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今回紹介いたしますのはこちら。

「地獄の教頭」第1巻 大沼良太先生 

スクウェア・エニックスさんのヤングガンガンコミックスより刊行です。

大沼先生は最近になって活躍を始めた漫画家さんです。
本作は14年にヤングガンガンで3回の短期連載をした後、15年に読み切りを掲載、そして正式連載となった作品です。
主人公となるのはとある高校の教頭先生。
その教頭の「地獄」とは……?


教頭は地獄だ、という言葉があるそうです。
その理由は大きく分けて3つ。
まず一つ目は、「管理職」だということ。
校門の開錠、校内外の巡回。
そんな校舎の管理だけではなく、PTAや教育委員会なんかの相手もしなければならない人的管理、様々な物的管理、そして運営管理……
中間管理職として、やることは山のようにあるのです。
そして二つ目の理由としてあげられるのは、「職員室の担任」だということ。
教職員への指導や評価、メンタルヘルスへの配慮……
職員たちのトップとして、職員室の運営に気を配らなければならないのです。
最後となる3つ目は……結局は「なんでも屋」だということです。
草むしりから書類の作成、保護者対応に地域連携……
これだけの数多い仕事を強いられるうえ、直接触れ合う機会の少ない生徒からすれば印象が薄い……そんな立場である教頭を、「地獄」と例えるのもうなずける、かもしれません。

そんな教頭を務めている男性、近衛。
ある日、非常勤講師受け入れの一報を受けました。
5月という中途半端な時期に、それも人員の足りている体育科に。
校長もなんだか隠し事をしているような態度をしていましたが……いざその非常勤講師の溝口を見てみると……なるほどその態度の理由がわかります。
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敬語もまともに使えないチャラ付いた言葉、だらしない服装……そして、耳にはいくつもピアスが輝いています。
とても教師とは思えないその風体……近衛は、余計な仕事が増えそうですねぇ、とため息をつきながら彼を眺めるのでした。

教師とは思えない溝口、その授業態度もとんでもないものでした。
準備体操が終わると、今日はサッカーだから、自由に試合やっといて、チャイム鳴ったら終了してあがりで、と言い残してさっさと授業から立ち去ってしまったのです。
しかも向かった先は、テニスコート。
そこで体育の授業でテニスをしている女子を凝視する、というあれっぷり……
近くで草むしりをしていた近衛は、そんな溝口先生に向かって注意をするのですが……

全く反省していない溝口。
その上、今度は同僚の女性教師である新藤に目を付けます。
その学校で一番若い女性教師で、少し地味めな見た目ながらも文句なしの美人である彼女を……襲ってしまおうと考えたのです!!
溝口は舎弟的な男たち数名を個室タイプの居酒屋に呼び出し、凶行を手伝わせようとするのですが、舎弟たちもさすがにそれは乗り気ではありません。
何せ溝口、以前一度そっち関係で問題を起こしていて、元教育委員会の父親の力によってもみ消してもらい、ようやく社会復帰で着たところだというのですから!
ですが溝口の欲望はとどまる所を知りません。
何が何でも、彼女を手に入れようと邪悪な笑みを浮かべるのです……!
そんな、溝口の野望を……隣の部屋で聞き耳を立てている人物がいました。
近衛です。
近衛は何かをメモし……一足先にその店を去るのでした。

その後近衛は、溝口の横暴にほとほと愛想をつかせていた舎弟の一人に声をかけ、協力を取りつけます。
そして、溝口が何かと新藤を飲みに行かないなどと誘うのを見越し、多くの仕事を押し付けたり、地域懇親会に出席してほしいと頼んだりして、お誘いを断らせることに成功します。
ままならない展開に、ひたすらいらだつばかりの溝口……
そのイライラを、先日の居酒屋で再び舎弟たちにぶちまけるのです!
教頭うぜえ、新藤ちゃんとしてえ!
なんでもいつも予約済みなんだよ、「溝口専用なので」って言ってほかの誘い断れよ!!
人目もはばからずそう叫ぶ溝口……ですが、その場に突然新藤が現れたではないですか!!
最低です、もう近づかないでください!!
そう言って立ち去っていく新藤。
その立ち去った先にいたのは……そう、近衛でした!
何も知らないふりをして近衛は前回と同じように溝口の隣の部屋に貼り込み……彼女が自分で溝口の正体を知るように誘導したというわけです!!

もう溝口は我慢の限界です。
校庭の片隅で、やっちまうか、とつぶやくのですが……そこに再び近衛が登場。
また同じことを繰り返すのですか?
最後の警告です、襲うなんて考えはやめてください。
もしやるなら、それなりの対応をします。
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……私がいつでも見ていることを、忘れないでくださいね……

溝口はやはり悔い改めなどはしませんでした。
謝るチャンスをくれという口実を使い、メールで新藤を呼びだすことに成功。
車でひそかにその待ち合わせ場所で貼り込み……新藤の姿が見えると、スタンガンを手に携え、目だし帽をかぶって準備は万端!
行くぞ!!と舎弟たちに声をかけた瞬間……スタンガンが、「溝口に」炸裂したのでした!!!
もちろんこれは近衛の差し金。
近衛は……溝口を教頭として、教育、するつもりなのです。

……意識を失った溝口。
気絶から覚め、怒りとともに飛び起きたのですが、そこにいたのは舎弟たちでも教頭でも、ましてや新藤でもありませんでした。
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溝口の倍はあろうかという、巨大を持った醜悪な女……!?
そしてその女も、溝口も、衣服を一切まとっておらず……!!!


というわけで、底知れぬ教頭・近衛の指導を描いていく本作。
この後も近衛の前には様々な障害が立ちはだかることとなります。
切れると人格が変わったようになり、乱暴をしてくる生徒。
PTAを私物化し、絶大ともいえる権力をふるって横暴を働くPTA会長。
教師を誘惑するかのような行動をとる女生徒。
そして、自分のためだけに悪逆の行動を行う男子生徒と、そのバックにちらつく反社会組織。
そんな様々な一筋縄ではいかないであろう存在たちに、この「地獄」の教頭は、地獄というのにふさわしい方法で対抗していくのです!!
教頭の中に隠されているのは、切れまくる頭脳とバッキバキに鍛え上げられた体、学校の問題を排除するという精神……だけではないようです。
どうやらこの教頭自身にも様々な過去がある様でして……
巻き起こる事件がどのようなものなのか、それをどのように解決していくのか?という楽しみだけではなく、その教頭の過去が明かされる日も楽しみなところです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!