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今回紹介いたしますのはこちら.

「THE OUTER ZONE Re:visited(アウターゾーン リ:ビジテッド)」第3巻 光原伸先生 

集英社さん・ホーム社さんのホームコミックスより刊行です。

さて、再びミザリィが不可思議な世界に案内してくれる本作。
以前のような正統派な「奇妙な話」タイプの作品も多数含まれているのですが、本作で目を引くのはやはり少女ミザリィ「みぃこ」が活躍する作品でしょう!!
今回も光原先生もお気に入りらしい彼女の活躍を描いた作品を紹介したいと思います!!


とある中学校の、合同同窓会。
そこにやってきていたミナは、みぃこは来ていないのかと同窓生たちに尋ねていました。
昨日突然、みぃことの思い出の品である、彼女が「み」とサインした10円玉が出てきたとのことで……これも何かの縁、彼女に会える前触れだと思いここに来たそうです。
短期間しか学校にいなかった彼女のことを覚えている友人は思いのほか少なかったのですが、それでも堅めの隠れた髪の長い美女を見た、という証言から彼女を見つけることができました。
今はミザリィと名乗っている彼女を!!

みぃことミナが出会ったのは、90年代、まだミナが中学1年生だったころの話です。
その頃のミナは、こっくりさんの名人として学校の有名人でした。
みながいるとこっくりさんの反応がいいからと大人気だったのですが、それもそのはず、ミナは意図的にこっくりさんの10円玉を動かしていたのです。
その力加減が上手だったのか、学校の誰も彼女が動かしていることに気づきません。
ミナはすっかり味を占め、将来は霊媒師にでもなろうかなどと考えていたのです。
そんなある日、一緒にお昼を食べていいかなと訪ねてきた人物が……みぃこでした。
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すごい子がいる、と聞いてやってきたというみぃこですが、ミナの特徴的な髪形を見て「前髪切杉子」さんだっけ?などといきなり小ばかにしてきます。
喧嘩を売っているのかと激怒するミナですが、なんだかみぃこはひたすら能天気にふるまってはぐらかした挙句、ミナとは比べ物にならないほど豊富なオカルト知識を皆の前で披露したのです!!
強烈なインパクトを見せつけ、さらにこっくりさんに使った10円玉は危ないから自分が処分してあげる、と小銭までせしめるみぃこに、ミナは焦りを感じます。
みぃこはそんなミナに、お友達にしてくれるかと尋ねてくるのですが、ミナは立ったらこっくりさんの腕前を見せろと条件を出すのです。

放課後、腕比べにやってきたみぃこは……なぜか体操服のままでした。
なんでも体育が終わったらスカートがなくなっていたのだとか。
よくある転校生いじめだろう、こういう時こそこっくりさんの使い時じゃないかと持ち掛けるミナ。
実はこのスカート隠し……ミナの仕業!!
みぃこを精神的に追い詰めた挙句、こっくりさんで見事隠し場所を突き止めて勝負にも勝とうという一石二鳥の作戦なわけです!!
みぃこはこっくりさんをやるのに適したパワーのこもった10円玉……こっくりさんをしていた最中に自殺した子が持っていたという曰く付きの10円玉に、「み」とサインしたそれをさしだします。
面白い、とそのこ印を使って、立会人に指名した少女、アユミを交えてこっくりさんを始めるのです。

最初はあえて動かさず、出方を見ようと考えていたミナ。
はじまりの呪文を唱えると……どうしたことでしょう。
いきなり重苦しい空気があたりに立ち込め、背筋にすさまじい寒気が襲い掛かってきたのです!!
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しかも、鳥居の周りを回るようにお願いしたにもかかわらず、小刻みに鳥居の横を動き回っていて……
もしかしたら、普通やってこない悪質な霊が来てしまったかもしれない。
みぃこがそんなことを言い出したため、だったら必要最低限の質問だけして帰ってもらおう、とミナが提案。
みぃこのスカートはどこにあるか、と尋ね、体育倉庫、と自分が隠した場所を指してさっさと終わりにしようと思ったのですが……そこでみぃこはこんなことを言い出すのです。
終わる前にもう一つだけ質問させて、と。
彼女のした質問は、「スカートを隠した犯人は誰ですか?」というもの。
その質問に、適当な答えをして終わらせようとした皆なのですが、どうしたことか、10円玉はびくともしないのです。
そして……10円玉は、「みな」と指したのです!!!
みぃこが自分が犯人なのを知っているのか!?それとも本物が……?
ミナは、「皆」、クラスみんなが犯人ってことなんだとその質問をごまかし、こっくりさんを終わらせる呪文を唱え始めます。
ですが、こっくりさんはものすごい勢いで「いいえ」の周りを回り続けるのです!!
そのあり得ない出来事のプレッシャーなのか、霊障なのか、腹痛を訴えるアユミ。
やがて耐えきれなくなり、タブーとされるこっくりさんが帰る前に指を話す行為をしてしまいます!
するとアユミの腹痛はさらに強まり、その体の周りには不可思議な白いもやがかかっているのが見えるではありませんか!
指を離したら呪われる!
ミナとみぃこは必至にお怒りを鎮めてくださいとお願いすると、白いもやは次第に薄れ、アユミの痛みも引いてきました。
この隙にアユミは帰宅することになり、二人はこのこっくりさんをきちんと終わらせることにするのです。
が、こっくりさんは全く動かなくなってしまいます。
もっと質問しろということではないか?というみぃこですが、ミナはこんなことになったのもお前が杏奈10円玉を使おうといったからじゃないかと怒りだしました。
怒りに燃えたミナは、次々に意地の悪い質問をし続けます。
みぃこはいつ死ぬのか?
事故に会うか?不細工な男と結婚するか?将来デブになるか?犬の糞を踏むか?どぶに落ちるか?
数々の質問の答えは、すべて「いいえ」。
とどめに聞いた不幸になるか?という質問だけは「はい」のほうへ行くのですが、みぃこは「不幸は英語でミザリィね」と言って笑うばかり……
こっくりさんは一向に帰らず、二人でボードの上に指を置いたママの格好でトイレに行く羽目になったりしながら、やがて2時間が経過してしまいました。
すっかり消耗してしまったミナに、みぃこは今度自分がこっくりさん自身のことを聞いてみると言い出します。
好きにしてと言うミナの返事を聞くと、みぃこはいくつかの質問をしました。
あなたは他人をだますのが好きですか?
あなたの家庭環境は恵まれていますか?
幼いころから周囲に隠しごとをしていましたか?
心を開ける親友はいますか?
自分のことが好きですか?
……それ等の質問と、その答えを聞いたミナは……今までで浮かべたことのない表情を浮かべます。
そして言うのです。
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みぃこ、それ、こっくりさんのことじゃない。
それは全部……


というわけで、みぃことその友人の物語を収録した今巻。
この物語の直後、もう一話みぃこのお話が収録されているのですが、そちらでもこのみながカギを握る人物の一人となっています。
ミザリィもからかうのが結構好きなキャラだったのですが、このみぃこ形態ではそれがもう加速しまくり、タガが外れちゃってる状態!
ミナをはじめとして、絡む人物たちを徹底的にからかってくれちゃいます!!
と同時に、フレンドリーさも増大していまして。
普段のミザリィからは想像できない、「友達」を作るという行動なんかもしてくれまして。
普段とは違うお茶目でキュート、そして決めるところは決めるいつも通りのカッコよさも併せ持つみぃこの活躍が楽しめるのです!!

この他のエピソードも要注目です。
ヒッチハイカーの男を拾ったミザリィが収監される、謎の監獄を描く「プリズナーM」。
怪しげなバイトを引き受けた結果、恐ろしい事件に巻き込まれる「老婆の館」。
辛い現実に生きる少女がミザリィから一冊の本をもらったことから始まる奇譚「おとぎ話」。
そして、旧作でも人気の高い「幸運の首」「黒帽子」が登場する、昔からのファン必見の「セールス・ガール」……
今巻は恐怖色がやや薄いラインナップとなっていますが、その分みぃこがらみのほっこりや、悲しさと希望が合わさったエピソード、ファンサービスをしつつ一ひねり加えたエピソードなどなど、きっちりと中身は充実!!
様々な味わいが楽しめますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!