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今回紹介いたしますのはこちら。

「アイアムアヒーローin OSAKA」 本田優貴先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。

本田先生は09年にヤングアニマルにて「東京闇虫」でデビュー、そのまま同名作品の連載を開始、シリーズで連載期間足掛け7年に渡る人気作となりました。
そんな本田先生が今回挑むのは、映画公開も目前に迫り、一層の盛り上がりを見せる「アイアムアヒーロー」のスピンオフ作品。
その内容は、タイトルからもわかるように大阪が舞台となっているのですが、その内容は!?


飛行機が空港に着陸しました。
大勢の乗客の中、こずえは何やら不満げな表情を浮かべています。
その不満の原因は、ひとえについさきほどまで参加していた友人の結婚式にあるのです。
友人が射止めたのはなんと弁護士で、家事まで手伝ってくれるという言うことなしの旦那さん。
こずえが不満なのは……比べるわけではないのでしょうが、やはり彼氏の現状なのです。
こずえや同席した友人の優子も三十路ではあるのですが、何せこずえの彼氏は36歳で、バイトのやとわれ店長。
ただでさえ甲斐性がないにもかかわらず、挙句の果てに大型バイクを買いたいとまでのたまっているのだとか。
自分の店を開くためにお金を溜めているはずなのに、バイクを買うなんて、超無計画。
そう言って、こずえはその表情を暗くするのです。
優子は、そう言うとこもイイじゃないか、とフォローするのですが……

そんなことをしていますと、機内放送が鳴り響きました。
なんでも空港内のトラブルで飛行機から降りることができないとのこと。
理由も明かされない足止めにイライラし始める乗客たちですが、こずえにとってこの時間は自分のことを振り返るいい時間になったのかもしれません。
付き合って5年になるけど、将来が見えてこない。
気持ちだけではもうどうにもならない時期にまで来てしまった。
今日にでも、ハッキリ言わないと……

その頃、当の36歳バイト店長の辰男はと言いますと……買ってもらえないおもちゃを眺める子供のようなまなざしで大型バイクを見つめておりました。
バイク屋のおっちゃんは、昨日は言ったばかりのこれ、イイだろう、見積もりだしとこうか?と辰男に甘いささやきをしてきます。
お願いしますという言葉がのどまで出かかっているのをぐっと我慢する辰男!
おっちゃんは、せっかく大型免許取ったのにもったいない、女はバイクに理解がないからな、と辰男の事情もわかっているようで。
ですが辰男は、またもう一度トライしてみると諦めるつもりはないのです。
実は辰男にはあるプランがあるのです。
大型バイクを買って、後ろにこずえを乗せて海辺を走る。
夕日が水平線に沈む風景をバックに、辰男はこう言う。
絶対、俺でよかったと思えるようになるから、結婚するぞ!
それを聞いた梢は少し驚いた顔をした後、辰男の胴にまわした腕にぎゅっと力をこめ……うん、とうなずく。
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……完全な妄想ではありますが、辰男は自信満々。
子供を作って、猫なんかも飼って、おはようのチューとかしちゃったりして……
更なる妄想に思いをはせていた辰男でしたが、そんな彼の背後で突然妄想を止める爆発音が響いたではありませんか!
驚いて後ろを振り向くと、そこには目を疑うような光景が広がっていました。
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狂暴化した人々が、また別の人々に襲い掛かり、噛みついている……!!
後に「ZQN」と呼ばれることとなる、恐怖の感染症が……この時まさに蔓延を始めたのでした!!

その恐怖は、すでに場所を選ばず始まっています。
そう、こずえたちのいる空港でも!!
空港で起きたトラブルとは、まさにこのZQN騒動。
空港でもあちこちから黒煙が上がっていて、逃げ惑う人々の姿も見えます。
飛行機内にいる人たちは外の事情など何も分かりませんので、速く外に出させろ、逃げさせろととCAさんに迫るばかり。
優子に至っては、映画みたいでワクワクすると喜びだす始末……
そんな機内で、一人の男がリーダーシップをとり、このままここにいて何かあったらどうするんだ、という主張をまとめ始めました。
CAさんはそのまとまった大勢に押され、外への出口を開けてしまい……
ちょうどその時、こずえは辰男との電話を繋げたところでした。
辰男はと言うと、自分の勤める喫茶店に逃げ込み、テレビでニュースを見ていたところでして。
ニュースでは、ZQN騒動を細菌テロの可能性がある、と一斉の報道していました。
おまけに空港に続く唯一の道路である橋が騒動で壊れてしまい、空港が孤立しているというではないですか!!
そうこうしている間にこずえは飛行機がいに出ようとする人の流れに押し出され、満足に会話もままならない状態になっています。
さらに悪いことに、辰男とともに店に逃げ込んでいた従業員は、来る途中にZQNに腕を噛まれてと言っているではありませんか!
このままでは、こずえはZQNがあふれる空港へ放り出されてしまい、辰男も周りじゅうZQNの町の只中の狭い店内で、知人のZQNと一緒に閉じ込められる形になってしまうでしょう。
辰男は、今のこの状況がどれだけ危険なものなのかまだ完全に理解してはいません。
ですが、この時は電話口のこずえにこう言わなければいけないことだけは直感したのでしょう!
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助けに行くから!
大阪の地でも始まっていた、ZQNの恐怖。
ZQNあふれるこの地上の地獄で、二人は再び出会うことができるのでしょうか。
それとも……


というわけで、大阪でのZQNの恐怖を描いていく本作。
本作はアイアムアヒーローのスピンオフ作品となっていまして、その内容はやはり一組の主人公とヒロインにスポットライトを当てたゾンビパニックとなっています。
ですが本編が、ZQNの謎に迫りつつ、逃げ回りながら希望をたどっていく物語になっている一方で、こちらはただひたすらに二人が会うまでの出来事を描いていく、単純なゾンビパニックものになっているのが特徴と言えましょう!
辰男はひたすら空港に向かう決死行、そしてこずえは閉鎖された空間の中で生き延びようとあがく密室劇、その二つの恐怖がセットで繰り広げられます!
謎解き要素や支店の変化などもつめこまれた本編とは違い、単純なゾンビものとして全一巻できっちりとまとめ上げられた娯楽作となっているわけです!!

本編が終わっていない以上、綺麗なハッピーエンドとはならないものの、短編の一冊完結もの、そしてゾンビものとして読み応えある一冊に仕上がっている本作。
本編にはあまりない(?)スカッとする瞬間なんかもある、スピーディーな展開が楽しめますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!