、何度も何度も。容赦なく前田の頭にハンマーをたたきつけるのでした!!


というわけで、救いを求めてたどり着いた場所でむごすぎる仕打ちを受ける本作。
この後、ある人物の登場をきっかけとしてまた違う展開を迎えることとなります。
この海ほたるを包囲している、数多くの感染者達。
そしてその中央には、女性型のボコールが佇んでいます。
一同は、そのボコールと戦うことに!!
ですが相手は見える距離とはいえ海を隔てた向こうに、多くの感染者に守られている状態。
ただでさえどうにもならないこの状況、一同はどう立ち向かうのでしょうか……?
そして物語はさらなる急展開へ!
予想を超える、あまりにもとんでもない事態が巻き起こり、人類に残された最後の希望さえも潰えかねない状況へ!!
息をのむばかりの異常事態となる本作、なんと次巻で完結!!
この未曾有の大パニックを、どのように潜り抜けて決着を迎えるのでしょうか。
ワクチンの開発に成功し、未来に希望の光がさすエンディングとなるのか。
前田達の頑張りもむなしく、人類が敗北を迎えることとなるのか。
それともまったく別の結末を迎えるのか?
もはやそのラストを迎えるまで、見守り続けるしかありませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!