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今回紹介いたしますのはこちら。

「エロゲの太陽」第3巻 原作・はまむらとしきり先生 漫画・村正みかど先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。

さて、はまむら先生の実体験をもとに、エロゲ業界のあれこれをコミカルでシリアスに描いていく本作。
良くも悪くも特殊な業界の気になる事情を描いていくわけですが、今回はその中でもとりわけ大きな問題を取り扱うシリーズが開幕!!
その、身近に存在する、根深い大問題とは……!!


女性社員ばかりの中、たった一人の男性社員(&パソコンド素人)として奮闘してきた神田。
そんなある日、いきなり男性新入社員が入ってくることになりました!!
小柄で童顔な彼の名は沖野。
新入社員とは言っても、バイトですが……なんにせよ神田にとって初めてできた後輩で、しかも男性!
いろいろ教えてあげよう、と思っていたのですが……すぐに神田は仰天することになるのです。
彼……パソコンに詳しかったのですから!!

まあ普通に考えて、エロゲ会社にバイトに来る時点でパソコンの扱いはできて当たり前のはず。
しかも彼、大学生ではあるのですが、土日を中心に他社でバリバリ働いていた即戦力。
今回も新作が発売直前で忙しいために来てもらったのです。
ちょうど彼も今まで働いていた会社が急に倒産してしまったため、渡りに船だったとのことです。
……そこで気になるのは、そのつぶれたメーカーはどこなのかということ。
同業者として明日は我が身ともなりかねませんし、そこを尋ねてみますと、新作の発売予定もあった結構大手のメーカーの名前が出てきました!
なぜ急にそんな大手がつぶれてしまったのか?
沖野が小耳にはさんだ情報によると……
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何でも以前から、不正コピーに苦しんでいたのだとか……
本来、ソフトのコピーというのはコピーの権利、コピーライトを持つ者にしか許されてはいない行為です。
個人で勝手にコピーし、それを無償、あるいは安価で配布する……
それはゲームソフト、とくにパソコンゲームにはかなり昔から存在していた行為で。
以前はネットというものがなかったため、購入した人物の知り合い程度にしか広まらず、被害は無視できるほどのもの、という小さいものではなかったものの、致命傷に至るほどではありませんでした。
メーカーも当時からコピー対策のプログラムを入れるなどして対策を講じてきたのですが……
近年のネットの普及によって、事情は一気に変わってきてしまいます。
ネットを通じて、不特定多数の人物に、無料でコピーを配布できるようになってしまったのですから!!
しかもいままでパソコンに詳しい人物しかできなかったコピー対策プログラムも、その不特定多数の誰かがプロテクトを解除した状態で配布すると言う状況に……!!
さらに現在のコピー配布手段の主流であるP2Pソフトでは、個人と個人の通信をそのソフトを起動している人物全員と接続する方式となっていて、大本をコピーして放流した「主犯」を見つけるのが困難で。
挙句にその主犯は海外のサーバーを経由するなどして身元を隠すため、一層逮捕するのが難しくなっているのです!!
ちなみに本作第1巻も、刊行一週間で不正コピーがばらまかれていたとか。
漫画の場合も、初版のスタートダッシュが連載の継続に大きく影響を与えることが多いそうで……ゲームに興味のない方も人ごとじゃないんです!!

たとえば、地味ながらプレイしてみるとすごい面白いゲームがあったとします。
発売後、しばらくして評判になり、多くの人にプレイされる人気作になりました。
……が、評判になった時点でゲームは不正コピーの配布をされていて、ユーザー間に氾濫。
タダだから、と正規の商品を買うことなくプレイする……
理不尽なことに、不正コピーというのは人気作品ほど大きな被害をもたらします。
本来はいるべき利益が奪われた企業は……運が悪ければ倒産する!!
そのためメーカーは、初回特典のフィギュアだのマウスパッドだののコピーできないものをつけることによって何とか、不正コピーが出回る前の「発売日」に全力を注ぐのです……

誰もが犯罪だとわかっているのに、なくならない不正コピー。
エリコムにとってもこれは頭の痛い問題です。
月島はそのつぶれたというメーカーの知り合いに激励の言葉でもかけようかと電話をかけるのですが、そこでとんでもない事実を聞いてしまうのです!
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なんと発売が予定されていた新作が……発売前にもかかわらず不正コピーされ、ばらまかれてしまった、という!!
手段はいまだにわかっていないものの、以前からおかしなことはあったと言います。
予約が大量にキャンセルされたり、ショップから入荷を断られたり……
調べてみたら、その衝撃的な事実がわかったとのこと。
そうなれば、発売したとしても売り上げはおそらく激減、大赤字となってしまうことは間違いなしで。
実際にこうして、会社は倒産してしまったというわけです……
ですがこの事件に関しては、犯人はわかっています。
……いや、わかっているというのは少し語弊があるかもしれませんが……
ばらまいた犯人は、「ゴッド」と名乗り、アンダーグラウンドのネット放送で気に入らないゲームを槍玉にあげ、会社ごと潰そうとしているとんでもない男!!
完全匿名のネット生放送で今日も放送をするというので、月島たちは全員でその放送を見てみることにしました。
ごきげんよう、我こそはゴッドである。
そんな高圧的な言葉とともに現れた、仮面で顔を隠したゴッド。
来月発売予定のエロゲの一覧を表示したゴッド、このゲームをプレイして世界最速のレビューをし、そのゲームがクソゲーかどうかを視聴者のコメントに評価してもらい、クソゲー……「有罪」ならばコピーをばらまく、と言い出すではありませんか!!
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……その一覧の中には、エリコムのソフトも含まれていて……!!
顔面を蒼白にする一同。
しかもこの放送、ゴッドとやらのレビューはもう有罪にしたくてしょうがないからつけるいちゃもんのようなもので。
さらに視聴者たちは、ゲームをただでプレイしたいがために何でもかんでも「有罪」とコメントする輩ばかり!!!
このままでは、エリコムのソフトも発売前にばらまかれてしまう……!?
このピンチ、どうやって切り抜ければいいのでしょうか!?


というわけで、エロゲ業界最大の問題である不正コピー編を描く本巻。
もはやエロゲとは切っても切り離せない問題である不正コピー。
メーカー側に立っている漫画ですので、その不正コピーに対する対抗手段はこんなものもとられていますよ、といったことが興味深く描かれています。
こういった現実でも問題になっている出来事を漫画で描くとどうしても説教臭くなったり、カタルシスにかけるお話になったりするのですが、本作はそこも考えてありまして、きっちり漫画として面白い展開を用意!
ゴッドをどうやって倒すのか!?
思わず声が漏れてしまう怒涛のクライマックスまで収録されていますので、小難しい話は良いよ……と考えている方もご安心ください!!
いや、小難しい話ももちろんあるんですけどね!

そんないろいろな意味で興味深い不正コピー編に加え、エリコム社員の一人のとんでもない過去が語られつつ、やっぱり知られざる制作の裏側が見られる音響編の決着も収録されています。
ドラマ性はもちろんのこと、武礼堂の両先生らしいコミカルな要素や、今回はちょっと控えめながらサービスシーンもきっちり用意されている本作。
エロゲに興味のある方に広く読んでいただきたい作品になっていますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!