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今回紹介いたしますのはこちら。

「兄妹 少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿」第6巻 木々津克久先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

さて、十二人委員会の謎に迫りつつある蛍と圭一。
何らかの陰謀に巻き込まれてしまったかもしれない圭一の謎を追う二人は、真実に迫ることができるのでしょうか……?


郷里良子、という蛍と同じ高校の生徒がネット界隈で話題になっていました。
道で体調を崩してうずくまってしまっているおばあさんを、おんぶで家まで送り届けてあげる彼女。
そんな様子が画像になってネットで拡散され、そのまるで昭和の人情話のような光景と……彼女の持ち前の美貌によって話題になっているわけです。
それで済めば、まだよかったのでしょう。
問題はそれから。
ネットで彼女のことを知ったものの中からストーカー行為を行う輩が大勢現れ、彼女は身の危険を感じ始めたというのです。
そこで良子は、緑川を頼ってボディガードの依頼をした来たとのこと。
快く引き受けはした緑川ですが、大勢のストーカーに対して一人だけで守り抜くというのはさすがに無理というものでしょう。
そこで、蛍に助っ人を頼んできたのです。
ある日突然有名人になって、見も知らぬ男たちに追いかけまわされる。
それは確かに同情すべき事態ではあります。
が、緑川の依頼を手伝うというのは話が違うような……
と言っても蛍は困っている人がいると聞くと放ってはおけない体質。
ぼやきながらも、緑川の後をついていくのでした。

良子は困り果てた顔で二人を迎えました。
蛍のことを紹介する緑川に、手間をかけちゃってごめんと謝ってくる彼女。
そんな彼女の背後に、蛍は奇妙なものを見るのです。
彼女の体に、空から無数のひものようなものが伸びてつながっている……そんなものが。
気になった圭一が、そのひもを触ってみると、触れただけでそのひもはもろく崩れ落ちてしまいました。
ですが、すぐにそのひもは元通りに復元してしまうではありませんか!
ひもの先は……空間に溶け込んでいます。
それを見て、圭一はこのひもの正体をこう予測するのです。
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執着心、かもしれない。
彼女とつながりたいという思いが、距離を超えて彼女に絡みついているのかも……
そんなことを兄妹で話し合っているうちに、緑川は驚きの声を上げるのです。
緑川は良子がらみの画像や記事が上がったらすぐに通知されるようにスマートフォンにセットしていたのですが、そこで驚きの画像が挙げられていたのです。
それは……良子と、蛍と緑川が学校の廊下で会話をしているところ。
そう、まさに今その時の画像なのです!!
超望遠を使って、あっち側の廊下から撮影したんだろう、と緑川がそちらを指さすと、「見つかった、指さしてる」というコメント付きの画像がすぐにアップロードされて……
その恐ろしい状況に、顔面から血の気を引かせる良子。
こんなこと許されるのかと当然の疑問を提示する蛍に、緑川は言うのです。
許されないが、やる奴はやるんだ。
ネットリテラシーが問題になって規制ができ、逮捕される人間も出た。
それで悪用されることは少なくなったかもしれない。
でも、一人一人がちょっとしたこと、良かれと思ってやったことでも……数が圧倒的になれば、脅威になるんだ。

蛍は緑川に、例の情報のひっかけ方を教わり、情報を収集することに。
そして学校が終わった後は、交代でガードすることを約束していったん授業に戻りました。
その日の授業は体育、柔道です。
いつものようにクラスメイト達と仲良くやりながら、ひたすらこれからのことを考える蛍。
どれだけ守ろうと頑張っても、数の力や腕力にモノを言わせて来たらどうしようもない。
男手でもあれば、あるいは男と同等に渡り合える人材でもいれば……と周囲の様子をうかがっていますと、ちょうど柔道で名をはせる、ほかのクラスの巨体の女生徒が目に留まりました。
確かに彼女の腕力はとんでもないものがありますが……今日はちょっと嫌なことがあって機嫌が悪いから、と乱取りの相手を投げ飛ばしてストレスを解消するようなアレな人物でした。
標的にされた女生徒を見かねて、蛍が自分が相手すると進言しようとしたその時のことです。
ニコニコ、くにゃくにゃした印象の女生徒が、自分がやると彼女に持ち掛けたのは!
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彼女……黄多川もまた別のクラスの女生徒らしいのですが、学校の情報に強いはずの緑川もあまり印象にない生徒のようです。
そんな彼女が、巨体の女生徒に向かって行って……どうなるのでしょうか。
先ほどの犠牲者のように蹂躙されるのか、と思う間もなく、巨大の女生徒はむんずと黄多川の胸倉をつかみ、そのまま強引に引っ張って一本背負いのような形で投げ飛ばしたのです!!
ところがその瞬間です!
黄多川がにやりと笑ったかと思うと、背負われた状態のまま彼女の腕をとり、自分の体を逆向きに倒したのです!!
鈍い音が鳴り響き……悲鳴を上げたのは巨体の女生徒!!
慌てて先生が駆け寄って状況を見てみると、どうやら方が外れてしまっているようです!!
事情の説明を迫られた黄多川は、最初のようにフニャフニャしながら、よくわからない、気が付いたら投げられていて、変な落ち方をして、としらないの一点張り。
そのまま巨体の女性は運ばれていき、この件はうやむやになったのですが……

そのあと、昼休みに蛍は黄多川に接触します。
あれ、が偶然の産物ではないことを看破した蛍は、そのことをそっと彼女に耳打ち。
すると黄多川は、あのフニャフニャからは想像できない鋭い目つきで、なんだお前とにらみつけてきて……
蛍の目に狂いはなかったようです。
そんな強い黄多川ちゃんのため、いいお仕事があるんだよね。
そう言って、良子のボディガードにスカウトしたのです!!

これで守りは一層強固になりました。
ですが、これで安心できるような事態にはなりませんでした。
その理由は、
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緑川がいろいろ調べたところで引っかかってきた、怪情報……郷里良子を拉致する、と言うネットでの計画!
本当の本気かは言い切れないかもしれませんが……その決行日は、今日だったのです!!


というわけで、緑川発信ながら、いつものように兄とともに困っている人を助けるため事件に挑む蛍。
このエピソード自体は、兄の力を借りながら、蛍の頭脳と行動力でトラブルを回避するという本作のスタンダードな事件のうちの一話と言ってもいいのですが、この新キャラクターの黄多川がこの後の物語で重大な位置を占めることとなるのです!
フニャフニャとした態度から一転して、鋭い目つきと身のこなしを見せる彼女。
どう見ても普通ではない彼女に、子の二面性の他にもある意外な事実が隠されていて……!!
この出会いをきっかけの一つとして、物語はクライマックスへ近づいていくことに!!
蛍と圭一の事件簿は、最後のページが間近に迫っているのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!