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今回紹介いたしますのはこちら。

「ダーウィンズゲーム」第9巻 FLIPFLOPs先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

さて、悪逆非道のエイスを完膚なきまでに叩き潰したカナメ達。
友人が犠牲になってしまったことから、カナメの中にあった甘さは消え、ダーウィンズゲーム自体に対する怒りもより強くなりました。
自身のクラン、サンセットレーベンズをさらに強化し、カナメは着々と目的へ向かって動き始めるのですが……


カナメは、オオサカエリアで大きな力を持っているクラン、西郷組を訪ねていました。
その目的は、協力関係を結ぶ、というもの。
関西圏に明るくないカナメは、西郷組と相互不可侵を軸にした協力関係を結ぶことで、関西地方の足掛かりを作ろうとしているようです。
が、素直に聞けばそれは、サンセットレーベンズの次なる目的が関西圏への進行だということを示しているようにしか思えません。
西郷組を収めるサイゴウタケシとアリサの兄妹も当然その提案が気に入らず……
カナメが完投でブイブイ言わせているのは聞いているが、それがこっちでも通用すると思ったら甘いんじゃないか!?
そう言ってどこからともなく現れた二人の黒服の男に拳銃を突き付けさせたのでした!!

ところがその時、カナメの姿はありません。
カナメの座っていた位置にあるのは……金属の筒……?
もちろんカナメは消えたわけではありません。
雪蘭の従者である士明との修行の日々のすえ開眼した、あらゆる武術の基本。
あらゆる武術は理と虚に従っている。
理とは構造と法則から導き出される必然の事。
虚とは決して力まず相手の隙を撃つこと。
鳥が飛ぶように、魚が躍るように、自らの身体を正確に操作し、水の流れが岩を避けるように相手の攻撃を避け、その隙をつく……
サイゴウが勝ち誇り、部下たちに銃を突き付けさせる指示を出したその満身から生まれる一瞬の隙をつき、カナメはその視線から外れる位置までジャンプしていました。
その場に残されていた金属の筒は……閃光弾!
カナメがいた場所に視線を集中させていたため、その閃光を思い切り浴びてしまったサイゴウ兄妹と黒服たち……
その強烈な光は、サングラスをしていても防ぎきれるものではありません!
一瞬ひるむそのわずかな隙間があれば、カナメには十分!!
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あっという間にサイゴウ兄を背後からとらえて壁を背にし、ナイフを首元につきつけるのでした!!

今のカナメには、命のやり取りをするダーウィンズゲームには弱点になってしまう「甘さ」はゼロ。
少しでもおかしな真似をすればこいつの首を掻き切る、という脅しも、ただの脅しではない説得力を持っています。
こうなればもうサイゴウは詰み。
大人しく降参するほかなく、落とし前をつける意味でもそちらの言う要求をのむと全面降伏をするのです。
が、カナメはそんな金なり、手下にしたいなり、クラン戦全国制覇なりというもろもろに興味がありません。
サンセットレーベンズの目的は……ダーウィンズゲームのクリアなのですから!!
とはいえこのゲームのクリアというのは、条件もわかりませんし、そもそもクリアという概念があるのかすらわからないのです。
素直にそのことを突っ込むサイゴウですが、カナメはもうそのことに関して確信することがありました。
まずカナメはゲームマスターにゲームクリアがあることを直接聞いています。
クリア条件も、すでにレインがほぼ解明しているのです。
ゲームのシステム設計と今までの傾向、それらをレインの能力を使って倫理解析して見えてきたのは……
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クラスA1のプレイヤーが出現すると、ゲームクリア条件が提示される、という結論でした!
世界全土を見ても、Aクラスにいるプレイヤーは数えるほど、
日本エリアだけなら現状では8人しかいません。
さらにA4クラスからA3クラスに上がるには、ゲーム開始からB1クラスに上がるまでと同等のポイントが必要になるという途方もないポイントが必要とされるのです!!
A1クラスに上がるためのポイントを稼ぐためすぐに思いつくのは、高ランクのプレイヤーたちのポイントをごっそり持っていくこと。
ですがAランクプレイヤーはほとんど常時不意の対戦を拒否するアイテムを使用していますし、だからと言ってBランクプレイヤーを倒してもランクアップの1%強のポイント、Cランクプレイヤーに至っては0.3%のポイントしか得られません。
命のやり取りをするゲームで、そんなにコツコツとポイントをためる悠長な時間などないわけで……
そこでカナメが提示したのは、時折開催される「イベント」でいろいろなクランと協力し、がっぽりとポイントを稼ぐこと!!
これならば、プレイヤー同士で争うよりもよっぽど安全に、それも大量にポイントを手にすることができるのです!!
そこまでしっかりとしたビジョンを見せつけられれば、サイゴウもその先を見てみたくなってきて……!
サンセットレーベンズと西郷組の協力関係は、無駄な血を流すことなく成立することとなったのでした。

その帰り道。
士明の運転する車に乗り、帰路を急いでいたカナメの携帯が着信を示すメロディを奏でました。
その電話はリュージからのものでした。
リュージが指揮をとっていた作戦も無事に成功したとのことで、お互いの成果を確認しあい、明日アジトで落ち合う約束をして電話は切られました。
が、その直後、入れ替わるようにすぐ携帯にメールが届きました。
確認してみるとそれは……このタイミングでの、イベント開始の告知!!
待ち望んでいたイベントに笑みを浮かべるカナメではありますが……その開始時間が問題です。
9月26日、午前0時スタート。
そして今は、9月25日、午後11時59分30秒。
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告知から30秒後に、このゲームは開幕するのです!!


というわけで、ダーウィンズゲームのクリアの条件が見えてきた今巻。
この後物語はこのイベント、ハンティングゲーム編に入っていくわけですが……
そこでまたカナメは困難な戦いを強いられることとなります。
今回のイベントの特殊な状況などもそうなのですが、何より今回はカナメに小銃を当てる上位ランカーも参加しているというのが一番の肝!!
しかもその上位ランカーだけではなく、日本に8人しかいないAランクンプレイヤーがほかにも参加していて、このゲームでポイントを荒稼ぎするというのはまた難しそう。
もちろん、無事生き延びるだけでも難しいでしょう……!
カナメの目的であるゲームクリアの道はまだまだはるか先。
さらにその道のりを邪魔しようとするものも少なくなく……
これからも激闘が待っていそうです!!


今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!