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今回紹介いたしますのはこちら。

「ムシヌユン」第3巻 都留泰作先生 

小学館さんのビッグスペリオールコミックススペシャルより刊行です。

さて、与那瀬島にミサイルが降り注いだ前巻。
ですが何らかの力によって与那瀬島は全くの無傷、島民や観光客たちも何一つ傷を負っていませんでした。
そんな中、自分の中で暴れ狂う欲求に翻弄されていた上原は、洞窟の中で水浴びをしていた女子大生、田宮を発見!!
押さえきれない欲望はとうとうむき出しになり、上原は股間の異形を解放、突起物の先端から何かを田宮に注入したようなのですか!?


この後なんだかんだありまして、上原は田宮達と一緒の旅館に来ていました。
上原が心から尊敬する、昆虫の権威西川先生。
その西川先生の気まぐれで、夕食くらい一緒に食べてもいいんじゃないか、一晩くらい一緒にとまってもいいんじゃないか……そんな感じで一夜を共にすることになったのです。
それまでは、獣欲に追われるようになっていた上原なのですが、西川先生とお近づきになれるとなれば話は全く別!!
西川先生に熱い熱い視線を注ぎながら、部屋で小さくなっていたのでした。

そんなとき、アメリカからの緊急発表があるとのことで、TVのスイッチが付けられます。
言っていることは小難しくてよく分からないものも多いのですが……要するに、地球外生命体が木星近くに軍事施設的なものを作っていて、それの破片のようなものが地球に飛来、その結果与那瀬島がああなったっぽい、ということを言っているみたいです。
その与那瀬島に、大量の兵器を放ったのはもはや世界中の知る所。
すでにその木星に向かって、様々な言語や数列などを送っているとのことですが……返事はないそうで、兵器の投入は軽率だったのではないかと言う声も響いているようです。
が、アメリカは肝心なことはだんまりで押し通し……

そんな自分たちにとって重大かもしれないニュースも、昆虫を調べに来た者たちにとってはピンと来ないようで、誰ひとり真面目に取り合いませんでした。
敷かれた布団の上に突っ伏し、久しぶりの布団だと幸福に浸る上原。
ですがそんなとき、研究スタッフの男子が外を見おろし、老人が徘徊しとるで、と言い出しました。
その老人とは、ほかならぬ西川先生。
こいつ、西川先生を老人呼ばわりなんて……とものすごい目でにらみつける上張らなのですが、すぐその場を立ち去り、西川先生の後をつけ始めたのでした!!

西川先生もすぐに上原に気が付きます。
夏場の伝統に群がる虫を探すのが好きだ、と夜の散歩の理由を語る西川先生に、わかります、僕も大好きと全力で同意する上原!!
そんな上原を見て、西川先生はひくどころか、這っている虫を指して種名いえる?とクイズを出してきたのです!!
サキシマシロモンサビキコリ、トビウスバカミキリ、オキナワマルバネクワガタのメス、ウスチャバネヒメカゲロウ、イヌビワオオハマキモドキ……
次々に出されるクイズ、次々に返す答え。
時には、この蛾はこれにも見えるがあれにも見える、ひょっとしたら新種かもしれない、などと言う談義まで始まって……
この瞬間、上原の心はとんでもなく満たされていました。
初恋の人、新城に再会した時なんかよりも、はるかに、はるかに満たされていて……
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神よ、時を止めてくれ。
いるかどうかも分からない神に、上原はそう願わずにはいられないのでした。

直後、上原は感極まり、泣き出してしまいます。
ここ数日で起きた様々なことが脳裏によぎったのでしょう、すみません、と嗚咽を交えながら謝り、昆虫博士になりたかった、乱暴するとか、そんなことしたくなかった、という後悔の言葉とともに涙をこぼしました。
そんな上原に、西川先生はゆっくりと語り始めます。
虫の心が知りたかった。
もしそれがあるのなら、人間の心とはかけ離れた異質なものに違いない。
今の人類ではだめだ、虫の心、自然の摂理を知らなければ、この残酷で奇怪な宇宙の中で葉人類なんてあと100年も生き延びることはできない!!
……と、若いころの僕はそう思った。
50年かけたけど全然及ばず、残ったのは名声ともいえない名声と、学会での地位くらいだった。
君を見ていると、僕の若いころを思い出すなぁ。
馬鹿で不器用で、いつも欲求不満で混乱している、毎日自分を慰めては後悔している……君はそっくりだよ。
……自分と、西川先生の若いころがそっくりだった。
その言葉は、上原に何を想わせたのでしょうか。
上原は一も二もなく土下座をし、弟子にしてください!!と懇願しました!!
が、西川先生はにやりと笑って言うのです。
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そういうことには、なりませんなぁ。
上原の中には毒黒い感情が渦巻きます。
新城かなこなんかよりも、この人のことを、自分は、殺したいほどに愛している。
だというのに何も言えず固まっている上原に、西川先生はさらに続けます。
彼女とかいないの?よかったなぁ。
僕は老人になれて本当によかったよ。
死ねジジイ、と思っているね?
それでいいんだ。
おやすみ。
そう言い残して、笑いながら去っていく西川先生……
上原ものたりと部屋に戻り、枕を涙で濡らすのでした。

翌朝、泊めてくれた皆さんに頭を下げて早々と旅館を出ていく上原。
もう彼の心は決まりました。
昨夜の西川先生とのやり取りで、すべてを決めたのです。
あのひと時でもう十分だった。
こんな巨大な欲望をぶら下げて生きていくなんて無理だ。
今日僕は、あの女にシて、全てを終わらせます。
上原はあんなに嫌がっていた母親の家に押し入り、新城かなこの住所を聞きだしました。
そして、まっしぐらにその家へと向かいます。
母さん、今日、僕は、好きだった女の人に、
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乱暴して、死にます!!さようなら!!!
そんなとんでもない決意とともに駆け出して行く上原。
そんな息子の後姿を、母親はただ見送るのです。
男のカオになったな、と!


というわけで、大尊敬する人物と夢のひと時を過ごし、そしてその人物に夢から叩き落とされた今巻。
尊敬する人との楽しい時間によって、すっかり落ち着きを取り戻したかに見えた上原でしたが、結局は再びその欲望しか残らなかったというわけです。
今まではやるべきかやらないべきか、どうしようかととにかくグジグジグジグジ悩んでばかりだった上原でしたが、今回の件で完全に決心。
とうとう、かなこの家になだれ込むわけです!!
とんでもない展開になってきた本作ですが、この後の展開はさらにさらにとんでもないことに!!
上原は本当にかなこに乱暴できるのか?というここ最近の流れの他、様々な出来事が立て続けに起こっていきます。
上原のあれに何かを注入された田宮の体に起きた異変。
より一層異形と化していく上原の中に巣食う謎の物体。
そして、いよいよ島全体に牙をむき始めるのは……!!
ここに来てさらなる新展開を迎えることになる本作、ただでさえ予想不可能な物語がさらに予想不可能に!!
いったいこの後どうなってしまうのか、もう先が気になってしょうがありませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!