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今回紹介いたしますのはこちら。

「こもりちゃんはヤる気を出せ」第3巻 コンノトヒロ先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。

さて、引き籠り少女・こもりちゃんと、彼女の保護者であるコウタとその仲間たちの面白おかしい日々を書き綴る本作。
常にアグレッシブに引き籠るこもりちゃん、ヒキコモリの御多分に漏れず働いたら負けと言う考え方の持ち主です。
ところが今回、こもりちゃんが驚きの発言をして!?


日々(ゲーム以外)やる気のない様子しかみせないこもりちゃん。
そんな彼女が心配になったコウタは、本当に将来やりたいことはないのか、と問い詰めてみました。
するとこもりちゃん、こんなことを言うのです。
漫画家に……なりたい……

その発言に驚いたものの、そんなことよりこもりちゃんに「やりたいこと」があることの嬉しさの方が数倍上です。
しかも聞いてみれば、もうすでに漫画を描き始めているというではありませんか!
ちょっとずつだけど4ページの漫画を描いているということで、それを読んだら俺がこもりの読者第1号だ!と興奮するコウタ!!
人に見せるのが恥ずかしいから、先に家に来る野良猫に見せてしまったとのことではありますが……とりあえずネコちゃんはカウント外ということでもいいでしょう!
早速その漫画を読ませてもらうことにします。
あのこもりちゃんが描いた漫画……一体どんな夢や希望が詰まっているんだろう!
ワクワクしながらその漫画を見てみると、そのタイトルは
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「コウタ死す」。
そこにあったのは……絶望だったのです……!

で、その内容は、突如富んできた長い大根がコウタのおなかに突き刺さってコウタ死亡、完!と言う……よく言えばシュールな作品でした。
とても褒められる内容ではありませんが、ここでけなして彼女のやる気がなくなってしまうのは避けたいところ!
コウタはうまいことほめて、こもりちゃんのやる気を引き出していきます。
コウタにデッサンモデルをさせておきながらなぜかプリンの絵を描いてみたり、ストーリーの構想では巨乳キャラを出そうかなんてことばかりを考えてみたり。
そうこうしている間に何とかかんとか漫画を完成させるこもりちゃん。
ほとんど初めてと言っていい労働のため、息も絶え絶えになったこもりちゃんに、じゃあ投稿するのかコウタは尋ねます。
するとこもりちゃん……とんでもないことを言い出すではないですか。
持ち込み、してみようかな……
持ち込み。
あの、外に出ることすら拒否し、とんでもない人見知りでもあるこもりちゃんが、持ち込み!!!

こもりちゃんはお出かけ用パワードスーツなる鎧を着こみ、超年マガヅィンの光弾社に持ち込むことになりました。
とはいえ、矢面に立って編集者とやり取りをする勇気もないですから、コウタが作者として編集さんと対面することになりました。
待ち合わせまでの時間を潰すまでにコンビニによると、これから持ち込もうとしている雑誌が不通に売られているという謎のプレッシャーに教われる、などというアクシデント(?)もありましたが、なんとか持ち込みまでこぎつけることができました。
こもりちゃんはぬいぐるみを装い……編集者さんがやってきて、いよいよ緊張の時間が開始です!
……編集者さん、漫画を見てクスリと笑ってくれました。
そして、巨大化した猫が人を食べて行くという話らしいその作品、シュールだけどキャラクターが魅力的で読みやすい、絵はちょっとヘタウマだけど、作風とマッチして面白いギャグ漫画になっているよ、といい感じにほめてくれるのです!
……まぁこもりちゃんはバイオレンスホラーを書いたつもりだったらしいのですが……
そんなこもりちゃんの心境をよそに、いまマンガ大賞をやっているからそっちに応募してみないかと言うお誘いまでしてくれる編集者さん。
予想外の大好評に、コウタは感激しまくり!
ついつい本当はその漫画を描いたのはこの子なんです、こもりちゃんの存在を明らかにしてしまいました!
すると編集者さんはさらに大絶賛!
漫画家志望はたくさんいるけど、作品一本を完成させられない人も多い、それなのにその年で漫画一本書き切るなんて!
また出来たらぜひ見せてね、と、漫画家志望あこがれの「編集者の名刺」を渡してくれて……!!

初めての持ち込みは大成功と言っていい結果に終わりました。
おまけにその後、例のマンガ大賞の結果が届いたのですが……なんと奨励賞を受賞したのです!
賞金は5万円……あの、こもりちゃんが働いて、お金を生み出すとは……
感動もひとしおのコウタ、これでこもりが欲しかったゲーム機が買えるな、とにこにこ顔なのですが、ここでまたこもりちゃんは予想外の反応をしたのです。
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はい、と賞金の入った封筒を、そのままコウタへ手渡し!!
いつも世話になっているから、そのお返し、と殊勝なコメントまでつけて……!!

こもりちゃんがヒキコモリはともかくとして、無職を脱却しようとしている。
そんな喜びの宴は、いつものメンツを巻き込んで大盛り上がりとなりました。
宴も終わり、幸せ絶頂のままぐっすりと眠りについたコウタ。
目を覚ましてこもりちゃんのほうを見ると
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なんかこもりちゃん、黒くなってます!!
外に出た反動でさらなるひきこもり、「ブラックこもり」になってしまったらしいこもりちゃん……
近づいたかに見えた社会復帰の道が、また遠くなっちゃうのでしょうか!?


というわけで、成功を手にしたのもつかの間、こもりちゃんの進化(退化?)が起こってしまう本作。
ただでさえ筋金入りのヒキコモリだったこもりちゃんが更なるヒキコモリになったということは……どういうことなんでしょうか。
……正直どうということはない気もしますが、少しでも外に出る気が起きたこもりちゃんがまたも完全ヒキコモリになってしまったというのはよろしくないところ!
コウタは何とか奮闘して彼女をもとの健全なヒキコモリだったころのこもりちゃんに戻そうとするわけですが!?

今回紹介した本作最長編な気がする漫画家エピソードはもちろんのこと、他にも見所は満点です。
いつも通りだらけたこもりちゃんが、そのヒキコモリ力を生かしたどうでもいい事件を起こしては解決するでもなくやり過ごしていく通常の日常パートは安定の面白さ。
すでにコウタのことが大好きなアキに加え、なんだかんだコウタのことが気に入っているみたいな大家さんに、隣人の爆弾大好きっ子エイミーもコウタのことが好きになってきたようで、なんかハーレムマンガみたいな展開まで完備しております!!
そんなハーレム真っ只中のコウタは、こもりちゃんのことで頭がいっぱいで色恋沙汰とは無縁な感じなのがまたアレなんですけどね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!