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今回紹介いたしますのはこちら。

「つまさきおとしと私」 ツナミノユウ先生 

講談社さんのKCxITANより刊行です。

さて、ちょっぴりコミュニケーションに問題のある主人公が、かんちがいしたりされたりしながら日常を過ごす作品を得意とするツナミノ先生。
本作はやっぱりそんなタイプの作品です。
主人公は宇宙人だったり超能力者だったりと、普通の人間ではないことの多いツナミノ先生作品ですが、本作の主人公はとうとう完全に人間じゃありません。
その名も妖怪「つまさきおとし」。
はたしてそのつまさきおとしとは?「私」とは?


道を歩いていた中学生の女子。
その時、いつの間にか自分の靴のつまさきがすっぱり切り落とされてなくなっていることに気が付きました。
つまさきが!?と驚く少女ですが……直後、もっと驚くものを目撃します。
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藁の蓑のような髪の毛をのっけた、大きな顔に手足が付いている、真っ黒でシンプルなデザインのなんか可愛い感じの奴が、すぐ傍にいたのです!!
うわーっ、妖怪!?と仰天してしりもちをつく少女。
方、俺が見えるのかと感心するその妖怪、俺の名は「つまさきおとし」、靴の余ったつまさきを切り落とすものだ、妖怪などと言う人間が勝手に作ったカテゴライズなど……と語り始めたのですが……
少女はの口から出てくる言葉の毛色が徐々に変わってくるのです。
妖怪、の、しゃべるぬいぐるみ?
カテゴライズとか、英語わかるんだ。
人の靴のつまさきを切るの?なんで?
やつぎばやに投げかけられる質問。
つまさきおとしはちょっと戸惑ったものの、すぐこんなことを言い出すのです。
お、教えてやろう!
つまさきの余ったような靴を履くようなスキだらけの人間どもの心のスキをつくのが俺の役目だ!!
おろかなる人類への……人類に対する……えぇと……愚かな人間め!!
……どうもいろいろ固まってないようです。
雑だなぁ、と素直に感想を漏らす少女、一応乗っかってあげることにしたようで、私にドンな隙があったのか尋ねてみることにしました。
するとつまさきおとし、そこはすぐ反応!
歩きスマホだ、ぼんやりスワイプとかタップとかしおって、周囲も見えずなんて不注意で愚かな人類……
と、そう勢いよく言いだしたものの、途中でなんか違うかなと気が付きます。
別にあの、妖怪とか自然界代表みたいなポジションから、現代社会の風刺とかマナー違反の指摘とかをやってるわけじゃない、ほんとに余ったつまさきを切るだけで……としどろもどろになるつまさきおとし。
少女はとりあえず、わかった、もう歩きスマホ止める、と素直に答えたのですが……
つまさきおとしは、違うから、そう言うんじゃないから!と言い残してダッシュで去っていってしまうのでした。
あっけにとられて見送るしかなかった少女ですが……

月曜日になりました。
コンビニの雑誌コーナーは、某有名雑誌を読む人なんかでごった返しております。
そんな人の壁の隙間を縫うように手を伸ばし、目当ての雑誌をとろうとする男性がいたのですが……
その男性のつまさきを、いままさにつまさき落としが得意の糸ノコで切り落としているではありませんか!!
これがつまさき落としの日課なのですが、その日の日課はいつもと違うところがありました。
そのつまさきおとしの日課を、
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いつの間にか現れたあの少女が見つめていたのです!!
こんなに混んでる店より梳いているところを探せ、急がば回れ的なことを伝えようとしているの?
いきなりそう言ってくる少女に、今度はつまさきおとしのほうがびっくり仰天!!
お前、俺は普通の人には見えないんだぞ、お前今一人でぶつぶつ言ってる変な子だよ?
確かに周りの人々は、怪訝な瞳で見つめております。
つまさきを切られた人もつまさきがないことに気づかずに……
ですが少女は、気にしないと言い張ります。
……つまさきおとしの胸中を満たすのは……恐怖!!
もうやだ、この子怖いよ!とこの場を逃げ出し、住まいにしている空地の土管の中に逃げかえるつまさきおとし……
ですが、その自宅にすら少女はひょっこりと姿を現すのです!
で、急がば回れ的なことを伝えようとしてたの!?と引き続き熱心に尋ねてくる彼女。
何なんだお前、と思わず叫ぶと、彼女は私は長妻咲(ながつまさき)ですと今になって自己紹介。
ながいつまさき、なんてなんてタイムリーな名前なんだと思わず突っ込むつまさきおとしですが、咲はつまさきおとしの反応などお構いなしに話を続けるのです。
つまさきおとし君、は長いから、とし君って呼んでいい?
私これから、とし君の観察することにしたから、よろしくねとし君!
そんな先の表情を見て、戦慄とともにある確信をするとし君。
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あ、これ逆らえないやつだ。
……こうして、つまさきおとしと彼を見つめ宇\つづける少女の物語が始まるのでした。


というわけで、妖怪と少女の日常を描いていく本作。
第1話では、つまさきおとしの一被害者にしか過ぎなかった咲が、その本性を現してから本格的に物語が始まる本作。
この後、咲のとし君に対する気持ちがどんどんと加速!!
その感情は多分最初こそ興味に過ぎなかったのでしょうか、どんどんと肥大化していき、もう完全に愛になっていくのです!!
それもなんていいますか……サイコさん的な感じの愛に!!
基本的に、妖怪(便宜上そうします!)であるつまさきおとしが神出鬼没なのはわかります。
が、そんな彼の仕事をする大体のところに、なぜか咲が出没!!
彼がただ本能に従ってつまさきを切っているにもかかわらず、人間との初会話で舞い上がり、とし君はつい陣理がどうのと大言を吐いてしまいました。
先はなぜかその大言に、なんとなく切っているだけのとし君の行動を結びつけては、勝手に尊敬したり可愛く思ったりする……
そんなお話が、一話2Pで今巻には54話収録されています!!
どんどんと大きくなっていく咲の愛情の行方は!?
最初こそ恐ろしがるだけだったとし君に、徐々に訪れる変化とは!?
妖怪を超えた妖怪っぽさをみせる咲の行動や、それに対するとし君のリアクション、そして彼女の背景を知るにつれて変わってくる心情は!?
クスリと笑えてたまにじんわりくる、ツナミノ先生の世界を今巻でも堪能できますよ!!!

ちなみにツナミノ先生作品恒例の、登場キャラのプロフィールや、カバー下のおまけも充実!!
さらに今回はツナミノ先生の過去作「隠慎一郎」「プロキオン」とのコラボおまけ漫画まで収録してありまして、いつも以上の大判振る舞いです!!

ちなみに現在もウェブサイト「ねとらぼ」で連載されている本作ですが、巻数表記がないことからもなんとなくわかるように、第2巻の刊行は未定だそうです!!!
ちょっと癖のある本作(と言うかツナミノ先生作品)ですが、読めば面白いのはもちろん、萌えたりもできます!!
第2巻刊行のため……ご興味のある方はぜひともご購入をお考えくださいまし!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!