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今回紹介いたしますのはこちら。

「束縛愛 ~彼氏を引きこもらせる100の方法~」第1巻 小路啓之先生 

秋田書店さんのヤングチャンピオン烈コミックスより刊行です。

小路先生は97年にちばてつや賞を受賞してデビュー。
その後00年よりアフタヌーンにて連載デビュー後、講談社さんや幻冬舎さん、集英社さんと様々な出版社さんをまたにかけて様々な作品を連載。
現在も本作と同時に月刊モーニングtwoにて「メタラブ」を連載されています。

さて、本作は特殊な関係の男女を描く作品です。
淡々と衝撃的な事件や登場人物の関係性を描いていく本作、その内容とは……?


くくるは、人の頭の上に「数字」が見えます。
クラスメイトの秋吉さんは4、カグラくんは42、町田先生は3964……
子の数字が何を意味するのか、最初のころはさっぱりわかりませんでした。
最初は戦闘力かななどとも思ったのですが、電動カートに乗っているようなおじいちゃんの頭の上の数字が553080であることなどからも、そんなわけないことはわかります。
しかもこの数字、日にちによって変わっていくのです。
ただ、増えることはあっても減ることはない……
なんだかわからないまま過ごしていたくくるですが、なんてことのない拍子にその謎が解けてしまいました。
友人が見せびらかしてきた、「100体目の完組プラモ」。
その友人の頭の上に表示されていた数字は……100。
そこでくくるは101体目に挑戦してくれないかな?と頼み、友人は普通にそれを了承して、今度は101体目の完組プラモを作って持ってきてくれると、数字は101になっていたのです。
この数字は、その人が大事にしているものの数だったのでした!

その後、くくるの興味はその大事なものが何か、ということに移っていきました。
友達には顔出し看板から顔を出した自分の写真、という奇妙なモノをカウントしている人がいました。
散歩しているおじさんは、犬の散歩をした回数のようです。
イチャイチャしているカップルは、二人そろって同じ回数。
これは、多分……あの回数です。
そんなカップルを見て、くくるは羨ましさを感じます。
それは自分も彼女が欲しいといった単純な憧れではなく、くくるが女性を信用することができないというトラウマゆえのもの。
母が、自分と父親を裏切ったという経験から、基本的に人というものを大切にできないのだというのです。
そんな精神状況のせいなのでしょうか、くくる自身の頭の上に浮いている数字は……0、なのです。
皆にはこんなにも大切なものにあふれている、自分のように大切なものが見つかっていない人間なんてこの世にいないんじゃないか?
くくるはそんなことも考えたのですが、意外にもすごく近くに「0」を頭に浮かべている人物がいたのです。
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クラスメイトの加賀ミオリ。
今まで気が付かなかったのは、彼女が自分の存在を消すようにして生きる人物だから。
何せ彼女、45分あるお昼休みをひたすら校内を歩き回るだけで消化するのですから!
普通、居場所がないとされる人物にでも、じっと息をひそめるような場所を持っているもの。
彼女には、図書館、保健室、屋上……トイレですら、彼女はとどまることはないのです!

そんなミオリ、自宅は中華料理屋を営んでいます。
くくるはミオリのことが気になってしょうがなく、ついつい彼女の後をつけて様子をうかがっていたのですが……
ミオリは絵階の窓から外に出て、書店街のアーケードの屋根の上を移動し始めました。
その手に持っているのは、どうも食事のようです。
彼女はその食事を持って、少し離れたよその家に、窓から入っていったのです!!
その家……シャッターが下ろされた、今はもうつぶれたメガネ屋のようです。
長いこと空き家になっているようですが……
そんな空き家から彼女が出てきたのはなんと3時間後。
手にした食器は空になっていまして、ミオリの表情は学校で見たことのない、どことなく幸せそうなもので……?

くくるの興味はエスカレートし、体育の授業中に抜け出してミオリの鞄をあさってしまいます。
中に入っていたのは、「ストレスなくペットを育てる100の方法」。
……ミオリの家は飲食店、ペットを飼うというのは少し考えづらいような……?
続けて顔をのぞかせたのは……白い布のような……
引っ張り出してみるとそれはどうも……男子用の、下着……?
その瞬間、彼に声をかけてくるものが現れました!!
なんと、ミオリ本人その人!!
興奮しすぎていたのでしょうか、彼女がすぐ近くに来ていたことに気づかなかったようです!!
ミオリはくくるの犯罪的な行為を糾弾するでもなく、こう言い放って彼を解放します。
今見たものは忘れたよね?
でないと目と耳と鼻を削いでしまうことになるから。

難を逃れた、わけではありませんが、ともかく厄介なことにはならなかったことに安堵したくくる。
トイレで頭を冷やすために顔を洗っていますと……自分の頭の上の数字が変化していることに気が付きました。
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それは……なんとも言葉では言い表しがたい、文字化けした数式のようなもの……?
この頃は子の数字が何なのかわからなかったくくる。
ですが、その意味がわかった時、彼とミオリはもっと「酷いこと」になるのです。
……何せミオリは、あの空き家で
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男の子を飼うっているのですから!!


というわけで、不可解な能力を持つ少年と、不自然なペットを飼う少女の開港から始まる本作。
これからミオリとくくるとペットの少年の三人の物語が始まる……のでしょうが、物語はいったん過去へと戻ります。
ミオリはどうしてペットを飼うに至ったのか?
空き家だからと言って隠れ続けられるものなのか?
そして今までどうやってペットの存在を隠したまま生活してきたのか?
それらが、ミオリの視点から淡々と描かれていくのです。
ミオリの性格はちょっと普通の人とかかけ離れていまして、その性格からとんでもない目にあわされてしまうことも……
そんな中で彼女が学んだことは……?
過去にさかのぼった物語は、やがて現代へ。
物語は、そこから本格的に指導するようです!!

今巻で描かれるのは、ミオリとペットの歪んだ関係。
こうまでして彼女はなぜペットに執着するのか?
彼女のその不可思議な行動と思考に、惹きこまれること間違いなしです!
さらに、ここまでしてあんな大きなペットを飼っているというのに、大切にしているものが0だというのはどういうことなのか?
そのあたりはこれから描かれることでしょう!!

静かに描かれる衝撃と、エロスやバイオレンスも盛り込まれた本作。
本格始動するこれからの展開が楽しみでもあり、恐ろしくもあり……
なんにせよ、今後が楽しみです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!