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今回紹介いたしますのはこちら。

「屍囚獄」第1巻 室井まさね先生 

竹書房さんのバンブーコミックスより刊行です。

さて、室井先生久しぶりの単行本となる本作。
前作「るべどの奇石」は、石にまつわる不思議な話を描いていく作品でしたが、今回はもっとストレートな恐怖もの!
果たしてその内容とは!?


山奥の人口わずか43名の小さな村、八坂村。
そこに、教授と助教授、そして6名の女子大生がやってきました。
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この女子大生たち、この村の古民家にとまって、村の調査の手伝いをすれば単位がもらえるとのことで、いやいやながらもやってきたようです。
一同はこの村を収める立場であるらしい、「猿田彦」家にお世話になることになりました。
猿田彦は好々爺然とした笑顔で一同をにこやかに迎えてくれました。
ですがこの村には、女手がない、とのこと。
猿田彦の妻も長いこと寝た切りなのだと言います。
部屋に飾られていたその奥さんの写真……表情が何やら暗いのは気になりますが、相当な美人さん。
若いころはモテたんじゃないか?と冗談半分で尋ねますと、猿田彦もまんざらではないような感じでこう答えたのです。
若いころはそりゃもう、村中の男が「宇受女(うずめ)」に夢中になっとりましたわ、と。
宇受女、とはなんなのか?
気になる所でしたが、そこに猿田彦の息子らしい貴彦という青年が姿を現し、話はうやむやになってしまいます。
今年で26になるという彼、まだ独り身なんだそうで。
彼女たちのうち誰か人里ぐらい頑張って口説いてみろ、などと猿田彦は貴彦に言うのです。
……助教授はこれでこの村でのフィールドワークに隠されていたからくりをつかみました。
閉鎖的だったこの村が急にフィールドワークを受け入れたのは、息子の嫁探しのため。
教授はどうしても調査したくて、単位をエサに女子学生をたくさん引き連れてきた、ということなのだ、と!

今時和式のぼっとん便所。
いきなりその現実に直面した女子大生のテンションはダダ下がりなのですが、さらに一同を驚かせる人物が姿を現しました!
見上げるほどに大きい、こわもての大男……伊助。
彼はあの貴彦の兄らしいのですが、ビジュアル的にはイケメンの貴彦と比べ、その顔は少し近寄りがたい恐ろしいもので。
さらに、父の猿田彦をして「頭がちょっと弱い」という人物で、何を考えているのかわからないのです。
そんな伊助は、一人奥のほうの部屋へと入っていきました。
そこには、一人の老婆が床にふせっていました。
伊助が今日の出来事をその老婆に伝えたのでしょう……彼の持ってきた食事を食べながらその老婆は案じるのです。
東京から女子がたくさん来たのか、何とかせんとならんの、と……

この村は猿田彦神を祭っているとのことで、この村を統べる天野家の当主は代々猿田彦を名乗っているとのこと。
毎年1月には、この家に祀られている天狗の面をつけ。猿田彦が猿田彦神を演じる「ふなど祭」が行われ、天孫降臨の一部を再現するのだそうです。
明日はその社に案内してくれるというのですが……そんな会話をしている際中、村の男集が続々と集まってきたのです!
若い娘がたくさん来ているというから、歓迎会をしてやらなければあかんと言う彼ら……
なんだかその笑顔の端橋には、下心が透けて見えるような。
ですがそれも当然、この村ではなんと50年にもわたって女の子が生まれていないのだというのです!!
奇妙な偶然もあるものだ……で済めばいいことなのですが、村の男集の一人はそれを「ウズメ様の祟り」だと言っていて。
猿田彦はその話題をして欲しくないようで、すぐその男に黙る様命ずるのですが……?

そう言えば、この歓迎会に貴彦の姿が見えません。
ふもとの町に言っている、と猿田彦は言うのですが……その時、貴彦はどこかの民家を訪ねていました。
そして階段を上り、遅くなってごめん、ケーキ買ってきたよ、と部屋の中に入っていくと……
そこには一人の少女が、ぬいぐるみを抱いて座っていたのです。
この少女は何者なのでしょうか。
貴彦は彼女を、こう呼んでいたのです。
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うずめ、と!

翌日。
二日酔いで寝続けるもの、真面目にフィールドワークに出るもの、そして猿田彦の近所の男性の家に向かうもの、の三手にわかれた女子大生たち。
比奈と沙霧は、近くの男性の家に来ていました。
比奈のお目当ては、この家にあるシャワートイレ!!
猿田彦の家のぼっとん便所にはどうしてもなじめず、わざわざこの家にまで来てトイレを使わせてもらうことにしたのです!
沙霧は比奈の付き添いできただけで、彼女のわがままに正直辟易しておりました。
そんなとき、この家の男性が、沙霧に面白いものを見せてやるから来なさいと手招きしてきて……

しばらくたった後、比奈がトイレから出てくると、そこには誰もいません。
まさか先に帰っちゃったのかと家の中を探し回っていますと、突然後ろから何者かが比奈を抱きすくめてくるではありませんか!!
何とその人物、この家の男性です!
男性は比奈を荒々しく地面に転がし、おもむろにベルトを緩め始め……!
さすがに男性の目的がわかった比奈、大声を出すわよと抵抗の石を示すのですが、男性は全然余裕。
このあたりは廃屋ばかりで、人が住んでいる家は一番近くても300メートルはある。
どんな大声を出しても誰にも聞こえない!!
そして男性は比奈を組み伏せ、7人もいるんだから、一人二人まわしてもらわないとな!とその欲望をむき出しにして……!!
絶叫して身をよじる比奈!
ですがその絶叫は、すぐさま別のものへと塗り替えられることとなってしまうのです!
鈍い音とともに、比奈の目の前で
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斧で真っ二つにかち割られる男性の頭!!
力なく崩れ落ち、比奈にもたれかかるようにしてい鍛える男性……
その斧を持つ謎の人物は、あの猿田彦神の面をかぶっていて!?
突然目の前で起こった惨劇。
果たしてこれは一体何なのでしょうか。
比奈はこのまま、なすすべなく凶刃を浴びせられてしまうのでしょうか!?


というわけで、奇妙な風習の残る村で巻き起こる惨劇、という実にスタンダードな物語となる本作。
どうやら村中がぐるになっているようで、女子大生たちを餌食にしようと画策するようなのですが、物語にはまだまだ謎が隠されています。
宇受女とはなんなのか、うずめと言う少女はなにものなのか。
村に女性をおびき寄せて餌食にしようとしているのは村ぐるみの企みのようであるにもかかわらず、その村人を容赦なくたたき殺す猿田彦面の男は何なのか?
貴彦や伊助という、村の意思とは無関係な様子の人物もいることですし、一枚岩ではなさそうなこの村。
こういった作品のお約束に漏れず、この後道がふさがって脱出不能になった女子大生たちはどのような運命をたどるのか!?
その他のお約束もしっかり守り、内輪もめも起こっていくこの地獄のような村の中で……果たしてだれが生き残り、誰が死んでいくのでしょう!?
今のところスタンダードな展開となっている本作が、これから先そのスタンダードをひっくり返す展開に行くのか、王道をたどりながらも驚かせてくれる展開になっていくのか?
どちらにせよ目の離せない物語になっていきそうです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!