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今回紹介いたしますのはこちら。

「ワールドトリガー」第10巻 葦原大介先生 

集英社さんのジャンプ・コミックスより刊行です。

さて、大規模侵攻も佳境を迎えた本作。
修はキューブにされてしまった千佳を救うため、キューブを抱えて逃走を図っていたのですが、あとわずかで逃げ延びられるというところで人型ネイバーに追い突かれてしまいます。
さらにレプリカが敵の攻撃を受け、真っ二つにされてしまい……!!


左手にレプリカを、右手にキューブを抱えて走る修。
敵の攻撃を避けるためトリオン体から生身に戻ったため、もはやその体は裸も同然。
何らかの攻撃を受ければ、即座に致命傷になりかねない状態です。
そんな修のもとへ、敵グループのリーダーであるハイレインが迫ってきました!
三輪と交戦していたハイレインですが、彼らの現状最大の目的は千佳です。
ワープゲートのようなものを作り出す能力を持つミラによって、三輪が基地から離れた位置に飛ばされてしまい、その隙をついて攻撃を仕掛けてきたのです!
ですがまだ距離は多少はなれています。
これならば、自分のほうが先に基地にたどり着けるはず!
死に物狂いで走る修ですが、攻撃を仕掛けようとしていたのはハイレインだけではなかったのです!
三輪の攻撃を受けてダメージを受けていたミラが、わずかに残った攻撃用トリオンをかき集め……修の足と脇腹を突き刺したのです!!
ダメージは深刻、到底基地まで走り込むことはできません。
あと少しのところまでたどり着いていたというのに……
吐血する修、好機とばかりに突っ込んでくるハイレイン!!
そんなとき、レプリカが声をかけてきたのです。
投げろ、オサム!

少し前に、修とレプリカはこんな会話をしていました。
このまま基地へ向かっても、扉の開錠には20秒かかる。
真っ二つにされてしまったレプリカでは、20秒間修と千佳を守るのは不可能。
だが、ネイバーのシステムならば、一秒もかからず解析・侵入ができる!
消極的な逃げの戦法ではなく、ここに来て逆に敵の遠征艇を狙うという逆転の一手に出る……そんな作戦を練っていたのです。
ですがこの作戦には大きなリスクが伴います。
それは、迅の予知から外れた作戦であるということ。
この作戦を実行すれば、修の「策」とあわせて千佳を守り切れる確率はぐっと上がるでしょう。
ですが、修の生存率に関しては全くの予測不能……下手をすれば、死の確率が格段に高まるかもしれないのです。
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……が、修はその道を選んだのです。
レプリカを持った左手を、振りかぶる修!!
ここでハイレインも、狙いが基地の横にワープゲートを開いたままの自分たちの遠征艇にあることに気が付きます!
猛然と襲い掛かるハイレイン……そこに、横から米谷達の率いるボーダー隊員の射撃が降り注ぎました!!
ですがそれは目くらましのようなもの。
そしてそれは、ハイレインもわかっています。
本命は……遊真の射撃!!
右後方からくる、それさえ分かっていれば、こいつを殺すのに支障はない!!
対トリオン射撃兵器に対しては、ほぼ絶対的な防御力を持つハイレイン。
確かにその自信は、家臣ではないでしょう。
遊真の攻撃が来る方向にシールドを展開し、右手に攻撃用のトリオンを構え他その時のことです!!
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三輪の放った、「風刃」が、ハイレインにさく裂したのは!!
突然の斬撃に注意がそれたハイレインに、さらに遊真のトリオン弾が着弾し……!!
ここまでやられれば、もはやハイレインは戦闘不能でしょう。
……ですが、レプリカを投擲して力尽きた修からキューブを奪うことくらいは……十分可能です。
レプリカの作戦はズバリと決まり、遠征艇のシステムに侵入、強制的に遠征艇に帰還させることに成功しました。
船が三門市から戻っていくまでの残り時間は60秒。
ハイレインはゆっくりとキューブを回収するのですが……ここで気が付くのです。
このキューブは、ただのトリオンの塊で、千佳をキューブ化したものではないことに!!
これこそが修の作戦!!
一瞬のスキをついて地下のキューブを隠し、ダミーを作成。
遠征艇を強制帰還させるのも、千佳のキューブを探す時間を与えないため!!
ハイレインはやむなくミラとともに船に乗り込んでいきます。
「金の雛鳥」千佳をあきらめ……ボーダーにとらえられたヒュースを「予定通り」ここに置いていって……
去っていく遠征艇。
その遠征艇内部に残されたレプリカは、修に言い残しました。
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オサム、お別れだ。ユーマを頼む。
その言葉を聞いた直度……修は、意識を失うのです……


というわけで、大規模侵攻編が決着する本作。
この大規模侵攻で受けたダメージは、ボーダーにとっても、アフトクラトルにとっても小さいものではないでしょう。
ボーダーは死者、行方不明者合わせて数十名。
アフトクラトルもブラックトリガーの使い手であったエネドラが倒れ、ヒュースも捕虜となってしまいました。
ですが気になるのは、アフトクラトルにとってはこの被害がある程度「予定」されていたものであるらしいこと。
果たしてこの言葉が意味することとは……?

そして物語は新展開へ。
まず問題なのは、ボーダーという町を守るべき組織がいながら数十名の被害者を出してしまった、と言う状況です。
隊員たちは必死に戦ったとはいえ、外野から見れば仕事を果たしていないとみられてしまいます。
この状況を打破するため、ボーダーは一人の「槍玉」を挙げることにするのです。
その槍玉として抜擢されたのは……!

さらにこの後新シリーズが本格始動。
遊真は新たにできた目的に向かい、A級隊員を目指す戦いに挑むことになるのです!
その道のりは容易なものではなく、激しい戦いを繰り返し潜り抜ける必要があるわけで……
遊真たちの新たな戦いからも目が離せませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!