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今回紹介いたしますのはこちら。

「孔雀王ライジング」第7巻 荻野真先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。

さて、退魔修行編が終わり、再び裏高野に帰ってきた孔雀。
ですが、流鳥が裏高野を去り、過激なえを持つ武闘派の日光が現れるなど、様々な問題も起こってしまいました。
果たして今巻ではどんな事件が起きるのでしょうか?


孔雀は、持国天を守り本尊に持つ尼僧、刀蓮とともに宝生寺という尼寺に来ていました。
ですが孔雀、門前でいきなり入場を拒否されてしまいます。
ここは男子禁制の尼寺、たとえ犬であろうとも男は一切入れない!とと言うことです。
とはいえ、刀蓮も月読の命を受けて孔雀を連れてきているわけで、ここですごすごと引き下がっていくわけにもいきません。
孔雀は、修行を積んで偉いお坊さんなら男でも入れるって聞いたんだけど、と口出ししてみるのですが、門番の尼僧たちはそれも条件付きだと言います。
どれほど偉いお坊様でも、修行中の尼僧には心を惑わす障害になる、仮に入れたとしてもそれは色気もよくも枯れ果てた老僧だからだ、とのこと。
孔雀はもっとも女性に興味津々のエロガキだろう!と断固拒否の体勢を崩しません!!
それを聞いた孔雀は、涙ぐみ始めました。
酷いよ、僕はただ尼寺の仏様はみんな優しくて美しいって聞いたから、人目あって念仏を唱えれば死んだカーちゃんにも会えるような気がしたのに……
そう言いながら泣きじゃくっておりますと、門が開いて年配の尼僧が出てきました。
見ればまだ女人より母親が恋しい子供ではありませんか、その上無垢で正直そうな目をしている。
男と見れば犬でも嫌うあなた方は、まだまだ修行が足りませんね。
そう言って、二人を寺内に招き入れてくれたのでした。
……が、孔雀は誰にも見られていないと気付くや、ニタリといやらしい笑いを浮かべるのでした……!!

実は孔雀、ある隠れた目的もあってこの宝生寺に来ていました。
それは、孔雀の修業仲間の4人から聞いた、「秘仏」の話がもとになっています。
秘仏とは何らかの理由で一般には後悔されていない仏像のことなのですが、その原因の多くは「外見」にあるとと言うのです。
外見と言うのは、ズバリ言えば……エロス要素のため!!
実家が夜の商売を営んでいるという賽目によれば、そう言うお話もよく聞くのだとか。
たとえばかの有名な江ノ島の弁天さまは、全裸の上にあの部分までリアルに作ってあるだとか、チベット密教系の秘密仏(ヘールカ)は男女の仏が絡みまくっているだとか、我らが真言密法には、空海様の「アレ」付きの秘像があるのだとか……
孔雀が行く尼寺には、きっと尼さんたちどころか女の仏像も山ほどあるはず。
菩薩、観音、天女、鬼女……それ等の中には、外の連中には見せられない秘仏もあるはず!!
そう言われて、最近は食い気だけでなく色気のほうにも興味がわきまくりな孔雀は、それをひそかな目的に設定しちゃったのです!!

ともかく、この宝生寺が困っているのは事実です。
ここにいる尼僧はみな真言密法が使えるそうなのですが、そんな彼女たちだけでは荷が重いのだとか。
いざというときには、刀蓮以外の尼僧四天王も駆けつけるとのことで、年配尼僧は安心したようです。
そんな話をしているうちに、その問題の渦中にある日物のある建物にたどり着きました。
厳重な鍵をはずし、中に入ると……そこにはおびただしい数の秘仏が鎮座しております!
千年以上前から信心深い貴女たちから奉納、寄集された秘仏とのことで、どの仏様を見ても質が高く、そしてそれがこの数あるのですからまさに圧巻です!
そんな中目を光らせる孔雀ですが、刀蓮はにやりと笑って言うのです。
どうだ見つかったか、18禁の、エロいやつ!
目的はバレバレでした……!
うろたえまくる孔雀ですが、とりあえず死んだかーちゃんに似たきれいな優しい仏様を探して念仏を唱えようと思っていたんだ、と言い訳。
刀蓮は、月読に聞いたところ、孔雀はスケベで大食いの男の子だけど、その眼力は大したもので、仏様の衣の下の裸体を透かしてみられるし、その奥の仏像内部まで見渡せるらしいよと年配の尼僧に言うのですが……孔雀はさすがに否定!
僕に見えるのは、仏像の中に眠る仏の魂だけだ!と反論するのです。
だったらと年配の尼僧は一つ質問をしてきました。
ここにある仏像の中で、最も霊験あらたかな大秘仏はどれか、と。
真面目にやらないとただのエロガキ認定をされてしまうとのことで、真面目に探し始める孔雀。
すると、一体の仏像に目を止めました。
多分、これだね。
そう言う孔雀がさした仏像は……
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見事な地蔵菩薩の仏像でした。
たしかその仏像は、刀蓮から見ても息をのむ何かが感じられました。
もちろん問題は大正解。
疑って悪かったわねと謝ってくれた年配の尼僧ですが、孔雀はこの仏像がどうしても気になるようです。
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「これ」何?
この仏像の中にいるのは、仏の魂でも、人や動物の魂でもない、何か不思議なもの……
その言葉を、年配の尼僧は肯定するではありませんか。
しかも、幼いころの月読も同じことを言ったのだとか。
もしかしたら孔雀は、この裏高野の頂点である日光や月読と同じくらいの力があるのかもしれない。
年配の尼僧や刀蓮は、孔雀を見てそう予感するのでした。

その後、この仏像は普通の仏像ではないことが判明します。
彫刻仏と呼ばれるもので、モデルとなった人物のいる仏像なのだ、と。
この地蔵菩薩のモデルは、
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この宝生寺にいた、「冥道」と言う名の尼さん。
冥道とは、冥土の道で、その道を通れば二度とこの世には戻れない不帰路のことです。
実は孔雀はそこを通ったことがあるのですが……
ともかく、孔雀は狙われているこの像に張り付いて見張ることになりました。
狙っているのは当然六道会。
孔雀は、六道会の魔の手からこの仏像を守れるのでしょうか。
六道会の目的とは何なのでしょうか。
そして……孔雀は、この仏像のモデルとなった冥道の驚愕の真実を知ることになるのです!!


というわけで、新シリーズが開幕した本作。
このあと語られることとなる冥道の正体と、その物語ですが……初代孔雀王のほうにも密接にかかわってくるであろう彼女のその後が、どうなっていくのかと言うのも本作の軸の一つになっていきそうです!!
この冥道編は今巻のうちにいったん休止となり、これからも展開を続けていくことをにおわせながらまたまた新展開へ。
衝撃の事実が明らかになる冥道編に続く新シリーズは、孔雀たち修行僧組がメインとなるシリーズになる様子!!
シリーズが長くなってくると、主役たちにバンドやら女体化やらのいろいろなことをやらせたくなる癖がある(?)荻野先生ですが、今回の新展開もそんな香りが……
ですが物語はきっちり進んでいきますのでご安心を!!
六道会との戦いもさらに激しくなっていく予感を感じさせる新シリーズにも期待です!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!