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今回紹介いたしますのはこちら。

「マッシュルーム」第2巻 小池ノクト先生 

幻冬舎さんのバーズコミックスより刊行です。

さて、謎の菌類に侵され、人間ではなくなってしまった倫。
自分と同じ姿でありながら、より本能に忠実で、怪物じみた力を持つコピーのような生命体、「マッシュルーム」を生み出してしまうようになってしまった彼。
感染後に倒れるように眠りにつき、目覚めた時には自分のマッシュルームによって自分の祖父を殺され、犯罪者として追われる身となってしまっていました。
挙句の果てに、自らのコピーに腹部をつらぬから、内臓を引きずり出され……
倫はわけもわからないまま死んでしまうのでしょうか……?


倫が目覚めると、見覚えのない部屋で全裸で寝かされていました。
最初は病院か何かかとも思ったのですが、全体的に薄暗いですし、とてもそう言う雰囲気ではありません。
かけられていた薄手の布団を腰に巻き、恐る恐るあたりの様子をうかがいながらさまよう倫。
なんだか怪しげなムードがプンプンと匂ってくる周囲を観察していますと、突然女性の悲鳴のようなものが聞こえてきました。
驚いた倫がそちらを振り向くと……黒髪の、日本人形のような髪形をした女性が立っていました。
う、動いた……!!
そう呟くその女性に、倫は何を言っていいのかわからず、言葉を選んでいると、手のホールドがおろそかになって布団が落ちてしまい、大事な部分が露わになってしまったのです!!
いろんな意味で驚いた女性がその場から逃げ出そうとすると、奥のほうからやってきていた髭の男性にぶつかってしまいました。
男性は、倫を見るとほんの少し驚いたようですが、すぐに穏やかに話しかけてきました。
まだ動いてはいけないのです、橘倫君、と。

倫は再びベッドに寝かされ、安静にしていれば問題はなさそうだ、と男性に言われます。
ですが、先ほどの女性……貴鳥はあんまり触らないほうがいい、と憎々しげに言ってくるのです。
男性は彼女に、いやなら自分の部屋に行くのです、それともこの男の子が気に言ったのですか?と声をかけますと、彼女はプイとそっぽを剥き、誰がそんな化け物!と吐き捨てるのでした。

男性……平岡伝次郎は倫に説明を始めました。
倫が病気だ、ということを。
その病原体……菌にはまだ正式な学名もなく、伝次郎たちは便宜的に「パンドーラ」とよんでいるのだとか。
粘膜や傷口からパンドーラが侵入すると、人体に重大な変化が引き起こされる。
わかりやすく言えば、自分たちの都合が言い、全く別の生命体に宿主を作り変えてしまう……
その説明を聞き、倫は思い出します。
自分と同じ姿をした男が、祖父を殺し……自分の目の前で、新しい自分そっくりのコピーを生みだしたことを。
……倫は恐怖します。
自分はどうなるのか、自分の体はどうなったのか……
そんなとき、その場所に一人の男がやってきます。
それは、自分や自分のコピーを殺そうとやってきた、あの男でした!
慌てて逃げ出そうとする倫ですが、今の彼は倫を殺す気はない様子。
そもそも倫を助けたのは彼だそうですし、我々に協力してもらう、ともはっきり言いました。
ですが彼は、相当ショッキングな事実を、いともあっさりと倫に告げてきます。
君はもう人間ではない。
それだけでも倫の心中には数々の思いが湧き上がってくるはずですが、彼……小太郎はさらに続けるのです。
君から分かれたコピー、「マッシュルーム」は残虐な性質を持っていて、このまま放置すれば犠牲者は増えていく。
コピーは君から分裂したもので、君の記憶や考え方を持っているため、協力してくれればその行動が推測できるはずだ。
……もちろんそんなことをいきなり言われて、受け入れられるはずもありません。
明日もちゃんと学校に行って、部活に出て、じいちゃんの飯を作って、犬の散歩をしなくちゃ……
そんな現実逃避とも取れる願望を並べるのですが、小太郎はさらにつらい現実をつきつけます。
君はもう全国指名手配されていて、居場所はどこにもない。
それに、おなかの怪我はどうだ?
君がけがを負って24時間と少し、内臓を引きずり出されるほどの大怪我が、そんな短時間で治ると思うか?
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そんなカラダで、正常な社会生活に戻れるかどうか……
君には、我々と共に過ごすしか選択肢はないはずだ、と……

夜。
貴鳥たちが寝静まったことを見計らい、倫はその謎の施設から脱出。
何かにすがるような気持ちで、自宅へと走ります。
全く明かりのない家の中を覗きこむ倫ですが……そこに背後から声をかけてくるものが。
……警察です。
警察が、ここで倫を待ち伏せしていたのです!!
自分の名前を呼ばれた倫、違いますと言って逃げようとしたものの、彼らも子供の使いではありません。
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すぐに倫の腕をつかんで、殺人事件の容疑者として逮捕する、と倫に告げ……!!

その頃、とあるクラブで異変が起こっていました。
一人の女性がバランスを崩し、その足元を見てみると……
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得体のしれない男が、彼女の足に食らいついていたのです!!
そしてその男は、女性をそのまま飲みこみ、狭いダクトの中に引きずり込んでいって……!!
その異常な姿は、あの「マッシュルーム」としか思えないもの!!
いよいよマッシュルームが、本格的に人々に牙をむき始めたのでしょうか……!!!


というわけで、マッシュルームの活動が本格的に始まった今巻。
どうやら小太郎や伝次郎、貴鳥はマッシュルームを相手に戦っているようです。
が、彼らがいったいどういう組織で、どれだけの人物が組織にいて、何を最終目標にしているのか、といったところはすべて謎。
倫の体がパンドーラに侵されていることを教えてくれたとはいえ、果たして彼らを全面的に信用してもいいのかもわかりません。
倫は彼らに協力してもいいのでしょうか?
それより何より、パンドーラに侵された倫はこのまま今までの自分を保つことができるのでしょうか?
なんにしても、これからの行動が物語を左右していくことになりそうです!

そしてこの後、物語は本格始動。
倫以外のマッシュルームが登場し、そのマッシュルームに対抗する謎の人物、さらに前巻でも登場した女性記者、設楽も物語に絡んでくることとなります。
これから倫は、そしてマッシュルームがじわじわと勢力を広げている日本はどうなっていくのでしょうか?
見逃せない物語は続いていきそうです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!