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今回紹介いたしますのはこちら。

「団地ともお」第27巻 小田扉先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。

さて、底抜けにおバカで運動もいまいち、だけど時折なにやら深い言葉を吐いたりもする小学生、ともおとそのお友達や家族たちの日常を描いていく本作。
今巻でもともおを中心に事件のような事件でないようなことが巻き起こっていくわけですが、今回はそんな中でともおの恐るべき能力が明かされるお話を紹介したいと思います!!


いつもの公園に、ともおとその友達たちが集まっていました。
今回は、ともおが中心となってあるイベントのようなものを開いているようです。
ともおの口からは……糸が垂れています。
そしてその右手には、100円玉。
ともおは、友人たちにルールを説明し始めました。
話はシンプルだ、俺の隙をついてこのひもを引っ張るだけで100円。
ひもの先にはこの右下の奥歯、下から永久歯が生えてきているのに抜ける気配がない奥歯に結ばれている。
敗者から提示されたタイムリミットは、今日。
できれば歯医者に抜いてもらいたくはない。
……確かに麻酔の注射は相当痛いので、それを味わうくらいならひきぬいてしまおう!と考えるのもわからないではありません。
ですがそれなら最初から覚悟を決めて自分でやればいい気もします。
根津がそのことにつっこんでみるのですが、ともおは腕組みをしながらなぜか偉そうに、それができたら100円を出してまで頼まない、と答えるのです。
偉そうな弱虫だな、というよしのぶの感想も華麗にスルーしたともお、みんな遠慮なく引っ張りに来てくれ、とスタートの合図を送ろうとしたその瞬間のことです!
意地汚い系女子、ケリ子が開始の合図も待たずに背後から襲い掛かったのは!!
ところがともおは、その動きも完全に見切って攻撃を回避しました。
しかもいつもなら卑怯だと罵倒するところを、いいぞその調子だと称賛したではありませんか!!
その言葉をスタートの合図としたかのように、ゲームはスタートしました。
一斉に襲い掛かる、根津、吉本、ケリ子の手!
それをともおは
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目にもとまらぬ動きで完全にかわしてのけ、ダッシュで三人の包囲網を脱出!!
その脱出したさきには義信が待ち構えており、向かってくる智雄に手を伸ばすのですが……なんとともおはその手を、体操選手張りの宙返りで回避したのでした!
おまけにその着地際に、義信のズボンを下ろすといういたずらまでする余裕ぶり!!
一同はそんなともおの身のこなしに驚愕しました。
どちらかといえば運動音痴なはずのともおがこれだけの動きを見せるとは……
これもひとえに、常軌を逸した弱虫さ故。
その抜群の弱虫力を発揮し、ともおはなんとハンデを与えるとまで言い出しました。
今度は少し丈夫で長い糸に付け替え、その先にサッカーボールを巻き付け……
糸を引っ張るという、近距離での戦いだった今までのこのゲームが、このサッカーボールを蹴り飛ばすことによって決着がつく、さらに遠距離で勝負が決着するスタイルになったのです!!
完全にこちらをなめている超・弱虫。
こうまでされては一同も黙ってはいられません!!
まずは根津が思いっきりボールを蹴り飛ばしたのですが、そこで見せたともおの行動はまさに超人そのもの!!
けられた瞬間にジャンプ一番、空高く飛んで行ったはずのサッカーボールの上がり際をキャッチして決着を防いだのです!!
ともおの夢想は続きます。
ケリ子の無造作な手をリフティングしながら身をひねって回避、よしのぶと根津の波状攻撃も頭や肩を使ってのリフティングで華麗に回避。
ボールではなく、それをつないでいる糸に狙いをつけてがっしりとつかんだ吉本に対しては、冷静に脇をくすぐることでその手を離させるという頭脳プレイまで披露するのです!!
ともおはもはや手の付けられない域にまで達してしまった様子。
こうなったらもう奥の手を出すしかありません。
パワーに特化したよしのぶが背後からともおを羽交い絞めにし、動けなくなったところでケリ子がボールを持ってダッシュしたのです!!
が、ともおは肩の関節を外して羽交い絞めから脱出するというウルトラCを見せ、ケリ子を追走!
そのスピードはいつもとは段違いで、追いつかれてしまうのも時間の問題かと思われましたが……奥の手、はここから!!
自転車でより子が登場したのです!!
遠距離から自転車をこいできているより子はもうスピードが乗った状態!!
ケリ子はその自転車の前の籠にボールを投げ入れ、より子はそのまま走り去っていってしまうのです!!
いくら弱虫力を爆発させているともおとはいえ、さすがにスピードに乗った自転車に追いつけるはずもなし。
勝利を確信し、やった、ともら数より子だったのですが……その直後、とんでもないものを目の当たりにすることになってしまうのです!!
後方に消えていったかと思われたともおなのですが、いつの間にか
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追いついていたどころか、自転車のハンドルの上で倒立しているではありませんか!!
思わず急ブレーキをかけるより子。
その勢いで前方に投げ出されてしまうともおですが、今の彼にはそんなことは問題になりません。
空中で体をひねって体勢を整えるばかりか、通りすがりの子供が手を放して空に飛んで行ってしまいそうになっていた風船のひもに、自分の糸をひっかけて回収、優しく返してあげるという超スゴ技まで披露したのでした!!!

文句のつけようのない完敗です。
頽れる吉本達に向かって、なんとともおは手にしていた100円玉を渡してきました!
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タイムオーバーだ、付き合ってくれてありがとうな。
そう言って去っていくともお……
度重なる攻撃をすべて余裕でかわされ、その合間にいたずらや人助けまでされ……そのうえ、無力感にさいなまれる敗者への心づけまでしてくるとは。
こうまで見せつけられては、一同ももはや彼をほめたたえるしかないでしょう。
あんなに偉大な弱虫を見たことがない……
糸付きのボールを抱えたまま歯医者さんに向かうともおの姿は、いつになく雄々しく、堂々としています。
……その雄姿は、歯医者さんから漏れ聞こえてくる悲鳴とともに……夢のように消えてしまうわけですが!!


というわけで、覚醒したともおの限界を超えた力が垣間見えたお話を収録した今巻。
われらがともおの、隠されたハイスペックぶりが存分に楽しめます!!
このほかにもたくさんのエピソードが収録されているわけですが、なかでも目を引くのはオーラのないプロ野球選手、阿羅間選手の活躍だったり。
いままでも智雄の話にちらっと絡んで来たり、外国人助っ人選手との絡みなんかが描かれてきた彼ですが、今回はともおが全く絡まないある親子の人生の分岐にかかわってみたり、球界再編という大事に思いもよらない形で巻き込まれるお話があったりと、頑張っております!!
そのほかにも、より子の意外な趣味が明かされるお話に、ディープな趣味の多い委員長のさらなるディープな趣味が明かされるエピソードや、あのキャラの誕生の瞬間を描いたお話、日夜見えない死神と闘い続けていたはずの樫野さんに起きるある重大な変化といった、サブキャラ大活躍の一冊になっているのです!!


今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!