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今回紹介いたしますのはこちら。

「兄妹 少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿」第3巻 木々津克久先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

さて、行方不明となっていた兄が幽霊となって帰ってくるという異常な出来事を体験した蛍。
彼女自身になにやら死者を引きつける「光」を持っているようで、その出来事をきっかけにしたかのように様々な事件に巻き込まれていくことになります。
そんなとき、死に近い時の記憶を失っている兄の空白の記憶を埋めるかもしれない鍵となる女性、桐島と出会います。
ですがその桐島、警察関係者の壮行会の最中、謎の黒ずくめの男と休憩室に入った後……その部屋で一人、心停止の状態で発見されたのでした!


その場に居合わせた楓の調査でも、黒ずくめの男のことはわかりません。
やむなく蛍は自分で調べることにしました。
気になるのは、兄が依然桐島と親し気にしているのを見たことがある、という眼鏡の男。
桐島、黒ずくめの男、メガネの男。
この三人の三角関係による、痴情のもつれか何かか……?とあたりをつけるのです。
やがて警察が動き始め、ホールの出入りが禁止されました。
ここは多目的ホールで、様々なイベントが催され、多くの人がいます。
黒ずくめの男を探すのは容易ではありませんが……スーツを完全に処分する時間はなかったはずですし、鑑識が来れば一気に捜査も進むはず。
黙っていてもいいのかもしれませんが……やはりそうも言ってはいられません。
警察関係者と交友のある楓に、あの眼鏡の人物は誰かと尋ねてみれば、実にあっさり二階堂という若手のキャリア警部だということがわかりました。
一応探偵なんかをやっているわけですから、その質問で蛍が自分の知らない何かを探ろうとしていると気が付いた楓。
また何か情報を握っているのか、!吐け!と蛍に詰めよってきたのです!
折角ですから、あの人と桐島さんが一緒にいたのを(兄が、というのは伏せておいて)見たから気になって、とさらなる情報を引き出すことにしました。
……楓は何か思い当たります。
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なんでも二階堂は学生のころ桐島に振られちゃったんだそうです。
その上、自分より年下の男が桐島を盗りやがった、と荒れていた時期もあったんだとか。
もしかしたらその年下というのは兄だったのかな?だとしたらやるなぁ、なんて蛍は考えていたのですが……

その後もいろいろな人物に黒ずくめの男のことを聞いて回りましたが、一向に情報は集まりません。
兄も幽霊であることを最大限に利用し、ホール内をくまなく探し回ったのですが、やはりその姿は見つからないのです。
これだけ聞き込みをして、探し回って、挙句に大勢の警察官を投入した操作まで行われているのに、黒ずくめの男の情報は一切なし。
黒ずくめの男を見たという大島という人物は、体調を崩したとかで休んでいるとかで、その人に詳しく話を聞くこともできません。
……蛍が大勢の人物に聞き込みをしたにもかかわらず、黒ずくめの男を見たという人はだれ一人いなかったのです。
ということは……そんな男は「居なかった」んじゃないか?
蛍はそう言うのです。
そんな、「人」は!

蛍は思い切って、個室で休んでいる大島を訪ねてみることにしました。
楓の操作に協力している、ということにして、黒ずくめの男のことを聞いてみますと……
メールしていたからちゃんと見てはいなかったが、桐島所長の後ろに黒ずくめの男が立っていて、一緒に部屋に入っていった、顔がどうもはっきり思い出せないが……と、すでに知っているような情報しか出てきません。
が、そこで突然、蛍が指を鳴らすのです。
その合図で、壁を通り抜けて部屋に入ってくる兄。
するとどうでしょう。
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大島は、兄の姿を「見て」、おびえるではありませんか!!
蛍が声をかけると冷静になり、一瞬骸骨のようなものが入ってきたように見えて取り乱してしまった、と言い出して……

それで蛍にはすべてがわかってしまいました。
あの大島は、ずっと「見える」蛍とは違って、一瞬だけ見たり感じたりできる、でもその自覚がないタイプの人物である。
つまり……あの黒ずくめの男は人間ではない。
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桐島についている……あまりよくない、何か……!!


というわけで、兄の失踪の謎のカギを握るかもしれない人物の事件に立ち向かう今巻。
今までは、桐島を殺害しようとした人物を探すという目的で操作していたはずのこの事件。
ですが、犯人だと思われていたそれが人ではなく、桐島が心停止した原因なのだとしたら……事情は変わってくるわけです!
霊的なそれならば、兄や自分で何とかできるかもしれない。
何とかすれば桐島の命が助かり、兄の失踪した原因がわかるかもしれない!!
物語が一気に進む匂いもして来た本作ですが……この黒ずくめの男の正体は、実はとんでもないもので……!!!

もちろんこのお話以外にも事件は起こります。
物憂げな男を引き連れ、街を堂々と闊歩する怪物の正体は?
伝説になるため、学校の「塔」に上り切った男が、その直後に落下した真相とは?
様々な事件を、蛍と兄はどうやって解決していくのか……
本作ならではの物語が楽しめるのです!!

そして今巻も楓のヘタレ可愛さがばっちり収録!!
有能なはずなのに、とてもそうは見えないあれこれを見てにっこりするのもよろしいでしょう!!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!