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今回紹介いたしますのはこちら。

「SIREN-赤イ海ノ呼ビ声-」第1巻 神尾亘先生 

集英社さん&ホーム社さんの集英社ホームコミックスより刊行です。

神尾先生は確認できた中では13年ごろから漫画を発表されている漫画家さんです。
今回の作品は神尾先生初の連載作品となっていまして、03年に発売されたホラーゲーム、「SIREN」を原作としている作品。
「SIREN」は当時としてはかなりレベルの高いグラフィックと、独自の舞台設定やシステム、恐怖描写で話題となり、続編が制作されるだけでなく、映画や漫画(本作とは別の、「DANDOH!!」の万乗先生が描かれたものです)も発表される人気作となりました。
が、同時にその高すぎる難易度も話題となりまして、ゲームをクリアするだけでも困難……
本作はそんな難易度に悩まされることなく物語を楽しめる作品となっているのです!!


一人の少年が、薄暗い部屋で目を輝かせながらネットで情報収集を楽しんでいました。
その情報とは、もっぱらオカルト方面のもの。
今日彼の興味を引いたのは、戦時中かその直後という頃に、ある村の若者が精神に異常をきたし、夜中に村人33人を殺害した、というお話でした。
その情報がかかれたサイトには、村人が全滅して消滅したはずのその村を見つけた、というものもありまして……
今は夏休み真っ只中、そして危ないことをしようとしたら泊めてくれるはずの両親も旅行に行って留守。
彼……須田恭也は、電車と折り畳み式マウンテンバイクを駆使してその村へ向かうことにしたのでした!!

ところがその計画はもろくも崩れ去ってしまいます。
電車で最寄りの駅までは難なく到着したのですが……マウンテンバイクが山道で前後ともパンク!
すでに出発して大分立っていましたので、自転車を押して徒歩で帰宅すれば深夜になってしまう状況になっていました。
すごく無駄な一日を過ごした、とうなだれる恭也ですが、その時何かのもの音が聞こえてきました。
なんだか気になってその音のほうへ向かってみますと……犬を連れた黒髪の少女が、怪しげな祭壇の前で何やら跪いています。
黒髪の少女は、石を手にして何かをたたき壊そうとしている様子。
恭也は木の陰から顔を出してその様子をうかがっていたのですが……黒髪の少女の傍らにいた犬が、恭也に気が付いたようです。
犬の瞳が恭也の姿をとらえた直後、黒髪の少女は振り返って訪ねてきたのです。
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誰?
驚かすつもりじゃなかったんだ、と言いながら木の陰から姿を現した恭也。
ですが少女は恭也の話を聞く気もないようで、そのまま何も言わず走り去っていってしまいます。
慌てて追いかけようとする恭也ですが、先ほどの祭壇の前でよく分からない「何か」を踏みつけてしまい、その奇妙な感覚に気を取られてしまっている間に彼女を見失ってしまいました。
そのまま彼女の消えて行った方に進んでいってみますと……急に視界が開け、人里が現れたのです!!

あの子はここから来たのかな?とつぶやきながら、村の中を歩き回る恭也。
ですがどこを見ても、お店らしき建物はしまっています。
田んぼに稲が植えられているところなどから見ても、廃村などではなさそうなのですが……
それに加えて気になってしまうのが、この村に来てから何回か目についた奇妙な、木の看板のような……謎の物体。
生と言う感じをさかさまにしたかのようなそれは、何か意味があるのでしょうか?
……その生の逆さまのような十字架、マナ字架を眺めている恭也……そんな恭也を、屋内からひそかに眺めている老人がいます。
ですがその老人は何か声をかけるでもなく、ぴしゃりと雨戸を閉めてしまうのです。
この村の奇妙さにいづらさを感じた恭也は、荷物のある場所まで戻ろうとしたのですが……

あの少女に出会った場所にたどり着いたころには、すっかりあたりは薄暗くなってしまっていました。
ですがそんなことよりも、あの場所で、今度は奇妙な儀式をしていることに恭也は驚いたのです。
村人数名が並ぶ中、真っ黒な服を着た二人の少女が歩いていて……
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その二人のうちの一人が、あの時の少女であると気付いた恭也、その時に枝を踏んで音を立ててしまいました。
何か見てはいけないものを見てしまった、と気が付いた恭也、気が付いたその集団に見つからないように逃走!!
とりあえずすぐには見つからないくらいは逃げることができたのですが……急激な頭痛が恭也を襲ったのです!!
しかも襲ってきたのは頭痛だけではありません。
視界がぼやけたかと思うと、今度は自分の視界ではない視界が見えてきたのです!!
その視界は、フラフラと歩く男の足元と……その男の右手に携えられたピストルを映しています。
恭也が元の視界を取り戻し、後ろを振り向くと……そこには、その「誰かの視界」の、「誰か」だったらしい男が立っているではありませんか!
その男は、警官のようです。
警官のようで須が、様子は明らかに異常!!
薄ら笑いとともに、壊れた機械か何かのような妙なしゃべり方で「了解」「射殺」「します」とつぶやいて……
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いきなり銃を向けてきたのですから!!!
再び逃げることになった恭也……!
ですが、奇妙で恐ろしい夜はおわりません。
その長い永い夜の始まりを知らせるかのように……サイレンが、鳴り響きます……!!


というわけで、「SIREN」のシナリオをきっちりと再現しながら進んでいく本作。
以前も前述したように、万乗先生によって漫画作品が執筆されたり、伊藤潤二先生が原作の解説本で漫画を描き下ろしてくれたりもしていますが、いずれも本編の漫画家ではなく、オリジナルストーリーだったり、それをモチーフにしただけの作品だったりしました。
今回の作品は、もう完全に原作を丁寧に漫画化したものに!!
しかも数々の裏設定や、原作にも登場した小物なんかも活かした、オリジナル……と言うよりも、補完を加えた物語になっているのです!!

ゲームでは時系列がばらばらになっていましたが、漫画版では順を追って物語が進んでいきます。
その都合上、今巻ではプロローグともいえる段階までしか物語が収録されておらず、恐怖描写もまだまだ控えめです。
原作を知らない方はちょっぴり物足りないかもしれませんが……本作の恐怖はこれからが本番!
これからの展開にご期待ください!!

今後の続巻が楽しみな本作ですが、連載されていた「新耳袋アトモス」が15年12月発売号で休刊になってしまいました。
同志で連載されていた人気作とともに、本作も16年春ごろからwebサイト「画楽ノ杜」での連載が予定されているのですが……
このサイトでの連載作、割と単行本化のハードルが高いのがちょっぴり不安だったり……
本作や同じく移行予定の「アウターゾーン リ:ビジテッド」、ついでに今だ単行本化されていない「エンチャントランド」あたりとともに単行本刊行、お願いしますね!!マジで!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!