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今回紹介いたしますのはこちら。

「鉄牌のジャン!」第1巻 西条真二先生 

竹書房さんの近代麻雀コミックスより刊行です。

さて、今まで実に多くのジャンルの漫画を描いてきた西条先生。
そんな西条先生最大のヒット作と言いますと、やはり少年漫画史上類を見ないといってもいいくらいの悪役顔+勝利至上主義の異色主人公が活躍する料理漫画、「鉄鍋のジャン!」でしょう。
本作は、そんな「鉄鍋のジャン!」のパラレルワールド的な世界観で描かれる、麻雀漫画!
西条先生の挑む初の麻雀漫画連載で、しかも「ジャン!」でもあるこの作品、果たしてその内容は!?


全日本麻雀連合で、女流王位になったばかりの所属選手、三番地銀子。
そんな彼女に、全雀蓮の会長、大谷は突如として連合からの除名を言い渡しました。
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運の流れなんてものはないと言う持論を展開する銀子を、麻雀と言う競技の中で運の流れを追及し研究するという団体である全雀蓮にいさせるわけにはいかない。
そんな理屈で大谷は除名を言い渡すのですが……この大谷と言う男、己の欲望のためならば何でもする権力者にしてはいけないタイプでして。
間違いなく何かのよからぬ目的のための除名ではあるのですが、相手は連合の長なわけで。
やむなく銀子はそれを受け入れるのでした。

その後、銀子は自信の父親が経営する老舗の雀荘、サンバンチのメンバーとして働いていました。
表向きは除名のショックなど全く感じさせない落ち着き払った態度で仕事を務めるのですが、内心は大きなショックを受けていて……
やっぱり麻雀の強い人はメンタルも強いんだな、とお客さんたちには言われていたのですが、5年の努力の末の王座を小さな理由で奪い取られ、銀子は悔しさに歯ぎしりしていたのです。

そんあサンバンチに、妙な男が来店します。
目つきの鋭いその男はこう名乗り、雀卓につきました。
黒鉄ジャン。
ジャンは、席につくなりすでにこの雀荘で遊んでいた、同卓の客たちにこう言い放ったではないですか!
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あんたたちがやってたの……ひょっとしてそれ、麻雀?
まるで彼らがやっていたのは麻雀ではないままごとだとでもいうかのような、挑発なそのセリフ。
そしてそのセリフは、紛れもない長髪であったことが、まもなく分かるのです!!

更衣室で着替えていた銀子は、ホールのほうでケンカの音を聞きつけてそちらへ向かいました。
するとそこでは、先ほどのジャンが、客の一人に胸ぐらをつかまれているではありませんか!!
他のメンバーがうろたえるなか、事情を聞く銀子。
なんでも、ジャンがわざと牌を倒して手牌を見せ、それを利用して対戦相手から狙った牌を出させた。とのこと。
ですがジャンは、見せ牌に関してのルールはないし、それを利用した証拠もないだろう、と悪びれない様子。
確かにルールを設定していなかった以上、それを咎めることは店としてはできません。
銀子は、今回のあがりはあがりとして扱い、次回以降は見せ牌に対しての配慮をお願いする、と提案したのでした、が。
ジャンは言うのです。
いやだね!
俺はルールに従ってあがった、それにいちゃもんをつけられたんだからむしろ被害者だ。
土下座レベルだぞ、それとも別の方法で誠意を示すか!?
客をにらみつけ、逆に攻勢に出るジャン……!!
一触即発の空気になるサンバンチですが、そこにスキンヘッドにサングラス、もみあげからつながった口ひげにトラ縞の着物というすごい格好のおじさんがやってきたではありませんか。
この人物こそ、銀子の祖父にしてこの店のオーナー、三番地金悟!!
そして金悟は、この厄介な男、ジャンを招いたのは自分だと明かしたのでした!!

ジャンは、様々な創作のモデルにもなった伝説の雀士、黒鉄幹二郎の孫だそうです。
先日亡くなったその幹二郎が、突然孫を頼むという遺言を金悟によこしたのだそうで、面白がった金悟はジャンを雇うことにしたのだとか。
どう見ても人の厄介になるのをよしとしなそうなジャンがなぜ大人しくそれにしたがったのかと言いますと。それは金悟が提案した交換条件ゆえでした。
1年間ここで働いたら、勝負してやる。
祖父の宿敵でもあった金悟を倒すことができれば、自分がこの麻雀界で最強であると証明できると考えたのでしょうか……ともかくその勝負を目当てにジャンは雇われることにしたようです。
ですがその約束は、もう一つの前提条件があるのです。
1年間の間、ジャンが誰にも負けないこと!
……運の要素も大きな麻雀と言うゲームで、それを仕事にしながら1年間負けずに過ごす。
そんなことができるとは到底思えませんが、ジャンは上等とその条件を受け入れたのでした。

そんなジャンに命ぜられた最初の仕事。
それは、三番地の近所にできるライバル店、麻雀ビッグの「対策」です。
そのお店、経営者は大谷。
大谷はその財力で派手に大規模店を作り、サンバンチを潰すことで銀子を再起不能にしようとしているようです!!
それもこれも、銀子の後に女流王位に輝いた、大谷の「女」のため……!!
商売敵であり、銀子にとっては許すことのできない怨敵でもあるライバル店。
ジャンは早速、その「対策」に向かうのですが……!!

ホームページなどを見て、麻雀ビッグの情報をしいれたジャンは、銀子を連れてさっそくそこへ向かいました。
ちょうどオープン記念の豪華賞品が用意された大会の開かれていたビッグ。
そこでふんぞり返っていた大谷は、サンバンチの連中が営業妨害に来たのか、と追い払おうとしたのですが、ジャンはそこで引かずにむしろ押していきます。
それは逃げるということか?こっちが負けたら銀子と一緒に土下座してやるぜ?
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不敵にそう言うジャンに、大谷は嗜虐の血が騒いだのか、それだったら受けてやる、と笑います。
大会に押し寄せていた大勢のギャラリーが見守る中で行われるジャンVS大谷!!
ジャンは銀子をメンバーに、そして大谷は現女流王位をメンバーに選び……2VS2の戦いが始めるのです!!
とはいえ、この戦いで買ったところで、ジャンが手に入れられるのはこの大会の賞品に用意された旅行券やら、ブランド物やら、傘やら、その程度。
仮に勝利してこれをもらっても、この店に打撃を与えることなどできそうもありませんが……?
逆に負ければ、衆目の前で土下座をさせられるうえ、金悟との対局の道も途絶えてしまいます。
一体ジャンは何を考えてこの勝負を仕掛けたのでしょうか?
そしてその勝負の行方は……!?


というわけで、西条先生自身による「鉄鍋のジャン!」のパロディ的作品となる本作。
本作における麻雀シーンは、「勝てば何でもよし」と言うモットーを持っているジャンの、何でもありのバトルになっています。
相手に隙があればイカサマをガンガン仕掛けますし、相手がイカサマをしてもその決定的な証拠をつかめなければ、自分が甘かったと甘んして受け入れる。
麻雀の技術も十二分に強く、メンタル面も強いジャンが、さらにイカサマ上等で相手とぶつかっていく……
本格的な麻雀漫画のような闘牌はそれほど多くありませんが、「ジャン!」らしいと言えるストロングスタイルの麻雀がメインなのです!!

……が、それ以外の要素もそんなメインをかすませるほどの異色の輝きを放っています!!
本作におけるジャンは「雀」と書いてジャンなのですが、「醤」と書いたあっちのジャンをほうふつとさせるような料理シーンも多く描いています!!
表紙からして麻雀牌を刀削麺のごとく削っている頭のおかし……もとい、インパクトある絵がらなのですが、中身でもジャンは麻雀と同じくらい料理に対しても情熱を注いているのです!!
しかも醤のジャンとは違い、カレーとかトン汁とかも作っちゃうマルチ料理人!!
麻雀以外にも、料理関係に注目しなければいけませんよ!!

さらに「鉄鍋」ファンの方ならばより一層楽しめるのが、登場人物や本作のイベントの数々。
セルフパロディとご自身が言うように、キャラクターや物語も「鉄鍋」を想起させるものが多くなっています!!
紹介分でもジャンの他にキリコ風の銀子や名字がそのままの大谷がいますが、これ以外にも様々な人物が出てくるのです!!
あのジャンが唯一心の許せる友人だった小此木は、なんとおっぱい大きめの眼鏡の女の子に。
嫌味な先輩料理人だった望月は、容姿もほとんどそのまま嫌な先輩メンバーに。
さらに今巻の終盤に出てくる九条蛇美と言う女性キャラは、暴力上等の外道料理人の蟇目と、闇料理人として薬膳を自在に操る五行道士をミックスした感じのキャラクター!!
そんなキャラクターたちが、「ひょっとしてそれ麻雀?」と言うセリフに代表される「鉄鍋」のようなセリフやシチュエーションを見せてくれるのですから……なんていいますか、もう「鉄鍋」ファン感涙者の内容になっているわけですよ!!
こりゃもう。ファン必見と言わざるを得ません!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!