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今回紹介いたしますのはこちら。

「生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと」第3巻 永瀬ようすけ先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。

さて、過去に戻った和也が暴走した結果、さらなる犠牲者が出てしまった本作。
ですが和也の最大の目的である、杏奈へどす黒い欲望をぶつける、ことはできませんでした。
中止となった修学旅行。
帰ってきた和也は、さっそく最後の目的を果たすための行動に出るのです!!


すっかり和也の虜となってしまった郁美。
彼女は、自分の変化に驚いていました。
旅行先でなくなった友人。
先日シンヤが亡くなったばかりですし、和哉の計画を手伝った自分がその死にかかわっている可能性も否定できないわけで……受けるショックはさぞ大きいものである……はずなのですが、なぜか郁美の心は全く波立たないのです。
ですが、その理由はわかっています。
全ては……和也の態度にある。
自分がどんなに恥ずかしいことを我慢してやっても、クラスメイトを裏切っても、和也の言いなりになって頑張っても……和也は自分のことを見てはくれないから……

いくみは、いづるの家を訪ねていました。
杏奈を守ることに全力を注ぎ、そのために和也を殺すこともいとわないいづる。
いづるは、郁美が和也の手ごまであることを知っているため、警戒しながらも彼女を自分の部屋に通しました。
そこで郁美は、意を決したように口を開いたのです。
全部話すよ、私と和也のこと、シンヤの事故のこと!
これ以上、もう……

郁美はいづるにすべてを話したようです。
いづるにとって何よりの収穫だったのは、和哉が想像以上にあんなに執着していることを知れたことでした。
警察に話したほうがいいかな、と思い口を開く郁美。
ですが、その必要はないといづるはその意見を抑え込むのです。
警察なんかに任せておけない、自分が何とかしなければ。
そんな思いがいづるを支配しているのでしょう……
しかし、郁美の話は、これで終わりではありませんでした。
郁美は、この後いづるを先日集まった廃墟の秘密基地に呼べと命令されている、と打ち明けたのです!!
和也が何をしているのかはわからないが、これ以上罪を重ねてほしくない、彼を止めてくれ!!
そう涙ながらに語る郁美……ですが、いづるはそんな郁美を冷ややかな目で見つめています。
郁美はもう和也の操り人形も同然。
この言葉も演技かもしれない、信用はできない。
おそらく罠だろう、といづみは冷静に分析します。
が、あの事件のショックで杏奈が両親のいる家で寝込んでいる今こそが逆に決着をつけるチャンスなのかもしれない。
そう考えたいづるは、郁美とともに秘密基地へと向かうのでした。

秘密基地にやってくると、郁美はあの扉から二階に上がってすぐの部屋で待っている、といづみを促しました。
いづみはその案内に従ってその扉をくぐると……育美は素早くその扉を閉めたではありませんか!!
やはり郁美は和也の傀儡だったのです!!
が、それはすでに予想済み!!
足を差し込み、扉をしめさせないいづる!!
鬼の形相で扉をこじ開け……郁美を問いつめます。
が、その瞬間、いづるの頭に激しい衝撃が走りました!
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実は和也、最初からこの展開を予測し、扉の陰に隠れていたのでした!!

和也と郁美はいづるを縛り上げ、一体お前は何者なのかと尋問し始めました。
ですが包丁で脅しても、いづるは一切ひるみません。
それどころか逆に敵意をむき出しにして、お前さえいなければ杏奈は幸せになれたんだ、お前が杏奈の人生を無茶苦茶にしたんだ!と絶叫するのです!!
その迫力にひるんだ和也、その場をいったん郁美に任せてトイレに行くことにします。
二人きりになると、いづみは郁美に語りかけ始めます。
こうして罠にかけたのは事実だが、自分に打ち明けた心情は真実なのだろう。
本当はわかっているんだろう、こんなことは何の解決にもならないし、和也はあなたを利用しているだけ、用済みになったら間違いなく捨てられる……
我慢できなくなった郁美は、黙れと大声で叫んでしまいます。
そんなのまだわからないだろ、と、涙を流しながら叫び続ける郁美……
その涙が、何よりそれが事実であると育美自身がわかっている証拠でしょう……
が、そこに和也が戻ってきます。
そして和也は、郁美に包丁を渡してこんなことを言い出すのです!!
俺のこと愛してるなら、そいつを殺すくらいできるだろ?
そいつがいなくなれば二人で楽しく過ごせる、二人の未来のためにな。
……その言葉が、うわべだけのことであることは郁美にもわかってしまったようです。
郁美は包丁でいづるを縛っていたろーぽうを切り、私がずっと和也の傍にいるからもうこんなことはやめようと持ち掛けるのですが……
和也は舌打ちして言うのです。
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ふざけんなよ、いつもいつも失敗しやがって、この役立たずが。
お前なんかが杏奈の代わりになれるわけねーだろ!
ショックを受け、崩れ落ちる郁美……
その時てから零れ落ちた包丁を、いづるは見逃しませんでした!!
素早くその包丁を拾い上げ、和哉に一直線に走って行くいづる!!!
その包丁は、確実に肉を裂き、体に突き立った、のですが……
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それは和也にではなく、彼を身を挺して守った郁美の体に、で……!!


というわけで、より一層ドロドロの中でもがくような展開になっていく本作。
和也はもはやそのどす黒い欲望を隠そうともせず、杏奈への劣情をひたすらに肥大化させていくのです!
物語はこの後、和也といづるに焦点を当てて進んでいきます。
和也は、杏奈を手に入れるために必要不可欠なのは「いづるがいなくなること」だと気が付き、そこに狙いをつけていきます。
そしていづるももうなりふりをかまわず、和哉を「消す」ことを狙います。
二人の狙いは奇しくも一致。
杏奈をめぐる最後の戦いへと進んでいくのです……

そしてその前に、重要な謎が明かされることとなります。
それは、いづるが何者なのか。
いや、何者なのか、というところはもうここまで読んできた方ならばわかっているでしょう。
そのかのじょが、どのようにして今のような固い決意をするに至ったのでしょうか?
彼女の悲しい「過去」が語られ……本作のタイトルに秘められた謎が紐解かれるのです!!


今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!