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今回紹介いたしますのはこちら。

「絢爛たるグランドセーヌ」第5巻 Cuvie先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。

さて、「眠れる森の美女」の出演を決めたものの、捻挫をしてしまい、交番となってしまった奏。
基本ポジティブな奏もさすがにふさぎこんでしまうのですが、さくらの助言もあってすぐに復活。
けがで練習ができない間も、できることがある時を取り直すのでした。


奏は、梨沙の勧めでバレエの物語について勉強をしていました。
眠れる森の美女はおとぎ話です。
ですが、単純なおとぎ話ではあまりにも物語が突飛で、お話に入り込めない場合もあるのです。
そこで借りるのは、歴史の力。
お客さんを引き込むために、現実を混ぜて物語に説得力を持たせる、のだとか。
昔々のどこかの国で、本当にあった物語。
そう言う導入にすると、より物語に没入できる……そんな経験が、奏にもありました。
レ・シルフィード。
子供の時に初めてみた、梨沙の出ていたバレエ。
まるで梨沙が本当に魔法にかかって変身したように思え、役を演じているなんて思いもしなかった。
奏は満面の笑みでそう言うのです。
さすがにそうまで言われると照れくさい梨沙ですが、とりあえず眠れる森の美女に関してのお話を進めます。
眠りの森の美女は、昔のヨーロッパの王国のお話。
部隊は宮廷で、大体17世紀後半の絶対王政の時代をイメージしているんじゃないか?
その頃の文化は、バロックやそれに続くロココ……どちらも豪華絢爛で王族の権力を見せつけるようなものでした。
バロックは柱や壁がねじれたりうねっていたり、机やいすに黄金の怪物があしらわれていたりと、とにかく豪華!!
ロココは、バロックよりも繊細で優雅ながら、色遣いが鮮やかで違ったゴージャスさが満ちています。
そう言えば、有名なオペラ劇場もそう言った装飾が多いような。
バレエとこのバロックやロココは、切っても切り離せない関係というわけでしょう!

眠れる森の美女は、今から100年以上前に「昔話」として作られたもの。
グリム童話の「いばら姫」のような、よく似たエッセンスのお話も台本に盛り込んで制作されたようです。
西洋の人たちは、バレエの歴史と地続きの文化の中で育ってきている、この世界で彼らとともに働きたいなら、私たちはまず学ばなければならない。
クラシックは特に西洋の価値観をベースにした物語で、アジア人ダンサーがぶつかる壁もそこにある。
梨沙のその言葉、奏もうなずけます。
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分からない役は、まねをしないと踊れない、お話やその時代のことを知らないと、役になり切れない。
ドンな天才でも、歓声とやみくもな努力だけではバレエは踊れない……!
奏は焦ります。
西洋のプロ志望の子は、そう言う文化の中で育った上に学校でバレエに大事なことを学ぶ。
怪我してるからって、ボーっとしている時間なんてないじゃないか!!
奏は捻挫していてもできるストレッチを教わり、皆のレッスンをじっくりと眺め……成長をつづけるのでした!!


翔子や梨沙はもちろん、さくらにもなんだ神田と世話を焼いてもらい、おまけに絵麻にも心配されていると聞いた奏。
皆に心配されすぎ、逆にこの程度の怪我でへこんでいるのが申し訳ない!とすっかり気を取り直しました。
そんなこんなで眠れる森の美女、公演当日。
翔子と絵麻の応援もかねて鑑賞にやってきた奏、桜とさっそく合流。
さくらも相変わらず口が悪いものの、やっぱり奏のことが心配なようで、小走りでかけてくる奏に急がなくていいよ、と思わず声を上げてしまいました。
もうすっかり仲良しな二人、となりあって座席に座り、一緒に携帯で写真をとってみたり。
その写真を、翔子への応援メールに添付して送るのでした。

楽屋にいた翔子はびっくり仰天。
確かにさくらを連れてくるとは言っていたものの、本当に連れてくるとは……と漏らすものの、さらに驚いたのは絵麻でした。
彼女は以前、さくらと同じ教室に通っていた過去がありました。
ですがその時にけがで役を降板してさくらにとってかわられてしまったうえ、その物覚えが良すぎるという特技ゆえ怪我の間に練習を怠けてしまったせいで、すっかりとバレエの腕をなまらせてしまい、教室から逃げるように去った……という出来事があったのです。
そのせいもあり、絵麻は自分のことのように奏の怪我を心配したわけですが……
なんだか妙な絵麻の反応に、翔子は何か言いたいことがあるなら言えば?といつもの調子でケンカ腰の反応をしてしまいます。
絵麻は本当のことを包み隠さず言うのもはばかられ、奏ってホントいい子だなと思って、頑張って取った役に出られなくて悔しいはずなのに、周りにあたったり暗くなったしないなんて、と奏ホメの方向に話題を持っていきました。
もちろん、翔子は奏のことをよく知っています。
奏だって、大泣きすることもあるし、そんな姿を何度か見てる。
でも、すごく前向きで復活が早くてへこたれない、怖いもの知らずで新しい何かいいものを見つけられる……時々、あの子は誰にも止められないんじゃないかと思う、とやっぱり奏のすごさを認めるのです。
確かにあの自信満々で敵を作りやすい性格の桜と付き合えるんだから、相当なマイペースなんだろう、とうなずく絵麻。
絵麻の胸の中には、さくらが来ていることばかりが渦巻いています。
一流の人々と一緒に踊る、というだけでも緊張するというのに、奏や、あのさくらまで見ている。
絶対に失敗できない……
がっかりされたらどうしよう、ただ歩くだけなのに満足にやれないのかって。
さくらだったら、奏だったらもっとうまくやるのにって、そう思われたらどうしよう。
奥アクサン皆にそう思われたら……
いつもは平然とすまし顔をしている絵麻ですが……そう考えダスト、全身から血の気が引くような思いがして……震えが止まらなくなってしまいます。
恐怖に支配されかかっていた絵麻……ですがその時、彼女の手をそっと握るものがいたのです。
……翔子でした。
絵麻とは犬猿の仲だったはずの翔子……
彼女は、奏が前こうやってくれたことがあったの、と絵麻に話し始めます。
本番前はいつも怖い、どんなに集中しても、どんなに練習しても、まだまだ私たちよりもっとうまい人がいるのに、その人を差し置いて今自分がこの舞台に立つ……
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それが、何で怖くないって言うの?わからないよね。

バロック調の、美しい舞台の幕が開きました。
そこに、翔子と絵麻も登場します。
つきものが落ちたように穏やかな笑顔で、踊る二人……
それを見た瞬間、奏の瞳からは自然と涙がこぼれるのです。
やっぱり自分が出られなくて悔しいんじゃない、とその涙を見たさくらは考えるのですが……そうではありません。
奏は、実感したのです。
歴史の力を借りるんだ、という梨沙の言葉……
あぁ、そうか。
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「歴史」。
……きれいなものが伝えられて残ってきたんだ。


というわけで、いつもやる気満々な奏にさらにやる気が注入された今巻。
けがをしたことで、自分には学ぶことがまだまだたくさんあって、ぼやぼやしている時間なんて一つもないということがわかったのです。
まさに怪我の功名というやつで、奏は今まで以上に練習に励むようになるのです!!
この事件がきっかけで、きっと絵麻と翔子の関係も好転することでしょうし!
……が、物語は何もかもが良い方向に向かうわけではありません。
今度は、奏の親友で、お互いがお互いを刺激して技術を磨き合う関係になっていた翔子のほうに問題が持ち上がってきて、バレエのレッスンに来ることが難しくなってしまうのです!
奏は、自分のことならばどこまでも頑張れる人間です。
が、同時に友人への思いやりも大きい人物。
翔子に何かトラブルがあれば、奏の心にも大きな影響があるはず。
この翔子のもとに訪れたトラブル、うまく収束してくれればいいのですが……
様々な試練を乗り越え、奏と翔子はさらに上の段階に進むことができるのでしょうか?
思わず引き込まれる展開が、今回も連続しますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!