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今回紹介いたしますのはこちら。

「アポカリプスの砦」第10巻 原作・藏石ユウ先生 漫画・イナベカズ先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。

さて、ゾンビ化の治療のため、ボコールの脳漿が必要となった前田達。
そんなときに現れたのは、女性型のボコールでした。
そのボコールは男性型のボコールと融合をはじめ……なんと、巨大な前田のような姿へと変わったのでした!!

巨大な前田の姿となったボコールは、ゆっくりと前田に向かって近づいてきます。
怪物が、自分と同じ姿になって、近づいてくる。
その恐ろしさに、前田は恐怖し、逃げ惑うことしかできません。
ですがあまりに違う体のサイズ、いくら前田が全力で走ってもボコールはすぐ追いついてきてしまい……その掌を前だに向かって伸ばしてくるのです!!
恐怖のあまり足がもつれ、転んでしまう前田。
……その瞬間のことです。
風景が、がらりと変わったのは。

気が付けば、周りは前田の家の近くの児童公園になっています。
そして、前田自身の体も、ランドセルを背負った小学生のそれになっていました。
心のほうも、その体のころに戻って知ったのでしょうか。
自分はさっきまで何かから逃げていた気がするけど、なんだっただろうか、思い出せない……
そんなことを考えていると、前田は自分が一枚の紙を握りしめていることに気が付きます。
その髪を開いてみるとそこには、こんな文字が躍っています。
お前がてつぼうできないからおれたちまでいのこりさせられたじゃん、もう学校来るな。
バカ、しね、まえだのぐず。
……よみがえってくる前田の記憶。
自分が逆上がりで気なかったから、同じ班のさいとう君たちにおこられたんだ。
自然とあふれ出て、零れ落ちていく涙……
前田がうずくまってすすり泣いていますと、そこに声をかけてくる者たちが現れました。
金髪の男女二人組……彼らは、こんなことを話しかけてくるではありませんか。
さっきはごめんね、気持ち悪かったでしょ?
アレは「僕らは君の敵じゃない」って意味で、君の姿をまねたんだ。
で、失礼ながら下と唇で君の「型」を写させてもらったんだ。
そう、僕らはあの大きな赤ん坊さ。

彼らはすっかり子供になってしまった前田に、どうして泣いているのかと聞いてきました。
素直に事情を説明する前田に対し、彼らは言うのです。
辛いよなぁ、いつだって強い奴のほうが立場が上で、弱い奴は踏みつけられて生きている。
人間同士は、仲良くできないからね。
でも、学校の先生に仲良くしなさいって言われたでしょ?
それはね、人間同士は絶対に仲良くできないからそう言うんだ。
できることはわざわざ言われなくてもいいでしょ?
眠るときちゃんと呼吸しなさいって言われることなないのと一緒よ。
じゃあなぜ仲良くできないか。
それは、僕は君じゃないし、君は僕じゃないからさ。
僕の気持ちは君にはわからないし、君の気持ちは僕にはわからない。
もっと言えば、僕が君になり、君が僕になればお互いもっと好きになれる。
そうすればこの世界から争いや差別をなくすことができる。
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僕らと一つになるんだ、前田君。
手を出して、さあ。

その頃、吉岡たちは戦慄していました。
前田は、前田の姿をした巨大ボコールの掌の中で、取り込まれる寸前になっていたのですから!
そう……あの少年の前だが手を取り、一つになることを受け入れるということは、前田もまたあのボコールたちと一体化するということ。
そして、前田ももはや気力が完全に失せてしまっています。
一つになれば……それで……
そういって、うなだれたまま差し伸べられた手を取ると……突然力強く引っ張り上げられたではありませんか!!
ですが引っ張り上げたのは、ボコールではありませんでした!
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岩倉がボコールの上によじ登り、取り込まれかけた前田の腕をとり、引っ張り上げてくれていたのです!!
正気に返った前田を引き連れ、ボコールのもとから逃げ出す岩倉。
物陰に隠れ、ボコールの視界からいったん逃れることができたのですが……逃げ場などもはやなく、このままでは見つかってしまうのも時間の問題でしょう。
岩倉は、過去のある出来事を思い出し……決意するのです。
前田の腹を思いきり殴りつけ、意識を失わせると……ゆっくりと、ボコールに向かっていく岩倉。
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今度こそは、絶対に友達を守ってやる!
岩倉の決意は、この絶望の状況を覆すことができるのでしょうか!?
……意識を取り戻した前田が見たものは……!!


というわけで、いよいよクライマックスを迎える本作。
ここに来て謎の多かった岩倉の過去が明かされ、物語は一気に加速!!
前田、岩倉、そしてボコール。
この未曾有の危機のカギを握るこの三人は、誰がどのような未来を作り上げるのでしょうか!?
圧巻のラストが待ち構えています!!

そしてこの後、本作が連載されていたweb漫画雑誌、新雑誌研究所で発表された最終回を経て、さらにその後を描いた真の最終回が描かれることとなります!!
ゾンビもののラストと言えば、バッドエンドか、わずかに希望が見えてこれから頑張るぞ!と言う感じのエンドがつきものです。
様式美ともいえるそんなエンディングもたいへんよろしいのですが、果たして本作のエンディングはどうなるのでしょうか!!
18Pにも及ぶ描き下ろしのエピローグ、物語の〆にふさわしい内容となっていますよ!!
さらに過去の吉岡たちの物語を描いた短編二本と、この世界の片隅で起こった出来事を描く短編、計3本も合わせて収録!
最後の最後までいろいろな楽しみ方をさせてくれる最終巻になっております!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!