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今回紹介いたしますのはこちら。

「刃牙道」第11巻 板垣恵介先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

さて、武蔵を中心にした戦いが過熱していく本作。
武蔵VS勇次郎という頂上決戦がついに巻き起こった前巻ですが、武蔵の奥の手が出されたと思った瞬間、あの男が乱入!!
戦いは中断され、形はどうあれ予定通り勇次郎を守護ることに成功したのでした。


ご老公のもとをある男が訪ねていました。
見上げるほどの巨体、筋骨隆々の体……闘争に不必要なものをおおよそすべて排除した風貌のその男は……ジャック・ハンマー!
ジャックの目的は当然、全格闘家垂涎のビッグネーム、武蔵との戦いの権利を求めるためです!
より大きなものが、より小さなものより強い。
そのシンプルな理論を極限まで突き詰め、度重なる骨延長手術、そして過剰なトレーニングと過剰なドーピングで作り上げたその体は今や、243センチ、201キロというにわかには想像しがたいレベルにまで達していました。
フィジカルの強さという部分では、おそらく全グラップラーの中でも屈指のレベルであろうジャック、最大トーナメント準優勝という実績も考えれば挑戦資格は十分といったところでしょう。
ですがご老公は、その対戦要求をすぐには受け入れないのです。
なぜなら、ジャックが武蔵に会うことを望まない男がいるから。
……そう、あの男、本部です!!

その事実を聞かされたときのジャックの表情は……ぽかんとした、というのがぴったりくる、戸惑いの表情でした。
本部以蔵のことは、ジャックももちろん本部のことは知っています。
実戦柔術の雄であり……自分たち、トップクラスのグラップラーに比べれば、格闘において何枚も劣る男だ、と。
ですがわからないのはなぜその本部が自分と武蔵の戦いにケチをつけるのか?です。
言っては何ですが、あの程度の男が自分が戦うことに異を唱えるのか……
そこでご老公は、ジャックにその疑問の答えを出す方法を突き付けます。
本部以蔵と戦ってみよ。
あの弱い、あの冴えない、あの年老いた、あのよくわからない本部以蔵。
まさしくこのわしも、おぬしも、あの本部以蔵なる人物の正体をまるでわかっていない!

二人が戦いの場所に選んだのは、夜の公園でした。
試合場でルールのある特別な「試合」ではない、行住坐臥これ戦いである本部の普段の「日常」。
普段の本部は、常に備えています。
剣か、匕首か、鎌か、手裏剣か、爆薬か、鎖か……
何が飛び出してくるかわかりません。
試合ではないからこそ、何を使ってもいい。
その時にこそ真価を発揮するのが、実戦武術家、本部以蔵なのです!
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並び立てばやはり、二人の体格の差は歴然。
ジャックは拳を鳴らしながら、いろいろ使うらしいな、むしろフェアだ、とその体格差、実力差を誇示。
対する本部は余裕の態度で、最近は愛煙家も肩身が狭くてな、と口に加えた煙草を指ではじいて捨て……ず、宙に舞った煙草を手で弾き飛ばし、ジャックの顔面へとばしたのです!!
煙草の火がともった先端は、的確にジャックの眼球へ向かっていきます!!
とっさに目を閉じ、顔を背けても間に合わず、ジャックは左目に煙草を受けてしまいました!
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そのわずかな隙をついて、本部は渾身のドロップキックをさく裂させた……のですが、本部の全体重をかけたその一撃は、ジャックをわずかによろけさせるのが精いっぱい。
ジャックは表情も変えず、すぐに体勢を整えてしまいました。
ゆっくりと左目をぬぐい、その状態を確認するジャック。
……やはりその目に負ったダメージは少なくなく、視力はほぼなし。
回復するには相応の時間が必要でしょう。
ですが、ジャックはこの不意打ちともいえる火のついた煙草の一撃を受けて怒るどころか、むしろ笑みさえも浮かべるではありませんか。
そう言う戦いだ。
ジャックはこの煙草からのドロップキックで、ようやくすべてを理解したのです。
これはよーいドンで開始する競技などではなく、合図すら必要としない闘争なのだということを!!
ジャックは口角を釣り上げたまま、上着を脱ぎ始めました。
……言いなおさなければいけないようです。
ジャックはまだこの戦いのすべてを理解したわけではありませんでした。
上着を脱ごうと後ろ手を回したその瞬間、本部が木刀でジャックに襲い掛かったのです!!
迎え撃とうとしても、脱ぎ掛けた上着が邪魔をして腕を振ることのできないジャック!!
そのまま本部は木刀でジャックの両すねを強打しました!!
服が破れ、肉がえぐれるその一撃に、ジャックはたまらず声にならない声を上げて両ひざをついてしまいます。
本部はその前に悠然と立ち、これでもまだでかいのだな、と漏らし……
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ジャックの脳天を木刀で思い切り打ち付けたのでした!!


というわけで始まった本部VSジャック。
本作の誰もが対戦を熱望する武蔵ですが、武蔵の剣は誰が相手であろうともその命を奪ってしまいかねない危険極まりないもの。
それでも戦いたいとグラップラーたちは覚悟を決めているわけですが、そうは行かないという立場なのが本部なわけです。
近代格闘界の宝ともいえる、ジャック達トップグラップラーを死なせないために、守護る!!
本部の選んだその方法が、挑戦者たちを武蔵と同じ土俵の武器使用が当然というルール無用の戦いで、たたき伏せるというものなわけです!!
烈に関しては、郭の妨害によって守護りきることができませんでしたが、今回のジャック戦は横槍を入れる相手はいません。
正直今までのシリーズでは、解説アンド驚き役のおじさんでしかなかった本部ですが、ここにきてその真価が発揮されてきています。
なんでもありの場で一対一。
大物中の大物であるジャックにも、その実戦柔術がさく裂するのでしょうか!?
それとも、負けるはずだったらしいアライJrにも勝利したジャックが格の違いを見せつけるのでしょうか!?
本部VSジャック、今巻で完全決着します!!

さらに本部VSガイアという異色のカードも収録した今巻は見どころ満点!
一定数は絶対いるはずの本部ファンの皆さま、彼の魅力爆発のガイア戦、ジャック戦を見逃す手はありませんよ!!


今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!