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今回紹介いたしますのはこちら。

「仏ロック」第1巻 鷲尾和哉先生 

小学館さんの少年サンデーコミックスより刊行です。

鷲尾先生は09年にサンデーの漫画賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
その後数作の読み切りを発表したのち、15年よりサンデーSにて本作の連載を開始、めでたく単行本刊行となりました。

さて、本作はいわゆる妖怪退治系の作品です。
数多ある妖怪退治漫画ですが、やはりそれぞれ特色というものがあります。
本作にも大きな特色がありまして……


夜道、刃物を持った男に追いかけられている女子高生。
逃げ惑う彼女ですが、そんなとき黒い服を着た男とすれ違います。
するとその男、刃物を持った男に頭突きを一発!!
彼女を助けると、その場を去っていったのでした。

この街では最近、人が突然気を失う事件が多発していました。
被害者に前後の記憶はなく、得られた証言はみな一様に同じ者。
「頭の中で妙な音が響いた」と言う……
いつしかその話は膨らみ、こんなうわさが流れ始めます。
怪事件は、廃寺の亡霊の仕業だ、と……

先日の女子高生、吉備野桃がその廃寺を訪ねていました。
昨日会ったのはあなたなんでしょうか?どうか私の話を聞いてください!!
そう語りかける彼女、どうやら廃寺の亡霊に話しかけている模様です。
ですが反応はありません。
やっぱりだめか、昼間に亡霊なんて出ないよね。
そうため息をついて立ち去ろうとした桃ですが、その時突然寺の扉が開きます。
中から出てきたのはこの転岩寺の坊主、蓮見勒。
紛れもなく、昨日桃を救ってくれた男でした!!
ギャーギャー人の家の前で騒いでるんじゃねえ、ちょんまげメロン女!といきなり無礼なあだ名をつける勒ですが、とりあえず亡霊ではない、生きた人間であることは間違いなさそう。
目的の亡霊ではありませんでしたが、自分のある悩みを聞いてくれそうな存在であると認識したらしい桃は、一方的に話を始めるのでした!

一人の女子高生が肝試しにこの寺に来た時、寺の中から人の歌声が聞こえた。
中を覗いてみると、そこには誰もいなかった……
それ以来、子の寺には亡霊がいると噂が立ち始めた……
桃が来たのは、その事件の真相について聞きたかったのでしょうか?
いや、一番聞きたかったのは、昨日あの刃物を持った男頭突きでダウンさせた「後」の彼がしたことです。
勒は確かにあの男に「何か」を聞かせていました。
するとその男の中から、黒い霧のようなものが飛び出してきて……
そこまで話すと、勒は子の件にはかかわるな、さもないとお前は不幸になると言い残し、話を中断、寺の中へ引っ込んでしまうのです。
桃はその発言の意味を問い詰めようと寺の中へ追手はいるのですが、そこには
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サングラスをかけたファンキーな仏像が祀ってあるではありませんか!
しかもその仏像にはなぜか両腕がなく……?
まだいたのか、帰れと桃に言い放ち、背を向ける勒。
逃がすまいと桃は勒の腕をつかむのですが……その腕はまるで人の手ではないかのように冷たくて……?

翌日、桃は友人の千影に今回の件を報告します。
あの廃寺は廃寺ではなく、ヘンテコ眉毛のお坊さんが一人だけで住んでいる、と。
そしてそのお坊さんに、これ以上かかわると不幸になると言われたこと……
すると千影、何か桃に重大な話をしようと決心するのですが、ちょうどその時別のお友達が桃に話しかけてきて、タイミングを逃してしまいます。
少したって気が付いたときには、すでに千影の姿はなくなっていたのでした。

その帰り道、再び桃は勒に出会うこととなります。
それもまた、怪しげな男に襲い掛かられるところを助けられる、というシチュエーションで!!
怪しげな男は、勒にノックアウトされた後もうわごとのように「モモ、ニクイ」と繰り返すばかり。
こんな見知らぬ男に恨みを買うなんて?
身に覚えのない桃は、震えるしかないのですが……
勒はおもむろに音楽プレイヤーを取り出すと、男に無理やり聞かせます。
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どうやらその曲はロックのようで……聞き始めた男が苦しみ始めたかと思うと、男の中から黒い奇妙な物体が飛び出てきました!!
それを合唱するように手ではさみ、潰してしまう録。
一体これは何なのでしょうか?

……勒によれば、あの男は桃を憎んでなどいないようです。
あの男は操り人形に過ぎない、本当に桃を憎んでいるのはごく親しい人間だ。
無論そんな勒の言葉など信じない桃ですが、すぐにそれが本当だと証明されることとなるのです。
寺にふらふらと現れた……千影。
こんなところに現れ、なにやらフラフラしている彼女を桃は心配するのですが、千影は突如もうそう言うのいい、うっとおしい!と鬼のような形相に豹変!!
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いい子ちゃんぶりのくそ虫女が、都合いい時だけいい顔しやがって!!
そう言って千影は右手を怪しげのオーラのようなものでつつみ、桃に振り下ろしてきたのです!!
それをかばうのはまたも勒。
すると勒の腕を包んでいた包帯がほどけ……中から木製の腕が出てきたではりませんか!!
そして勒は言うのです。
ようやく会えたな、オニ。
……魍魎。
それは人の心の奥にある小さな悪意を増大させ、人を変えてしまう怪物です。
それに取りつかれたものは、やがてオニになってしまう……
鬼と変貌してしまった千影。
勒は彼女を救ってくれるのでしょうか?
そして桃の友人であるはずの彼女は、桃に対してどんな感情を抱いていたというのでしょう?
仏とロックとバトルのアクション、開幕です!!


というわけで、魍魎、そしてオニとの戦いを描いていく本作。
この後物語は勒と桃、そして勒を導く(?)あるキャラクターなんかを中心に進んでいくこととなります。
オニと化した人と戦い、心を揺さぶるロックを聞かせて魍魎を追い払い、退治する。
そんな彼の活躍と、巻き込まれながらもめげない桃が描かれるのです!!

今巻の中ではやくも勒の過去が明かされ、彼が妙にロックにこだわっている理由がわかります。
ですが、まだその両腕が木製になった理由などは明かされておりません。
さらに、ただただいい子である普通の女の子、だと思われていた桃にもどうやら秘密がある様で……?
ただ毎回現れる魍魎を退治するだけでなく、敵のボス書くと思われる怪しげな人物も登場し、どんどん物語が動いていくこの第1巻。
これから先も気になるストーリーが繰り広げられていきそうですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!