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今回紹介いたしますのはこちら。

「プリマックス」第5巻 原作・柴田ヨクサル先生 作画・蒼木雅彦先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。

さて、ワルコプロデュースによるPV撮影を終えた一同。
アクションありダンスあり、ワルコ作詞のとんでもない歌もありの、良くも悪くも盛りだくさんな内容に仕上がり、わずかながら世間に反響を起こすものに、なりはしたのですが……


PV撮影自体は無事終えたものの、結果はあまり芳しいものではありませんでした。
確かにネットを中心に話題にはなりました。
なりました、が、それは求めていた「カワイイ」と言う評判ではありません。
歌詞がひどいとか、ゾンビみたいに踊り続ける様子が気持ち悪いとか……珍獣のような扱いをされてしまったのです。
その動画の評判を見た3人は相当へこんでしまいました。
なにやらワルコには勝手に「プリマックス」と言うグループ名もつけられてしまっていますし……もう彼女抜きで普通にネットに動画をアップしようか、という話まで持ち上がってきます。
ですが三人の中で最もダメージを受けていたのは、ツバメでした。
何を考えたのか、ツバメは引っかかるものがある女性を見つけたら片っ端から「付き合ってください」とお願いするという奇行を始めたのです!!
もちろん見知らぬ男性からいきなりそんなことを言われた女性は、たいてい二つ返事でお断り
たまーに受け入れられることもあったのですが、結局それもいろいろあって結果として振られてしまことになるのです。
もはや「付き合ってください」から、「フラれる」と言うサイクルに、ツバメは快感すら感じていました!
その日もその投げ槍ナンパを行っていたのですが……その日は少し様子が違ったのです。

ツバメの耳に届いたのは、心臓の高鳴りでした。
自分の心臓の音かと錯覚するくらいの大きな音の出どころをたどっていくと、それは燕たちがよく利用しているハンバーガーショップの隅の席に腰かけている女性から鳴り響いているようです。
ツバメはとりあえずいつものやつをやろうと、あの……と声をかけますと、彼女はいきなり振り向いてこう言いました。
お願いします、と!
……いきなりすぎてさすがの燕も戸惑い、何が?と尋ねてしまいました。
彼女はほほを赤らめながら、オッケーです、私にも言ってください、と絞り出すように告げてきて……
ぴんと来ないツバメですが、モン太は例の「つきあって」じゃないか?と気が付いた様子。
心臓が高速に打ちすぎて寿命が尽きちゃう、と漏らす彼女にちょっと気圧されながらも、ツバメはいつもの
「つきあってください」をようやく告げますと、彼女は
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よろこんでーっ!!と大声で返事したのでした!!
しかもそれだけでは飽き足らず、鼻血を拭きだして机に倒れこむというリアクション付きで……
何とか意識を取り戻した彼女は、荒い息をつきながら「デートしたいな」、と息も絶え絶えにリクエスト。
ツバメは何も言えず、彼女とともに店を出ていくのでした。

お店を出ても彼女の興奮は収まらず、倒れそう、腕、組んでもらっていいですか?とツバメに尋ねてきます。
ですがそこでツバメは天然っぷりを発揮し、セルフの腕組みをしてこれかと言いだしやがりました。
彼女は何か言いたそうでしたが、それを言ったら彼女の心がどうにかなってしまうのでしょう。
それです、と自分もセルフ腕組みをしながら、また歩き始めたのですが……そこでツバメが感づきました。
こう?と彼女の腕をとって、並んで歩く二人でする例の腕組みをすると……
彼女はさらに顔を真っ赤にし、鼻血を拭きだして倒れそうになったのでした!!

その後、彼女のリクエストでカラオケボックスに入った二人。
そこで彼女はいきなりマイクを持ち、教えた覚えのないツバメの名前を呼んでから「小話」を話し始めました。
ある日、小学1年生の女の子が決定的な恋をしました。
その相手である男の子が何かをしてくれたわけではなく、ただ「好き」になったのです。
でも「好き」と言うのはそれだけですごいことで、毎日がただ楽しく。
小学校生活6年間は、その男の子が「好き」だということだけで生きているようなものでした。
小学校の卒業式に女の子は、自分に大きな「特典」をつけようと決心します……
……そこまで話して、ようやく彼女は自分が松野月子と言う名前で、ツバメと同じ小学校の同級生だったと明かしました。
そして彼女は、その小話をこう締めくくるのです。
女の子は、自分を追い込む「ツバメ断ち」のために、ツバメと違う中学校に行きました。
女の子は中学3年間を、1年で一生分、3年で人生を三回繰り返すほどの日々を過ごしました……
歌います。
いつの間にか彼女は、カラオケに一曲の歌を入力していました。
その曲は、どうやらアイドルグループの歌のようで、モニターにはそのアイドルが実際に踊っている映像が流れています。
そして彼女は映像と全く同じ踊りをしながら、歌うのです。
それを見たツバメはただただ驚くばかり。
彼女の歌はとんでもなく上手で、踊りも完璧……なのですが、それもそのはずです。
彼女は髪を頭の両サイドでまとめ、こう言ったのですから。
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この曲歌ってるの、私。
……髪形を変えた彼女は、映像の中のアイドルグループの、センターで歌っているアイドルそのまま……!
彼女はなんと、大人気アイドルグループ「クレッセントムーン」の中心メンバーだったのです!!
月子はこの日のために、トップアイドルになったのです!
そしてその勢いのまま彼女はツバメに告白します。
ツバメくんを好きになってから3785日かけて告白します。
ツバメくんがずっと好きでした!!つきあってください!!!
そんな彼女の驚くほどの心のこもった告白に対し、ツバメは脊髄はん所のような素早さで返答しました!!
「無理」と……!!!
にわかには信じられないショックに、月子は白目をむいてしまいます。
その同様ぶりはおそらく普通の人には計り知れないものなのでしょうが……ツバメのお断りの言葉はまだ続いています。
すごいよ君、すごすぎ。
オレ、君ほど全然頑張ってないから。
だから頑張るよ俺、もっともっと頑張る。
君はすごすぎるから、俺は
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君に勝つ!!


というわけ、トップアイドルとまさかの邂逅を果たしたツバメ。
まさかダメであることを前提にした付き合ってくださいの連発が受け入れられ、相手が誰もがうらやむトップアイドルだったとは思いもよらなかったところでしょう!
ましてやそれをノータイムで断り、戦う相手として認識してしまうとは、お釈迦様でも知らぬところのはず!!
一体この後ツバメと月子の関係はどうなっていっちゃうのでしょうか!?

月子の登場で、本作における「ラスボス」的な存在が明示されたといってもいいでしょう。
カワイイの頂点であるカワイイの星は、クレッセントムーンを超えた先にある……少なくともツバメはそう考えたわけです。
モン太もおそらくそれに賛同するでしょう。
竹雄もなんだかんだ好きですから付き合ってくれそうですし、ワルコも動機は不純とはいえ協力してくれるはず。
ですが、その4人が今まで以上に頑張ったとしても、頂点と言うのは遥はるか遠く。
クレッセントムーンと言う天高くにいるカワイイの頂に到達するには、今まで以上の何かがいることは街はいないのでしょうが……

さらに今巻ではあのキャラクターが再登場してさらにお話に絡んで来たり、とうとうワルコの本名や素性がわずかに明かされるなどの注目点も用意されています。
そしてプリマックスの知名度をガツンと上げるかもしれないとんでもないイベントも用意されていて、今巻も盛りだくさん!!
描き下ろしのおまけも合わせて、目の離せない内容になっていますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!