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今回紹介いたしますのはこちら。

「みなごろしのストラット -真田幸村異聞録-」第1巻 西条真二先生 

富士見書房さんのドラゴンコミックスエイジより刊行です。

さて、「鉄牌のジャン」という衝撃作を連載している西条先生。
現在そちらと同時に連載している本作は、西条先生が得意とするバイオレンス要素を取り入れた時代漫画です。
が、もちろんそこは西条先生、ただの時代漫画ではないひと味もふた味も違う作品となっているのです!!


人間を貪り食らう、異形の怪物。
その異形に立ち向かう、少女の一団がいました。
そこまでだ、大阪名物「死人憑き」。
彼女たちはそう言って、死人憑きに対し、手にしていた銃を乱射!!
死人憑きはタフで、ガトリングガンでハチの巣にされてもまだ生きています。
そこで、リーダー格の女性が持っていたショットガンを近距離で放ち、死人憑きを吹っ飛ばしてようやく退治に成功しました。

彼女たちは、公武騎兵団。
幕府が創設した治安維持部隊で、所属している隊員はすべて女性、リーダーを務めるのは徳川タリナです。
彼女たちが目指しているのは大阪城の、山里丸の芦田曲輪にある籾蔵。
そこに向かっているのは、松平容保からある任を受けていたからなのです。
時は幕末、幕府は薩摩・長州人、夷狄の脅威にさらされています。
彼らの企みを止めるができないわけではありませんが、それでは次の企みが計画されるだけで鼬ごっこになってしまうでしょう。
そこで松平は、徳川でも薩長でもない第3の勢力を味方につけようと考えたのです。
その第3の勢力こそが、「死人憑き」。
その場所に言って、死人憑きと交渉することで現状を打破しようとしたのですが……

タリナは現将軍家茂の異母妹です。
ロシア人の母親を持つ彼女が直々に指揮をとってここにやってきたのにはもちろん理由があるのですが……ほどなくして、目的のものを発見しました。
石垣にぽつんと描かれる、五三の桐の模様。
それが刻まれた石を押し込むと、それがスイッチとなっていたようで、石垣の一部が扉のように開き、中に入れるようになりました。
タリナの親友でもある隊員のユウミが先導し、中に入っていくと……いきなり現れました、死人憑き。
最初から死んでいるため死ぬこともなく、弱点もない。
そう言われていた死人憑きですが、まともな知能も感じられないそれが仲間になるとも思えないうえ、実際はガトリング3丁を固めて打ち込めば退治できるなど、その不死身性も疑わしい感じ。
群がる死人憑きを片付けながら進んでいくと、やがて一同の目の前に、異様ながらも立派な城が現れたのです!!
大阪城の地下にある、すべてが裏返った城……逆天城。
ここに、タリナたちが捜している人物がいるらしいのですが……
そのいく先を、一人の大きな体格の、槍を携えた死人憑きが立ちはだかるのです。
その死人憑きは、今までのそれらとは違い、きちんとした知性がある様で……こう名乗りました。
俺は道犬、大野道犬斎、聞いたことくらいあるだろう?
大野道犬と言えば、大坂夏の陣で坂井の町を焼きうちにし、その後火あぶりにされたものの、焼け焦げた体で動いたばかりか、見物人を一人道連れにしたという噂がまことしやかにささやかれた名のある武将です。
ですがタリナは全くひるまず、しらん、三下の門番に用はない、徳川タリナが当城の主豊臣秀頼公にお会いしたいと伝えよ、と真っ向から言い放ったのです!
秀頼と言えば、徳川家と大阪冬の陣・夏の陣を繰り広げた末に自害したこれまた超大物。
そんな大物にいきなりやってきて会いたいなんてとんでもない……というわけでもないようで、道犬は合わせてやってもいいと言います。
が、人間に会うのは250年ぶりだから、少し楽しませてくれと槍を構えたではありませんか!!
今までタリナたちが戦ってきたのは、できそこないの雑魚なのだとか。
やり残したことが大きい奴ほど生き返るんだ、それが俺たちだ、と言う道犬は、いきなり彼の得意技を披露してきました!
秘槍術、「冥き夜にうかぶ赫き三日月」。
道犬は前傾姿勢で上半身だけを360度回転させるという人間では不可能な異様な動きとともに槍をふるう、恐怖の槍術で襲い掛かってきました!!
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切り口が螺旋に沿って三日月になる、故にこう名づけた!と笑いながらつっこんでくる道犬から、逃げることしかできないタリナたち、
とっさに大きな岩の柱の陰に隠れたものの、道犬の槍はやすやすと石柱を貫き……ユウミの顔を貫いたのでした!!
ユウミが息絶えてしまったことで、一同の覚悟も決まりました。
ガトリングガンで、一斉に道犬を撃つものの……道犬はこそばゆいと笑うばかりで全く答える様子がありません。
最強死人憑きとなったこの体、銃なん座へ出もない、外界にたむろする軟弱な死人憑きとは違う!
そう言って、再び道犬は槍を構えて襲い掛かってくるのです!!
この強靭な肉体を持つ相手に、ショットガンが通用するのか?
タリナはショットガンを構えるのですが、その瞬間です!
そこまでだ、と言う声とともに、
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天井にさかさまにたちながら、道犬の槍を片手でつかんで動きを止める謎の青年が現れたのは!!
好き勝手してんじゃねーぞ、訪問者は何者であれ、みんなで協議して対応すべしと決めていたのを忘れたのかよ?
ましてやその女、徳川の縁者だろ?
なら豊臣家にとっては親類だ、門番のお前が同行していい相手じゃねーぞ!!
道犬は言葉に詰まります。
青年は、すでに一人手にかけている道犬をさらに厳しく追及するのです。
責めは、己が身で贖うべし!
そう言って青年は体当たりで道犬の体を破壊してしまったのでした!!

青年はこう呼ばれていました。
真田信繁、と。
どうやらこの青年は、あの真田幸村のようです!
猛将と名高い幸村が現れたことに驚く一同ではありますが、幸村は道犬と違い、仲間を殺しちまって悪かったが、こっちも門番を片付けたからチャラにしてくれないか、と持ち掛けてくるなど、少なくとも話せる相手ではあるようです。
そんな彼にこの逆天城に来た理由を聞かれると、タリナはここにやってきた理由、そして……死人憑きの力を借りるための策を明かしたのです!!
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このタリナが、逆天城の主、豊臣秀頼公に嫁ぐために来たのだ。
その上でそなた達「死人憑き」の力を借り、夷狄どもの日本への侵略を食い止めるのだ!!


というわけで、タリナと幸村が出会った本作。
この後物語の全体像が描かれつつ、早速バイオレンスバトルが始まり長良ストーリーが展開していくことになるのです!
どんどんと登場するキャラクターは、大野治長・治房兄弟、片桐且元、加藤清正、福島正則、大谷吉継、フランシスコ・ザビエルと作中でも過去の人物である武将たち!
そして、そんな彼らに加えてさらに大久保利通や西郷隆盛、桂小五郎に高杉晋作と言ったこの時代のビッグネームがガンガン登場し、それぞれの目的に向かって動いていくのです!!
もともと強烈なキャラクターを生み出し続けていた西条先生ですから、登場する歴史上の人物もそれはもう強烈なキャラ付けがされております。
果たしてこの西条節全開のキャラクターたちがどのようなバトルを繰り広げていくのか?
負けじと大勢登場する女性キャラも、お色気シーンはもちろんのこと、いつだれが死んでもかしくないストーリーの犠牲者となるかならないかという部分も気になるでしょう!
一体どんな展開になり、どう決着するのか?
全く予測不能の本作、これから先も見守るしかなさそうですね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!