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今回紹介いたしますのはこちら。

「変身!」第1巻 横山旬先生 

エンターブレインさんのビームコミックスより刊行です。

横山先生は10年にエンターブレインさんの漫画賞を受賞し、デビューした漫画家さん。
14年に発売された初単行本「白い狸」は短編集でしたが、本作は待望の初連載作品となります。

さて、本作はその名の通り変身を題材にした作品です。
が、変身と言ってもヒーローとか魔法少女とかそう言ったたぐいのものではありません。
その内容は……


天体地図を片手に、堤防で夜の星を見ていた少女マリ。
すると、なにやら川岸のほうから妙な音が聞こえます。
見下ろしてみるとそこには
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リュックを背負った恐竜が走っているではありませんか!!
しかもその恐竜、転んだ際に「いてっ」と漏らすのです!

橋の下に腰を下ろした恐竜、ハァハァと荒い息をついていると……まるでリボンがほどけるかのように体がバラバラになり……
瞬く間に裸の少年の姿になったのです!
ぜんぜんダメ、今のじゃ見てくれだけの変身じゃないか!
理屈が立ってないんだ、獣脚類の四肢の自律系は今の陸上哺乳類とは違う!
そんなことをぶつくさとぼやきながら、少年はリュックから服を取り出し始めます。
こういう一般的な獣に比べて……と、パンツ片手に頭だけラクダに変身させる少年。
するとその瞬間、なんだか人の声が聞こえたような……
後ろを振り向くと、先ほどのマリが双眼鏡で少年をガンミしているではありませんか!!
しかもまずいことに少年とマリは同じクラス!
マリのほうもばっちり覚えがある様で、確かめるように東島ヒデでしょ!?と迫ってきて……!!
それを聞いたマリは大興奮!
何それすごいよ、もっと見せて!!とものすごい勢いでせっついてくるのです!!
ヒデはやむなく、ライオンになってみたり、マナティになってみたり雪だるまになってみたり。
マリは大はしゃぎするのですが……それもこれも、ヒデが変身できることをばらされないようにお願いするため!!
いくらでも変身を見せてあげるから、と持ち掛けると、マリはみなまで言うなとばかりにわかってる、誰にも言わないよ、大丈夫だよ!と満面の笑みで答えてくれるのです!!

が。
次の日、マリはクラスの皆に変身のこと、毎日ヒデが練習していることをばらしまくるのです!!
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実はいじめられっ子であるヒデ、当然変身できるなんて突拍子もないことを信じてもらえるわけもなく、いじめの材料にされただけ。
いじめられながら、ヒデは、信用とは何なのか、裏切られても後悔しないこと……などと考えながら、耐えるのでした!!

帰り道。ケロッとした顔でマリが駆け寄ってきました。
変身して、いじっめ子なんてギャーンとかましちゃえばいいのに、と言うのですが、ヒデはこう返すのです。
変身しても体力はそう変わらない。
それに、返信は自分のためには使わないとおばあちゃんと約束してる。
その答えを聞いたマリはなんだか嬉しそう。
ねぇ、すごく大きいものにはなれるの?すごく小さいものには?と次々に質問してきます。
あんまり僕自身と構造や大きさが違うものだと、戻るのが難しくなる、とちゃんと答えてあげた後、ヒデは真理に冷静につっこみます。
家までついてこないでくれる?と。
家ならば人目もないし、おもう存分変身を見せてくれるんじゃないの?と言うのですが、そもそもマリは誰にも言わないという約束を破っているわけで、じゃ、またと彼女を置いて家に入ろうとするヒデ。
するとマリ、不満そうな顔をしたかと思うと、手にしていた袋を掲げてこんなことを言い出します。
これ、あたしの宝物、死んだお母さんが作ってくれた上履き入れね。
そう言うと彼女は何を想ったのか、それを崖の下へと落としてしまったではありませんか!!
拾って。
……彼女の母親が、去年亡くなったのはヒデも知っています。
ですが、手作りの、と言うのは疑わしいところ……何せかの尾は、手段を選ばない子ですから。
彼女を無視して、家の門を開けるヒデ。
すると彼女、拾わないの?拾ってよ、と泣きじゃくり始めます。
その口から洩れる、お母さんと言う声。
ひるむな、あれはマリの常套手段じゃないか!
下手でも上手でもだめならあの技で我を通す、親でも出汁にして教師をもさす必殺技!!
やられる、見るな!目を合わせちゃいけない!ムシで振り切れ!!
強くそう考え、門を閉めるヒデ。
すると彼女はケロリと泣き止み、また作戦を変えるのです。
とんでもない作戦に!!!
あ、そう、拾ってくれないんだ。
じゃあいい、自分で拾うから。
そう言って彼女は
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崖から当たり前のように身を投げたのです!!!


というわけで、変身能力を持つヒデと、目的のためなら手段を選ばないマリの日常を描いていく本作。
元々ヒデは自分の変身能力を一人ひそかに磨いて楽しんでいるだけでした。
それがマリに見られてしまったため、様々なトラブルに巻き込まれてしまうことに……
ごらんのとおり、マリは本当に手段を選びませんので、ヒデもこの事件をきっかけに割といいように扱われてしまいます。
二人がどんな事件に巻き込まれていくのか……いや、どんな事件を巻き起こしていくのか。
ドタバタコメディ、ほんのりラブコメな日常が描かれるのです!!

そして最初は小学4年生である主役二人ですが、変身能力の成長とともに、人間的な成長、そして肉体も成長も描かれていきます!
第1巻にして物語は思春期編へ突入!!
毎回の変身がらみのドタバタだけでなく、これから先の二人の関係も気になってきちゃいますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!