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今回紹介いたしますのはこちら。

「刃牙道」第9巻 板垣恵介先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

さて、劇的な決着を迎えた武蔵VS烈。
烈自身の思いは別として、この戦いの結果はグラップラーたちにさまざまな感情を抱かせたようです。
当の武蔵はというと、これも経験だとばかりに警察に大人しく連行されました。
そこで武蔵を待っていたのは……


署の剣道場で待ち構えていた男に対し、そのレベルの違いを見せつけた武蔵。
もうここで得るものはないと考えたのでしょう、武蔵はさっさとご老公の屋敷に戻ろうとします。
ですがそんな武蔵の前に、一人の男が現れたのです。
一見すれば小柄な老人でしかない、その実稀代の達人である男……渋川剛気が!!
渋川の立ち姿を見た武蔵はにやりと笑います。
久々に良い姿を見た、真ん中に軸が一本、しっかりと通っている。
一方の渋川、武蔵の真ん前に対峙しても……どこかとぼけた表情。
しばらく間を開けて、あぁはいはい、ムサシさん、とどこか間の抜けた応対をする始末で……
そんな二人の間に割って入ったのは、警視総監でした。
お二方にお訊ねしたい。
不世出の闘士として歴史にその名を刻む宮本武蔵さん。
今を生きる達人中の達人、現役バリバリ渋川剛気センセイ。
いったい、どちらが強いのでしょうね。
……言ってしまいました。
導火線を着火するかのような発言に、居合わせた者たちは一様に戦慄するのですが……渋川は、いやいやとんでもない!とものすごい勢いで手を振るのです!
何を言ってるんだ、宮本武蔵という名の意味するところは、武に生きるものにとっては「神の領域」どころか、「神」そのもの。
どっちが強いかなんてとんでもない、こうしてお会いできるだけで光栄の至り。
そう言って、握手をしてもらえないかと武蔵に手を差し伸べるのです。
戦国時代に生きた武蔵にはその手の意味が分かりませんでしたが、西洋式の挨拶だと告げられてとりあえずそれに応じることに。
二人の手が静かに近づいていき……手と手が握られます。
そのまま二人は何も言わず、握手をつづけます。
何事もない、ごく普通の握手……に見えましたが……なんだか妙に長いような……
お互い黙したまま、身動き一つなく続く握手。
さすがに不思議になった警視総監がどうしたのかと尋ねると、答えたのは武蔵でした。
手が、離せんのだ。
妖か、離そうとしても手が離れん。
そう、もうすでに仕掛けているのです。
眼鏡をはずし、今までとは違う種類の笑みを浮かべる渋川!
もう手の内ってこった、神たま。
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直後、武蔵の体勢が崩れます。
突然ものすごい重さがのしかかったような感覚が襲い掛かり、気が付けば地面に寝かされてしまった武蔵!!
床に大の字になった武蔵に、渋川は語りかけます。
宮本さん、わかっちゃいるんだ、わかっちゃいるが、割り切れねえ。
烈海王は、ダチなんだ。
そう言って……武蔵の顔面に拳をたたき込んだのでした!!

一方その頃、とある高級ホテルの一室では。
居所をチクりやがったなジジイ、とソファに寝転んでくつろいでいる勇次郎がいました。
そのぼやきも納得、ある人物が勇次郎を訪ねていたのです。
とはいえそのぼやきは形だけのものでして、実は勇次郎もその訪ねてきた人物を尋ねようと思っていたのだとか。
その人物、とは……本部以蔵!!
戦国の世を馳せた宮本武蔵……その男を、現代の世に生きるもので一番理解しているのは、ほかならぬ本部でしょう。
勇次郎も武蔵への興味が抑えきれず、その第一段階として本部に話を聞くというステップを踏もうとしたのでしょうか?
ともかく勇次郎は、渡りに船とばかりに本部を歓迎するのでした。

コニャックを飲み、飴玉を頬張る。
勇次郎が他人になかなか見せないそんな姿を本部に見せたのは、ひとえに「浮かれている」からでした。
宮本武蔵という一大ブランド……そんな最強のアイコンに出会い、そしてやるチャンスが巡ってくるとは。
もう勇次郎は、武蔵に会いたくて逢いたくてならないようなのです。
柄にもなくウキウキしている勇次郎を見て、本部はコニャックを一気に嚥下した後、こう言いきりました。
悪いことは言わんやめておけ。
あんたの手に追える相手じゃない。
……固まる勇次郎。
しばらくしてゆらりと立ち上がり……頭をやられる陽気でもあるまい、と前置きをした後……鬼の形相で振り向き、本部以蔵、誰だったら手に負えるんだい?と怒気をはらんだ言葉を吐くのです!!
ですが本部も全くひるんだ様子を見せず、それどころかこう返したじゃありませんか。
範馬勇次郎、安心していいんだ。
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君らの身は、俺が守護る。
…………
その言葉を聞いた勇次郎は……
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筆舌に尽くしがたい、怒髪天を衝く狂気の相貌に変化!!
殺してやる!!と怒号を上げ、本部に……!!


というわけで、武蔵をめぐる戦いに続々と新たな挑戦者が名乗りを上げる今巻。
今巻で武蔵に直接挑んだのは、渋川となりました。
今や疑う者のいない渋川の愛機の体現ですが、武蔵からすればそんな体術があることすら想像もできないことでしょう。
蘇ってからの武蔵は、完全なる敗北こそないものの、初めて体験するものに対しては試しに受けてみたりして数瞬気を失ってしまったりすることが結構ありました。
我らがバキさんはその隙に追い打ちしてれば勝ってたんじゃないか説もないではないくらい、武蔵は初物に弱いです!!
今回もその初物にしてやられていますし……渋川先生もひょっとすればひょっとするかも!?
ジャンルは違えど、間違いのない達人同士の決戦、その行方も見逃せません!!

そしてそれ以上に目が離せないのが、本部の無謀……いや、蛮勇……いや、勇姿でしょう!!
本作における、なんでもありの戦いならばこの人かガイアか、と言うくらいのそんざいではある本部。
ですがだからと言って本作における実力でトップクラスかといえば疑問がある彼……
そんな彼が、ぶっちぎりのトップに位置する勇次郎を「守護る」とまで言いきるとは!!
絶対にただでは済まないこの発言の後、本部はどうなっちゃうのでしょうか!?
そちらも必見です!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!