bs0
今回紹介いたしますのはこちら。

「忘却のサチコ」第6巻 阿部潤先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。

さて、フィアンセの俊吾さんに結婚式当日に逃げられる、という衝撃的な事件に、大きなトラウマを追ったサチコさん。
そんなショックをつかの間忘れられる、「おいしい食事」を求めながら、今日も今日とて仕事に精を出すのです。
様々な食事や、周囲の人たちとの交流などのおかげでそのトラウマもだいぶ薄れてきたかと思われてきた今巻なのですが……?


湯治場ってご存知ですか?
打ち合わせの席で、サチコさんの担当する作家、美酒乱先生がそうたずねてきました。
詳しいわけではなさそうですが、サチコさんもそのあたりはもちろん知っています。
温泉療養を目的に長期逗留する場所のことかと、と答えると、美酒乱先生はそうですそうですと頷きました。
岩手県の花巻に昔ながらの湯治場があるとのことで、そこを次の作品の舞台にしたい、と続ける美酒乱先生、そのまま饒舌に語っていきます。
花巻と言えばかの宮沢賢治が生まれ育った場所、主人公は宮沢賢治を敬愛しているSF作家で、賢治も訪れたというその湯治場に愛人と不倫旅行に行くのだが、実際に体験した方がいいと思う。
なぜならその湯治場というのが、今も自炊しながら逗留できるんだ、と。
一連の言葉を聞くと、うーんと考えだすサチコさん。
そもそもこの美酒乱先生の取材旅行のお誘い、本当の目的はサチコさんと一緒に二人きりの旅行をすること。
ちょっとお堅すぎるところはあるものの、サチコさんはそのお顔もスタイルも魅力的ですから、女性好きの美酒乱先生はなんとかして関係を持ちたい、とよこしまな思いを全開にして幾度となく取材にかこつけて誘っているのです。
が、じゃあ忙しい先生の代わりに自分が全部ばっちり取材してくる!とサチコさんが一人で行ってしまう、というのがいつものパターン。
今回もやっぱり無理か、などと美酒乱先生が考えておりますと……
bs1
サチコさん、それは確かに体験した方がよさそうだ!と答えたではありませんか!!
男女で湯治場に逗留する、という設定まで告げたのが功を奏したのでしょうか?
すぐに日程も決まり、来週の月曜日に東京駅で待ち合わせ、ととんとん拍子に話は進んでいきます!
美酒乱先生は鼻息荒く興奮!
おそらく部屋は一緒になるだろうし、なんといってもあそこの温泉は混浴!
もうその邪悪な欲望はとどまることを知らないのです!!

……が。
待ち合わせに現れた美酒乱先生、松葉づえをついて、左足にがっちりとギプスを巻いた状態ではありませんか。
おととい転んで骨を折ってしまった、とのこと。
まあリアルに当時が体験できる、盛岡駅の近くにおいしい冷麺のお店があるからそこに行ってから温泉宿に向かいましょう、と美酒乱先生は話を進めようとするのですが……
サチコさんは、わかりました、そのお店によってから湯治場に行ってきますからご安心を!と美酒乱先生の言葉を遮ります!!
おととい折れたばかりの足、1日2日の湯治で治るはずもありません。
担当編集者として、こんな状態の先生を遠くにお連れすることはできない!ときっぱり言い切りました!
さらに無理に行っても先生のお世話の比率が多くなり、大事な湯治体験がおろそかになってしまうかもしれない、と続けていくサチコさん。
……美酒乱先生は悟りました。
やっぱり、いつものパターンになるんだ、と。
もう、一人で行ってきてください。
悔し涙を浮かべながら、そう言うしかありませんでした。

現地についたサチコさん、早速話題の冷麺の店にやってきました。
盛岡には三大麺というものがありまして、そのうちの一つが依然サチコさんも体験したわんこそば。
そして「じゃじゃ麺」と、その冷麺です。
提供された冷麺は、
bs2
なるほど見るからにおいしそう!
つやつやと透明感ある美しい麺に驚きながら、まずスープを口に運びますと……牛テールからとったのか、うまみがギュッとつまっていながら上品な味が口に広がります。
麺はと言いますと、非常に強いコシがあるという第一印象の次に、モチモチとした食感がやってくる抜群のもの!
プレーンな味を楽しんだ後は、キムチや辛味を入れて辛さを調整。
酸味と辛味が味をさっぱりとさせ、どんどんと箸が進んでいくのです!

三大麺の名に恥じない味を堪能した後は、件の湯治場にやってきました。
案内されるまま中に入っていくのですが、なるほど雰囲気は別格。
まるで古い映画やドラマの中の世界のような風情の建物に加え、窓から見える雪景色もより一層ムードを高めてくれます。
通された部屋も、六畳の小さな部屋の中央にこたつが置いてある、昭和のおばあちゃんの部屋、と形容するべきお部屋でした。
その別世界ともいえる世界にサチコさんが驚いているうちに、美酒乱先生がキャンセルしたためにいらなくなった布団を片付ける、と案内してくれた方が布団を抱えて部屋の外へ出ていきました。
そして、大声で誰かを呼んで、これを持ってってくれ、とお願いしています。
しゅんじ、これ持ってってくれ。
……しゅんじ、と呼ばれたその男。
サチコさんは貴重品に関しての案内を受けていたり、あいさつしたりしていて気が付かなかったようですが……
どうみても
bs3
俊吾さんその人!!
雪の湯治場で、まさかのニアミス……!?
果たしてサチコさんと俊吾さんはこの後で会うことはあるのでしょうか!?
そして、失踪の原因を聞くことができるのでしょうか!!


というわけで、まさかの展開を迎える今巻。
俊吾さんと再会するときは最終回間近だろうと思われていたわけですが……まさかこの段階での再会。
本作の始まりは彼との別れで生まれたトラウマなわけですから、ここでそのトラウマが払拭されてしまえばお話が終わってしまいかねません!
とりあえずまだ本作が終わる気配は感じませんし、人違いというわけでもなさそうなこの展開、いったいどう決着をつけるのでしょうか!?
ご当地グルメ堪能マンガとなりかけていた本作に、とんでもない急展開が訪れました!!

もちろんそんなお食事マンガ的な部分もおろそかにはなっておりません。
お酒の後のお茶漬けや、台湾料理というちょっぴり変わったメニューを楽しむサチコさんですが、その他では例のご当地グルメ堪能パートが繰り広げられます!
今回向かうのは、前後編で送られる長野と、4話だてで描かれる二度目の香川!!
長野ではご当地感の強い「おやき」や、とりわけローカル色の強い「伊那ローメン」をお召し上がりになり、香川では再びうどん弾丸ツアーが繰り広げられるのです!!
新たな展開を迎えたり、新キャラが登場したりするお話もよろしいのですが、お食事シーンもばっちり楽しめますよ!!


今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!