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今回紹介いたしますのはこちら。

「リバースエッジ大川端探偵社」第7巻 作・ひじかた憂峰先生 画・たなか亜希夫先生 

日本文芸社さんのニチブンコミックスより刊行です。

さて、三人で仕事を行う大川端探偵社の物語である。
その探偵社の、虚実織り交ぜ依頼を終えていく日々の中のワンシーンを切り取っていく本作ですが、今巻では今まであまりなかった物騒な匂いのする事件が……?


静かな時間の流れる大川端探偵社。
村木はパソコンに向かって仕事を行っているようですが、メグミはファッション誌を呼んでこの服が欲しいだのと一人で盛り上がっていますし、所長もいつものようにスポーツ新聞を読んで時間を潰している始末。
今日もこのまま穏やかに時間は流れていくかと思われたのですが……
所長が不意に新聞を置き、メガネを外しました。
するとそれを合図にしたかのように、中年男性の来客がやってきたのです。
すっかり油断していたメグミたちに、依頼者だと声をかける所長。
猫耳カチューシャなんかをつけて緩み切っていた空気をすぐに収めて依頼者を招き入れました。

以来を聞く応接テーブルについた依頼者と村木と所長。
ですが、所長はなぜか何も言わず、険しい顔で依頼者の顔を見つめるばかり。
そして依頼者も所長を見つめ返していて……
村木は何かあるのかと所長に尋ねましたが、所長は失礼しましたと誤り、依頼者もこちらこそとこうべを垂れるばかり。
村木は何が起きているのかさっぱり理解できませんが……ともかく依頼人は依頼内容を明かし始めるのです。

メグミをして、よく見るとシブい顔をしているという依頼者の口から出たのはとんでもない言葉でした。
十数年前、コードネーム「百舌鳥」という殺し屋がいたそうです。
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……ころしや。
漫画か小説か、という耳を疑うようなワードに、ハトが豆鉄砲を喰らったかのような顔をする村木ですが、所長は全く動じず。
それどころか、私は多少裏事情に詳しく、聞いたことがある、と百舌鳥の話を始めるではありませんか。
なんでも、決して銃やナイフなどの武器を使用せず、確実にターゲットを仕留めて見せるのだとか。
証拠を残さず仕事を完遂させるため、警察は事故死や変死で片づけてしまうものの、裏の人間だけは百舌鳥の仕業だと知っている……
そんな裏社会を震撼させた百舌鳥は、あるとき突然活動を止めて引退した……
はずだったのです。
が、依頼者によれば、その百舌鳥が今千葉県のある有力者の用心棒にやとわれているというのです。
その噂の出どころは……インターネットなのだとか。
当然がせねたである可能性も捨てきれないでしょう。
ですがそれでも、依頼者はその噂を無視できなかったのです。
百舌鳥に会わせてほしい。
依頼者は、あらゆるミステリーを読み漁ってきたという彼、リアルな殺し屋というものにどうしても会ってみたい、という個人的目的を明かしてきました。
そして所長さんとは気心が知れそうだ、と視線をやると、所長もあなたに心を動かされました、とその依頼を快諾するのでした。

早速所長の「裏の情報網」を駆使し、早速インターネットの噂の裏をとりました。
千葉市の繁華街にいくつか貸しビルを持っている、半グレの成功例みたいな野郎が百舌鳥を飼っているらしい。
あっさりとそう言う所長ですが、いつもと違うのはそのあと。
普段通りならばこの後は村木にお任せになるところなのですが、なんと今回の依頼は自分が手掛けると言いだすではありませんか!
村木を信用していないわけではないが、今回の件に関しては役者不足ってとこだ、と笑う所長。
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なんだか子ども扱いされた気分になった村木はあからさまに機嫌の悪い顔になるのでした。

重い腰を上げただけあり、所長の調査はとんとん拍子に進んでいったようです。
ほどなくたどり着いたのは、真っ黒な長髪に口ひげを蓄えた、いかにもただものではないといった風貌のこわもての男。
その男に、破格のトレード料を払って雇いたいという男がいるから、と会う約束までしっかりと取りつけました。
ですが、依頼者と引き合わせて会うという場面にも村木は同席を許されず……

客のいないスナックで待ち構えているこわもての男。
そこに、所長と依頼者がやってきました。
そして社長はママさんにそれなりの金子を渡し、30分ほどの貸し切りをお願いしました。
店の中に三人きりになった後……いよいよ依頼者は口を開きます。
あんたが百舌鳥か?
だしぬけに問われ、男は機嫌を損ねた様子。
タメ口きくんじぇねえ、テメーから自己紹介しろや。
そうすごむ男に、依頼者はとんでもない自己紹介をしたのです。
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コードネーム・百舌鳥だ。
偽物を始末しに来た。


というわけで、かつてない荒事の匂いのする依頼を受けることとなった今巻。
殺し屋、という本作らしからぬ響きの依頼ながら、一枚皮をめくればそこに裏があるという本作らしいテーマもあるこのエピソードの他にも見どころは満天です!
3か月に一度現れ、数十人の飲んだくれを引き連れて豪遊する「皇帝」の正体を探る「皇帝」、有名芸能プロダクションのパーティーに必ず呼ばれるものの、その素性を誰も知らない男性の真実を暴く「あんた誰?」、20年前に毎日屋台の焼き鳥を2本食べて帰っていった少女の今を探る「焼き鳥JK」などの人探し・素性調査系のお話をメインに、9編を収録!
それらの物語のすべてが、本作らしい淡々と物語が進み、わずかな驚きとたっぷりの情感で彩られております!
そんなお話で最初から最後まで、じっくりと世界に浸って楽しめる一冊となっているのです!


今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!