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今回紹介いたしますのはこちら。

「花とアリス殺人事件」 原作・岩井俊二先生 漫画・道満晴明先生 

小学館さんのビッグスピリッツコミックスより刊行です。

岩井先生は映画監督やドラマの脚本、小説や音楽、果ては漫画までと実に様々な作品を発表し続けている多彩な先生です。
本作も15年に公開された同名の映画作品がもとでして、その前作と言える「花とアリス」は03年にネットで公開され、04年にがご自身でコミックを発表されてもおられます!
さらに本作は、乙一先生によって小説化もされておりまして、様々なメディアと個性的な作家さんがかかわって展開されています。
15年8月には原作DVDも発売されていまして、本作は一連の関連作品のトリを務める商品となりそう。
独特の世界を持っている道満先生が、原作付き作品をどう料理するのか?
恥ずかしながら映画のほうは未見でございますので、そちらを踏まえない感想となりますのであしからずご了承くださいませ!


たくさんの段ボールを前にして、仁王立ちする少女、有栖川徹子。
中学三年生という忙しい時期の引っ越し、そして転校ということになったわけですが。
大量の段ボールを前にして、とりあえず……一服することにしたのでした。
チョコレートバーを加えながら、2階にある自分の部屋のベランダからなんとなく外を見つめることにした有栖川。
すると、自然とお隣の家の二階の窓が目に飛び込んできました。
カーテンの閉められたその部屋ですが……中から一つの目がこちらを見つめていることに気が付きました。
いや、一つじゃありませんでした。
もう一つの目……二つの目がこちらを見ていたのです。
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……なぜかその目、縦に二つ並んでいるのですが!
何事もなかったかのようにふるまいながら、部屋の中に入っていく有栖川。
おっかない、見なかったことにしよう……と言いながら、おもむろに片づけを始めるのです。
が、その時床板の一枚がベコリと外れかけます。
中古の家はぼろいなぁ、とその床板の隙間をいじってみますと、なんと中からテストの答案が出てきました。
2ねん2くみ、こうたろう、20点。
こりゃひでえ、前の住人はのび太君か?と、先ほどの恐怖を紛らわせるのですが……

翌日。
アリス側は転校する新しい学校、石ノ森学園にやってきました。
職員室に行きがてら、この学校はセーラー服なのか、着たくねえなぁなどと毒づいていると……やがてたどり着きます。
迎えてくれたのは、生物担当の朝永先生。
彼に導かれ、滞りなく有栖川は自分のクラスである3年2組に連れていってもらうことになったのでした。
担任の女教師に促されて自己紹介をして、そこの席ねと案内される有栖川。
ですが不思議なことに、席は指された場所の前後二つ空いてるではありませんか。
後ろの席の子は休んでいるんだ、と言われたので、おとなしくその前の席に座りのですが……
どうしたことでしょう。
新しいクラスメイト達は、なんだか恐る恐るといった感じで遠巻きに有栖川を見る感じなのです。
都会から転校してきた美少女が珍しいとか、そう言うあれか?と有栖川は考えていたのですが、実際はもっと奇妙な理由だった、というのがすぐわかることとなりました。
早速始まった授業ですが、転校してきたばかりでまだこちらの学校で使う教科書が届いて今いのです。
そこで、悪いけど教科書を見せてくれないか、と席をずらして隣の女子の席とくっつけようとするのですが……その瞬間のことです。
その隣の女子が、すごい剣幕で「ダメッ!」と叫ぶではありませんか!!
その必死の表層に、思わず固まってしまう有栖川。
そこから、出ちゃダメ。
そう言って女子が指さすのは、有栖川の足元でした。
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よく見てみると、床には机を囲むように奇妙な魔法陣が描かれていたのでした!!!

有栖川の席は動かすな、そして魔法陣はモップがけとかしないでくれ。
そんなことを言い含められる有栖川……その雰囲気もなんか嫌ですし、クラスメイトには基本的に裂けられている感じです。
むすっとして放課後も自分の席に腰掛け、机の上に足を投げ出していますと……突然教室の暗幕が閉められ、真っ暗にされてしまいました!!
戸惑っていますと、なんだかフードをかぶった奇妙な集団が現れ、有栖川に語りかけてきたのです。
クックック、呪われし女、有栖川よ……
と言うが早いか、有栖川の右ストレートがフードの男に直撃!!
そのまま教室から一気に逃げ出そうとしたのです!!
ですがその時、そんな集団から一歩引いたところで微笑んでいる女生徒に気が付きました。
このフードの集団を率いているのはあの女だ。
ピンと来た有栖川はうまいこと追撃をかわし、その女生徒に一対一で対峙!!
そして面と向かって、寄ってたかって転校生を初日にいじめるなんて卑怯だぞ!!と言ってのけたのでした!!
が、その女生徒は笑って言うのです。
いじめる?とんでもない。
私はあなたを救おうとしているのよ。
そう言って彼女……陸奥睦美は、あの「席」についての話をし始めたのです。
このクラスでね、去年殺人事件があった。
当時あの席に座っていた、ユダという少年が殺された。
あの席には、ユダの呪いがかかっている……
そしてそのあと、こんなことも聞くこととなるのです。
事件は未解決だけど、容疑者は4人いる。
ユダには、4人の妻(ユダ)がいた。
当時のことを知るものは、この学校ではたった一人。
去年の3年2組生徒であり、事件のあとひきこもりになって留年している少女、荒井花。
あなたの後ろの席の生徒で、ユダと家もとなり同士だった……

いろいろとな背景が明らかになり、有栖川はもうめんどくさくなってきました。
まだ終わらない方付けにも手を付けず、ドカッとベッドの上に転がると、その振動で段ボールが崩れ落ちてきちゃいました。
そして今度はその衝撃で、あのテストの答案がひらひらと舞い上がり、有栖川の顔に覆いかぶさってきます。
改めて見てみると、その答案にはこう書いてあるではありませんか!
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2ねん2くみ、ゆだこうたろう、20点。
……ゆだ。
この家こそが、3年2組のユダの家!!
ということはつまり、あの目が覗いていたお隣さんは……荒井花!?


というわけで、ユダの呪いに翻弄される少女を描く本作。
この後、有栖川は荒井花と会い、彼女に導かれながらユダ殺人事件の真相を追っていくことになります。
もちろんその真相のカギを握るのは、ユダの4人の妻(ユダ)。
中学生にして4人の妻を持っていたというユダとはいったい何者なのか。
本当にこの4人の妻のうちの誰かがユダを殺したというのでしょうか!?
そして、有栖川は自分のことも間接的に苦しめているユダの呪いを解くことができるのでしょうか!?

……というサスペンスな感じの物語の主軸ではありますが、そこは道満先生作品。
先生ならではのほんわかした感じで物語は進み、終始コミカルな展開で物語は進んでいきます。
原作をどのくらいなぞっているのかは正直わかりませんが、その物語の味わいはどこからどう見ても完全に道満先生作品といえましょう!!
原作付きだからなぁ、と迷っている道満先生ファンの方は、間違いなく買いです!
そして原作ファンの方も、ちょっとふざけた雰囲気に感じてしまうかもしれませんが、その雰囲気とともにじんわりと心を温めてくれる感動も内包しておりますのでご安心ください!!
コミカルなで軽妙でありながら、推理的な要素あり、心理描写アリ、どんでん返しに素敵なフィナーレアリ。
最後の最後まで楽しめる一冊に仕上がっております!!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!