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今回紹介いたしますのはこちら。

「ジークンドー G=ヒコロウ×雑君保プ×道満晴明競作集」 道満晴明先生・G=ヒコロウ先生・雑君保プ先生 

一迅社さんのREXコミックスより刊行です。

さて、本ブログでも幾度も紹介させていただいている3先生。
そのお三方が年に一回、テーマを決めて描き上げた作品をまとめた同人誌を発行する同人サークルがジークンドーです。
本巻は、06年から13年にかけて発表した作品がまとめられています。
07年に今流行りの(?)人外キャラをモチーフにした作品や、それぞれが考えた7つの言葉を作品に盛り込むチャレンジングな作品、7人の女子キャラに囲まれた主人公というキャラ周りを完璧に固めた企画、ぐっとシンプルに「ゾンビ」に絞った作品や、さらに広範囲に「百合」をテーマにしたもの……
どれもそれぞれの先生方の持ち味を発揮した作品となっているのですが、今回紹介したいのは、(個人的に隙なのもありますが)ホラーをテーマにした作品群「コワコワ」。
三人のうちの御一人が新世界を開拓した傑作を描いたこちらの内容は……!


まずはヒコロウ先生の作品、「メゾンデトレ」から!

新居に引っ越したアマル。
入居からしばらくたったその日は、友人二人を招いていました。
何事もなく用事はすんだのですが、帰り際にその友人の一人がこんなことを言い出したのです。
気を悪くしないで聞いてほしいんだけど、そこの部屋、なんかいるかもしんない。
思わずゾッとしてしまうそんな言葉ですが、アマルの態度はケロリとしたもの。
そうなの?ま、俺そう言うの見えないし平気、興味ないもん。
その言葉に安心したのか、友人は変なこと言った、気にしないでね、と言って帰っていったのでした。
その姿を見送り、部屋の中に戻ったアマルは……内心こんなことを思っていました。
やれやれ、止めてくれよそう言うの。
俺がこいつに気づいてるって、こいつに気づかれたらどうするんだよ。
アマルのすぐ後ろには……
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異様に首が長く伸びた、女性の亡霊が立っているのです!!

実はアマル、最初から彼女が見えていました。
でもせっかく引っ越してきた新居、また部屋を探すのも面倒だし、家賃は激安ですし……霊を無視して生活することに決めたのです!!
ですが問題はそこから始まりました。
この亡霊、何か悪さをするというわけではないのですが、何とか自分に気づいてもらおうと思っていろいろとやってくるのです!
首を伸ばして、アマルが見ているテレビの前に顔をのぞかせたり、冷蔵庫を開けた中に首をのぞかせていたり。
時には思わずリアクションをとってしまいそうになるアマルですが、そこは我慢!
先ほどの言葉を聞いていたのでしょうか、なんだか今日は強気で攻めてきてるようです!!
アマルももうなったら意地です。
舐めんなコラ、絶対気づいてやらねぇ!と謎の意気込みを見せながら、生活を続けるのです!!
ですが彼女、今度は攻めのパターンを変えてきました。
ハンガーにかかっている服の袖から手を伸ばしたり、煮込まれている鍋の中からの顔をのぞかせたり、露出度をぐっと上げつつ首をぐるっと渦巻いて隣にぶら下がっている電灯とおそろい(?)のポーズを取ってみたり……
やろう、ツッコミを誘ってきやがった!!
アマルはぐっとそれに耐えて、お風呂に入って落ち着きを取り戻すことにした、のですが。
そこでとうとう決定的な出来事が起こってしまうのです!!!
湯船でくつろぐアマルですが、その時水面から……!!


次に収録されているのは、雑君先生の「三人のエンジェル」です。

一人暮らしをしている、頬にばんそうこうを貼った青年。
一人暮らしは一人暮らしなのですが、実は彼の部屋には……三人の天使がいるのです!!
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元気いっぱいのロリッ子、おしとやか系のお嬢様、眼帯をしたシニカルさん……そんなキャラの三天使が!!

古くから物語などによく登場している天使ですが、一緒に暮らしてみて初めて知ることは案外多いようです。
たとえば、天使が時々分泌する天使汁。
床に水たまりのようになってたまっている天使汁は、誰のものかと尋ねる青年ですが、天使たちは白々しくすっとぼけています。
この天使汁、なんかすっごい臭くて……手に取って会で顔をしかめる青年に、天使たちが書いじゃダメ、変態!!と飛び掛かってくるのでした。
そして、天使たちは裸足です。
浮いているから要らないのでしょうか……ともかく、生足好きの青年からすればうれしいことのようです。
で、甲斐甲斐しく働くイメージもある天使ですが……基本的には何もしません。
そう言うものだ、何を期待しているのとしらける三人の天使に、青年は最終的に天国的なとこに出も連れていってくれるのか?と尋ねるのですが……三人の天使は、「何を言ってるのかわからない」「天国に行けるとでも?図々しい泥棒猫!」「地獄で焼かれろ」と、一致した酷い言葉を投げかけてくる始末。
幸い食事はしないようで、そこのところは助かっているようですが……
天使をバカにするな、ハルマゲドンが勃発したとき泣くことになるよなどと憎まれ愚痴をたたく天使たち。
ちょうど宅配便がやってきましたので、ガン無視してそれを受け取りに行く青年。
宅配便の配達員さんは何やら急に調子が悪くなったようで、ますます彼女たちの相手なんてしていられません。
天使たちはそんな青年に対し、天使が体内に飼っているという天使蟲を吐いて嫌がらせしてきました。
天使をないがしろにする輩に取りついて、いやな気持ちにさせるという虫ですが……虫を頭に這わせられたら、それだけで嫌な気持ちになるような気が……

成年は勤務先の喫茶店にやってきました。
マスターは真剣な様子で、こちらには特に連絡はない、など電話でやり取りをしています。
成年に、すまないけど今日も一人で頼む、と言って後を任せようとするのですが、その時成年の頭に何かが付いているのに気が付いたようです。
虫です。
これは天使の……と言いかけ、やはりやめてそれを踏みつぶす青年。
そのあとは、何事もなかったかのように仕事をするのでした。

部屋に戻ってくると、天使たちはなんと水着姿でお出迎えしてくれました。
やるじゃん、新鮮!と喜ぶ成年に、いつまでも無駄扱いに甘んじている我々じゃない、と胸を張る彼女たち。
眼帯の天使は水が苦手なんだそうですが、水着だけならと着てくれたようです。
でも何で水が苦手なんでしょう。
中耳炎?狂犬病?などとあれこれ尋ねる青年ですが、眼帯の天使は「知ってるくせに」というばかり。
何それ、知らないよ?
そう答える青年ですが、その脳裏にはいくつもの映像と言葉が浮かんできてしまいます。
やめて。
お願い。
シャワーヘッド、水の溜められた風呂桶……その中に沈めている……
必死に、静かに否定し続ける青年。
そんな青年に、眼帯の天使は言うのです。
「地獄で焼かれろ」。
その言葉を聞いた瞬間……!!


そして最後に控えるは、道満先生の「甘い生活」です。

夜目を覚ましたヨウスケは、全身に汗をびっしょりとかいていました。
一緒に寝ていたナツキが、どうしたのかと尋ねますと……ヨウスケはポツリと答えます。
怖い夢を見た、お前が死んじゃう夢。
それを聞いたナツキは、満面の笑みで葉介にくっつき、そうかそうか、私がいなくなって悲しいか、愛い奴め、とご満悦。
大丈夫だよ、私はいつまでもヨウスケと一緒にいるから。
ナツキはそう語りかけるのですが……

ヨウスケは選択を迫られていました。
実家からの、いつまでも待たせるわけにはいかない、けじめをつけろ、という声。
言われるまでもなく、ヨウスケはナツキのことを真剣に考えてはいるのです。
ですが……なぜでしょう。
何か忘れていることがある気がする。
そんな心の引っかかりが、ヨウスケに決断を許さないのです。

夜。
抱き合い、燃え上がる二人ですが……ここでヨウスケは思い出すことになるのです。
「一緒に」という言葉を聞き、思い起こされたのは……学生服を着ていたころの思い出です。
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お願い、一緒に、死んで。
ヨウスケにそう語りかけてくるナツキ。
そしてヨウスケはその誘いに応えたのです。
いいぜ、と。

ナツキの右手首には、今も生々しい傷跡が幾筋も見えます。
そして、ヨウスケの腕にも。
ヨウスケはすべてを思い出し、ナツキの頭をなでながらこういいました。
俺、もう行かなきゃ。
大丈夫、ナツキ、あのころと比べると馬鹿みたいに強くなったからもういじめられたりしないだろ?
ナツキは涙を流しながら、食い下がります。
大丈夫じゃないよ、連れてって。
今度こそ、私も一緒に!!
泣いて縋りつこうとする彼女に、ヨウスケは……


というわけで、三者三様のホラーを描いた作品を収録した本作。
この三作も、どれもが様々な驚きを与えてくれる傑作ぞろいなのですが、それ以外の作品も素晴らしいものばかり!!
ヒコロウ先生は、相変わらずのねじがぶっ飛んだハイテンションぶりを見せながらも、新しい絵柄を模索したりと前身を続けていらっしゃるのがすごいところ!!
雑君先生は持ち味のとぼけたドタバタ劇を描きつつも、商業作品ではあまり見せていなかったショートコミックでハッとさせるストーリーテリングを見せてくださいます!
そして道満先生は、もはや安定と言っていいしっとりとした雰囲気の読ませるお話を描いてくださいまして、もはや言うまでもないクオリティを見せつけているのです!!

三先生のファンの方ならばもう迷うことなく買いな本作ですが、どなたか御一人のファンの方でも文句なしでしょう。
それどころか、この三先生の強すぎる個性がどうしてもだめ、という方以外ならばぜひとも一度くしていただきたい内容です!

おまけのあとがきも、3先生それぞれが2ページも描いてくださっていてなんだかお得!
各作品について語ったり、各テーマのイラストを描いたりしているエクストラアートワークスも収録し、もはやスキなし!!
それぞれの先生の味が抜群に発揮されていて、笑い、泣き、驚き、恐怖、萌え……様々なエッセンスがギュギュっと詰め込まれている極上の一冊、買って損なしですよ!!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!