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今回紹介いたしますのはこちら。

「ドリフターズ」第5巻 平野耕太先生 

少年画報社さんのYKコミックスより刊行です。

さて、土方歳三率いる国王軍戦法隊を退けることに成功した豊久たち。
ですがその戦いで、信長、与一とともに黒王に倒すべき敵として完全に認識されてしまいます。
迫りくる黒王侵攻の時を前に、豊久たちは……?


各地で人間、エルフ、ドワーフと言った種族たちが様々な動きを見せるなか、黒王がとうとう動き始めてしまいました。
門を開けよ、人間世界を非人世界に。
黒王のその言葉とともに巨大な門が開かれると、
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そこからものすごい数の人がいの兵士たちがあふれ出てきます。
その大群を率いるのは……エンズとしてこの世界にやってきて、黒王の部下となった明智光秀。
そしてその光秀に、ケンタウロスの騎兵をもらう、と声をかけてきたのは……義経でした。
義経の手腕は疑いようもないところ。
断るはずもなく、光秀は義経に騎兵隊の指揮を任せるのでした。
先行する部隊の大将は、土方歳三。
先行する部隊の役目、と言うのは様々あるのでしょうが、光秀はそのことに関しては何も言いません。
判断や作戦はすべて土方に任せる、後方の本軍を待ったりせず、思う存分やるように、とこちらも土方に全権をゆだねました。
注文を付けたのはただ一つ。
無理攻めは決してするな、と。
その指示に何も答えず進もうとする土方に、一人の男が語りかけてきました。
黒王の右腕ともいえる、ラスプーチンです。
ラスプーチンは、土方に「負傷兵は出すな」と言いつけました。
ですがそれは、決して兵の身を案じての言葉ではありません。
黒王は、負傷兵が誰であろうとすべて治します。
どんな雑兵でも、「治してしまう」。
ラスプーチンはそれをよく思っていないわけです。
彼らにとってチリや芥にも等しい木っ端ごときのために、国王の力を使わせるなどとんでもない。
そんな考えを持つラスプーチンは、土方にはっきりとこう言うのです。
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負傷して残るくらいなら、いっそ死なせろ。
土方はそんな言葉を吐くラスプーチンをにらみつけ……

アナスタシアは、後陣で備え、何かあったときに出陣するという役割を与えられていました。
人を一瞬でいてつかせる猛吹雪を巻き起こせるアナスタシアの力は、戦局を一変させる威力を持っています。
アナスタシア自身は、戦はあまり好きではない、熱いし、とけだるげに答えるばかりです。
ですがラスプーチンに与えられた役目が、敵の懐柔だということを聞くと、自らその行動に対しての疑問を投げかけてきました。
最終的に人間は皆殺しにするというのに、寝返るものなんているのか?
アナスタシアの質問に、ラスプーチンは答えます。
もちおんですとも。
人は処刑場の前に来るまで自分だけは助かると思うものです。
そして処刑の列の後に行くためならば、処刑人に媚を売り、他社を差し出すものなのです。
あなた自身、痛いほど身に染みたでしょうに。
……そうね。
アナスタシアはラスプーチンの言葉にうなずくのでした。

そこに、ジャンヌも姿を現します。
豊久に苦杯をなめさせられたジャンヌは、ドリフを焼かせろ、あのシマヅトヨヒサを焼かせろ!!と猛りくるっています!
この手で焼き尽くさねば、骨一片残さず灰にしなければ!と、その荒れ狂う劇場のままに暴れるのですが……
そんなジャンヌの背後に、いつの間にか黒王が現れたのです!
黒王はゆっくりと、力強く語ります。
ジャンヌ、焼けるとも、お前が焼くのだ、だから待つのだ。
惟任、蹂躙せよ。
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北の氷土から南の北壁まで、西の漠土から東の海原まで。
生まれる前の腹子から今際の際の老人まで、一人も残すな。
丁寧に几帳面に、確認し再確認し、草の根わけて。
一切の差別なく心を込めて、一人も残さず地上から人類を鏖殺せよ。
進軍を開始せよ。
黒王の命が発されました。
いよいよ、決戦が始まってしまうのです。
人類とエルフとドワーフの三種族と、コボルトやゴブリンに代表される人間ではない種族。
そのどちらがこの世界に住み続けるのか、という最後の決戦が。


というわけで、物語が大きく動き出す今巻。
ここまでで本作を動かす舞台の準備が整ったということなのでしょう、黒王は早くも総力戦を仕掛けてきたのです!!
この戦いは、ドリフターズVSエンズ、と言うだけのものではありません。
人類すべてを敵と見て、ただ一人すら残さず潰そうとする黒王の前には、ドリフターズだろうとエルフだろうとドワーフだろうと、全く関係はありません。
ただ、掃いて捨てるゴミにすぎないのです。
豊久を中心に、この世界に住まう様々な人々や、すっかり落ち着いたドリフターズすべてが団結して戦わなくてはならないところなのですが……
そううまくいかないのが世の常というもの。
長い間いがみ合ってきた人類とエルフとドワーフがそう簡単に手を組むことなどできるのか?
突然現れた得体のしれないドリフターズに運命を預けられるのか?
運命の時は刻一刻と近づいています……!

そして気になる様々な要素も描かれています。
菅野と多聞の動向、晴明の率いる十月機関、そして……黒王の正体についての謎。
大戦とともに進んでいくそれらからも目が離せません!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!