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今回紹介いたしますのはこちら。

「囚人リク」第25巻 瀬口忍先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

ざて、地獄島に落とされ、絶望に暮れかけた一同。
ですがその地獄の中で、正義の看守・原田との再会や地獄島が本土にあることなどがわかり、脱出への糸口がほんのわずかながら希望が見えてきました。
一同はこの地獄島の位置を正しく知るために、リクを作業中地上へ上げる方法を探るのですが……?


様々な情報を収集し、田中はリクを地上に送る算段を立てることができました。
排気用のダクトの中を通り、リクを送りだすということはもう決まっていましたが、何せ地獄島は厳重な警備が敷かれている上、作業中は作業員がひしめいていて人目につかないようにするだけでも困難です。
そこで田中が考えた作戦。
まずその第一段階は、田中と天野の二人で看守の数を半分にするというもの。
なんだかいきなり難しそうな大仕事から始まりますが、すでにその算段は付いていまして。
少し前に、天野が見かけた車のメンテナンス場。
天野得意の太鼓持ちによってそのメンテナンス場の担当者を垂らし込み、その中に怪しまれずはいれるようになりました。
メンテナンス場には、整理が面倒だと放置された大量の廃タイヤが山積みになっていまして……
そこに火を放ち、火災を起こそうというのです!
この地獄島では、作業員の命などよりも作業の進行のほうが大事にされています。
火事のような大事が起きれば本来は総出で避難させるなどするのでしょうが、この地獄島はそう言う考え方から、おそらく半分の看守を監視に残し、もう半分を鎮火に駆りだすだろう、と田中は踏んだわけです!
それで確かに看守は半分になるかもしれません。
ですが、残った囚人たちはどうでしょうか。
見つかってしまえば当然誰かから看守の耳に届き、計画は頓挫してしまうでしょう。
あるいは、火災の騒動に乗じて暴動を起こしてやるなんてものが現れでもしたら、すぐに鎮圧用の酸欠システムが作動してしまってすべてがおジャンです。
が、田中はもちろんそのことも考えてあります。
囚人たちが火災に気づくよりも前に、ガス発生のうわさを流す。
最初の一人が騒ぎ立てて奥へ逃げていけば、命の惜しいものがそれに続き、そして群集心理が働いて次々にそれに従うものが現れ……囚人たちの注意と行動を同じ方向に向けることができるはず!
その隙にリクは看守台の影からダクトに入り込む……!!
そこで最後にして最大の問題が立ちはだかります。
その看守台に仁王立ちし、少しでも気に障る行動をすれば容赦なくその鞭をふるい、そのまま命をも奪ってしまう恐ろしい看守、ギロチンの存在です!
ですがそのギロチンは、周龍が何とかする、ちゃんと策はある、と引きつけてくれることを確約するのでした。

滞りなく作戦が進めば、リクは地上の見える位置まで進んでいるはず。
その頃には、火災で発生した煙を排出するために、地獄島を覆っている屋根が開き、外が見えるでしょう!!
そこでリクがスケッチをして……戻るころには騒ぎも収まっているでしょうから、ダクトから下水を通り、直接房に戻ります。
本来は房に鍵がかかっていて、房の外で行われる点呼に合流できなくなってしまうでしょうが……そこで活躍するのが原田です。
混乱に乗じて房の鍵を開けておいてもらう……
原田にも当然リスクのある行動ですが、もはや原田も鬼道院の非道を許すことのできないという志を持つ同志!
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リスクある作戦への参加を快諾してくれるのでした!!

その日はやってきました。
ですが、計画をいざ実行するとなると難しい部分がどんどんと出てきます。
メンテナンス場にはいることはできました。
そして、怪しまれないようにある程度の時間が経ってから着火する、簡単な時限式の発火装置をタイヤの山の中にセッティング。
全く怪しまれずに部屋を出ることはできたのですが……
よりによってそのタイミングで、メンテナンス場の片づけはきちんとやっているのか、と上司のチェックが入ったのです!!
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発火装置は作動しているのか?
もし発火していても、装置が原型を残している段階で発見されてしまったら?
緊張の時は、異常に長く感じられ……!!

そして、ガス発生の騒ぎを起こす担当の松尾もその仕事が難しいことに気が付きます。
何せ周りは、見渡す限り人だらけ。
作業の音もありますし、囚人たちのテンションはどん底のものや、一周まわってハイになってわめくものなんかもいます。
この中で、自分の声によって一気に流れを作らなければならない……!?
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器用な方ではない松尾は、焦り始めるのです!

さらに周龍のほうはどうなのか。
あのマシンのように囚人を見つめ、容赦ない処罰を下す……そんな相手を引きつけて、時間を稼ぐ策などあるのでしょうか!?
周龍の瞳に宿る光……そのうちに秘められた作戦とは!?


というわけで、地獄島脱出作戦の第一段階がスタートした今巻。
情報を丹念に集め、そこから見えてくるもので脱出する……
まだその情報を集める段階ですが、この作戦が成功すれば大きく前進となるはず!!
残された時間はあまり多くありません。
この地獄島に位置を知り、そして、田中のもう一つの藁にも縋る作戦を決行し……
一同はこの地獄からの脱出をもくろむのです!!

今巻ではこの地上スケッチ作戦編が完結。
リクたち全員にそれぞれの見せ場が用意されているこのシリーズ、ということは同時にそれだけの困難があるということです。
その困難を乗り越え、完全に成功を収めて初めて脱出作戦が第一歩を踏み出す。
難関に挑むリクたちは、大切な第一歩を踏み出すことができるのでしょうか!?
今巻も手に汗握る展開が怒涛のように押し寄せてきますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!