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今回紹介いたしますのはこちら。

「World 4u_(ワールドフォーユー)」第1巻 江尻立真先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。

さて、巷にあふれる怪奇譚を集めるサイト、World4u_の蒐集した恐怖の物語を描いていく本作。
初掲載から第1巻発売までは10年以上時間がかかりましたが、この第2巻は早くも発売となりました!
そんな今巻の恐怖とは……?


あたし、霊感強いかもしれない。
突然「情報屋」を自称する少女、明日香がそんなことを言い出しました。
そんな彼女の突飛な発言を冷ややかな目で見つめる、恵子とクラスメイト達……
情報屋を自称してはいるものの明日香はノリでいい加減なことを言うたちで。
その時もいつもの冗談だろうということになったのですが……そこから本当の「怖い話」に話題が意向していきました。
それは、ビデオ屋通りの名前で近隣住民に知られているある道での出来事。
女性が夜、一人で道を歩いていると、首筋に何かぞくりと嫌なものを感じました。
なんとなく牛を炉振り返ると……
暗闇に包まれた路地に、ぽつんと白い、女の生首が浮かんでいた……!!
恨めしそうにうつむき加減で、青白く光っていると言うその生首の幽霊。
盛り上がる一同ですが、恵子には少し引っかかる所があるらしいのです。
生首の幽霊、ならば関係ないとは思うが……去年、あそこで女性が死んでいる。
背中を刺されて殺されたと言うその女性、発見が遅れたせいで相当苦しんで死んだとか。
そんな無念や苦悶とともになくなった人は、幽霊になりやすいのかもしれない……
確かにそのニュースは聞き覚えのある所。
恐ろしいは恐ろしいのですが、その被害者は生首にはなっていないのですから今回の件にはおそらく関係ないでしょう。
一同は気を取り直し、また別のうわさ話に花を咲かせるのです。

すっかり日も暮れた夜。
オリジナルの歌をうたいながら、明日香は快調に自転車を走らせていました。
すると目前に見慣れた影を発見!
全速力で近づいて、その直前で泊まってその人物を驚かす明日香!!
見慣れた影の正体は恵子です。
彼女はレンタルしていたDVDを返しに外に出ていたようですが、明日香はこの通りとは正反対のほうに自宅があるはず。
こんなところに何をしにやってきたのでしょう……?
……そう、ここはレンタルビデオ屋さんがある、ビデオ屋通り。
明日香はわざわざあの噂を検証するためにやってきたのです!!

幽霊のうわさはともかくとして、通り魔が出たというのは本当の話。
こんな夜中に出歩くなんて危ないんじゃないかと興味本位でやってきた明日香に注意する恵子。
ですが明日香は、もうすでにその通り魔事件の容疑者がつかまっているのを知っていました。
しかも本当は、被害者は苦しみもがいて死んだわけではなく、首を一発でやられて即死だったことも!
私ら情報屋は嘘の情報を流しちゃ駄目だ!と言い出す明日香に、恵子は情報屋はお前だけだとつっこんでから、ビデオ屋まで付き合うかと尋ねてみました。
ですがここらへんをもう一回りしたいから、ということで二人はこの場で別れることになりました。
が、その時のことです。
急に明日香が耳を抑えてうずくまるではないですか。
心配して様子を尋ねると、なぜか右耳だけ物凄い耳鳴りがするのだとか……
ただそれだけなので大丈夫だと答える明日香なのですが……突然恵子は飛鳥の背後を見つめたまま、ぴたりと動きを止めてしまったのです!!
その視線の先には……
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青白い女の生首が!!
固まる二人ですが、明日香は興味が勝った様子。
あたしちょっと見てくる!と、自転車をこぎ出そうとするのですが、恵子は慌てて何を考えてんのとそれを止めるのです!!
……が、しばらくすると、その生首が、普通の人間であることがわかりました。
スマホをいじりながら歩いている、ごく普通のお姉さん、
確かに生首に見えたのに、これはどうして……?
さっぱり事情が呑み込めない恵子ですが、明日香はすべてがわかったようです。
スマホを見ながら、歩いていた女性。
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暗闇で胴体のほうがよく見えず、携帯の発する青白い光で彼女の顔の部分だけ照らされて浮かび上がったように見えた……
それがこの生首事件の真相、ということのようです!!
ですが幽霊に勘違いされたお姉さん、幽霊もいるかもしれないと言い出します。
少し前にここで通り魔事件があったけど、聞いた話では即死だったらしい。
そう言う人は死んだことに気づかずに例になりやすい……
血の気の引く二人ですが、女性は最近は物騒だから気を付けてってことだよ、と笑ってまた歩き始めました。
二人も再び、幽霊なんていないのか、と言いながら女性とすれ違うように歩き始めるのですが……その時のことです。
恵子が首筋を気にしたかと思うと……ばったりと昏倒してしまったのは!!
慌てて彼女に駆け寄る明日香。
女性もそれに気づいて駆け寄ってきて、頭を打ったかもしれない、今救急車を呼ぶと電話を取り出しました!
恵子を抱いて様子を見る明日香ですが、その時触れた首筋にわずかに流血があることに気が付きます。
前のめりに倒れた彼女のおでこあたりが傷になっているのならわかるが、何故首筋に……?
そう考えた瞬間、明日香も首筋にぞくりと冷たいものを感じました。
これが悪寒ってやつか?と考えた瞬間、明日香もまた力なく倒れてしまいます。
体が動かない、目がちかちかする、なんだこれは……?
朦朧とする明日香のすぐ横に……先ほどの女性がしゃがみこみ、語りかけてきました。
まだ意識があるの?
仕方無いか、あなたの反応が良すぎて半分しか打てなかったし。
そう言う彼女の手に握られているのは、注射器……?
彼女は続けます。
でもこれも悪くない、ゆっくり表情を眺められるし。
彼女はどこからか、大ぶりな刃物を取り出します。
ごめんなさいね、しばらくはやらないつもりだったんだけど。
警察が別の人を逮捕して喜んでるから、頭に来ちゃって。
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……もしかして……いや、もしかしなくても。
彼女があの、恐ろしい通り魔事件の、真犯人!?
抵抗したくても動かないからだ、意思と反してふさがっていく瞼……
二人は、通り魔の新たな犠牲になるしかないのでしょうか。
凶刃の迫る中……明日香の耳には、再びあの耳鳴りが響きました。
そのおかげでわずかながら意識が回復した明日香、必死に瞼を開けると、そこには!!


というわけで、幽霊の正体見たり枯れ尾花、と思い来や……と言うお話を収録した今巻。
幽霊よりも人間のほうが怖いよ系のお話、であると言えばあるのですが、この後更なるどんでん返しが用意されています!!
そしてそのほかにももちろん恐怖のお話がたっぷり収録。
地面に「×」の字を描く謎の女性のお話、前巻にも登場した「むじな坂」の別エピソード、公園にいる不思議な少年のお話。
そして、超メジャーと言ってもいい怪談、「今度は落とさないでね」を、そのポイントを抑えつつ大胆にアレンジした2種類の物語は本館のメインと言ってもいいかもしれません!!
さらに巻末には、謎に包まれていたウェブサイト「World 4u_」の管理人の謎に迫る重要な話が収録!!
本作には何度か登場するメインキャラはいるものの、連続したドラマ性はありませんでした。
その物語の軸になるかもしれない要素がいよいよ登場し、さらにこの第2巻で完結にはなっていないので……これからの展開に期待してもよさそうです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!