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今回紹介いたしますのはこちら。

「カコとニセ探偵」第1巻 光永康則先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。

さて、本作はホラー+ミステリといった感じの作品です。
光永先生はほかにもこういったオカルト的なお話や事件捜査的なお話をいくつか描かれているわけですが、果たして本作では……?


主婦が殺された事件の現場に、警察が調査に来ていました。
犯行時間は2時間前、ところがこの2~3時間はこの家に出入りした人間はいないという証言がある、そして玄関以外の出入口はすべて内側から施錠されている……
そんな事件の詳細を、女性刑事の沢角泉は事細かに説明します。
説明している相手は、かつて天才少年探偵と呼ばれ、もてはやされていた時期もあった、メガネの高校生、六波羅覚。
彼はこういいます。
謎解きとか推理というものは、見ればわかるものを警察に伝えるための翻訳作業に過ぎないんだ。
そう言った覚には、普通の人間が見えないものが見えているのです。
それは……殺された被害者の、幽霊。
そして幽霊は指示しているのです。
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自らを殺した、犯人を!!

幽霊が指さしているのは警察官の一人。
その背中には深々と凶器が突き立っていて、これで凶器もわかります。
ですがいくらなんでもいきなり凶器と犯人を告げても信じてくれるものはいないでしょう。
ここからが覚の推理の腕の見せ所。
早速その推理を披露し始めます。
玄関以外はカギのかかった密室と言っても、犯行時間よりも前から犯人が家の中にいたなら目撃されない。
凶器はこれだ、と指さし、血液反応を調べさせます。
そして次はこの家の主人のクローゼットを開き、一着のスーツを取り出しました。
子のスーツだけサイズが二つも小さい、犯人の遺留品だといずみに渡します。
まず犯人はこの家に客として上がり込んだ、台所の流しがぬれていたが、それは証拠を隠すためにティーカップを二組洗って片付けたのだろう。
そしてこの家の包丁で犯行に及んだ後、着替えた。
理由はいくつか考えられるが……「最初から制服姿だと人目につきやすい」と思ったのかもしれない。
そう言って覚は一人の警察官の腕をつかみ、児のセリフを言うのです。
「犯人はお前だ」と。
己袖から覗いているYシャツには、僅かな血痕が付いています。
先ほどのスーツのかすかなヨゴレとおそらく合致するはず。
「真実はいつもひとつ」と、決め台詞をつまらなそうに吐くと、覚はさっさと帰ろうとするのです。

以前は天才少年ともてはやされていた彼ですが、その能力と正義感の強さゆえ、犯罪者や地下組織などに敵を作りました。
今では警察や公安にまで常にマークされ、推理を不服とした犯人家族から20件も訴訟が提起されている状態。
そんな状況に追い込まれては、覚が今のようにドライになるのも無理はないことでしょう。
ですが、そんな覚に泉は頼みたいことがあると言います。
手に負えない難事件がある、今こうして非公式に捜査の強力をしているのは、警察に恩を売るためなんでしょ?
つだってくれたらすごく感謝する……
そう前置きをして、泉は奇妙な質問を投げかけてくるのです。
六波羅君は、呪いで人が何人も死ぬなんてことが、現実に起こると思う?

たどり着いた場所は、笹由里女学園というお嬢様学校。
ここで10年前、ある女生徒が「花子さんを見た」という言葉を残して自殺しました。
そしてその後、1週間の間に7人もの生徒が次々になくなったとか……
死因は授業中に心不全で倒れたり、誰もいない階段から転落死したり……
事件性はないとされ、事故や病気として処理されたのだというこの事件ですが、7人とも同じ言葉を死の直前に言い残したのだと言います。
「花子さんを見た」と。

件のトイレにやってきました。
そのトイレには……8人の幽霊が立ち尽くしています。
7人の女生徒が並んで立ち、その正面の中空に立っている一人の少女は、その7人の幽霊を指さしている……
これの意味するところは、最初の少女はこの7人に殺されたのだということ。
最初の被害者はおそらく、放課後に何らかの方法で自分の席で眠らされ、7人によって3階に運ばれた。
目覚めた被害者の前に、花子さんに扮した人物が姿を現すと、当然逃げ出す……
夜になっているので正面玄関が施錠されているのはわかっている被害者、日常的に生徒たちに秘密の出入り口として使われていたトイレの窓から出ようとしたものの、知らぬ間に3階に運ばれていたことを知らない彼女はそのまま転落……これで「自殺」になった、というわけです。
それではやはり花子さんの呪なんてものは存在しないのでしょうか?
……そうではないのです。
花子さんは、実在する……
7人の女生徒の亡霊は、全員が一転を指さし……そこには長い黒髪の少女が浮かんでいたのですから!!
どうやらその少女の霊は、泉にも見えたようで。
泉は初めて見る幽霊にショックを受け、あっさり気を失ってしまいました。
少女の霊は、お前は自分を見て驚かないのかと聞いてきますが、普段から霊を見慣れている覚ですから取り乱しはしません。
ですが内心では、普通の人間にも見えて、しゃべることができる霊など初めて会ったのですから驚いてはいるのです。
ところがその少女の霊、自分は花子さんではない、そして7人が指さしているのは自分ではない、とその場をすっと移動します。
それでも7人の指さす手の向きはかわらず……今まで少女の霊のいたあたりを指さしたまま。
そちらの、まだ先のほうを指さしているのか……?
そんなことを考えながら、花子さんじゃないならお前は誰だと少女の霊に問いかける覚。
すると少女の霊は答えました。
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私は化子。
このトイレに縛られた、高貴な地縛霊とでも言っておこうか、と!!

化子は、真犯人はどうするんだ、放っておくと次の犠牲者が出るなどと言い出しました。
ですが事件が起きたのは10年前、もう次の犠牲者なんて……と言いかけたところで、泉の以上に気が付きます。
彼女は、捜査令状を持っていないのです。
そして、推理に基づいて彼女の携帯を見ると、彼女の妹か何かからのメールを発見。
そこには「私花子さんを見たよ」という内容が記されていて……
どうやら化子はその「花子さん」を知っているようです。
が、彼女はこのトイレに縛られてしまっている霊で、誰かを依代にしなければこの場を離れることができないようです。
さらにその花子さんは、「人間には斃せない」そうで……
化子を連れていけばもう犠牲者は出ない、解決できる。
それを確認した覚は、自分を化子の依代にする契約をするのでした!!

そして、化子の導きとサトルの推理が合わさり……とうとう対面することとなるのです。
本物の……
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花子さんと!!


というわけで、名探偵と幽霊のコンビが、常識では考えられない……怨霊がらみの事件を解決していく本作。
今でこそ、公にならない程度に加減をしながら捜査に協力していた覚ですが、本来は正義感に燃える少年だったはず。
そんな彼が出会った、「怨霊」退治。
本来ならば恐るべき相手ではあるのですが、怨霊が相手ならば逆恨みの危険や報復を企む恐れはありません。
人に害をなしているのは、悪人だろうと怨霊だろうと同じですから、渡りに船といったところです!

基本はそんな怨霊がらみの事件を解決していく物語ではありますが、もう一つの軸となるのが化子の目的です。
どうやら彼女にはなにやら衝撃的な過去と、その過去に関連する大きな目的がある様で……
時間の解決とともに、こちらも要注目です!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!