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今回紹介いたしますのはこちら。

「ゴールデンゴールド」第1巻 堀尾省太先生 

講談社さんのモーニングKCより刊行です。

さて、衝撃作「刻刻」を見事に完結させた堀尾先生の最新作となる本作。
淡々と、それでいて息詰まる緊迫の展開を連続させていた「刻刻」ですが、今巻でもそんな作風は健在!
その作風で描かれる新作はどのような内容になっているのでしょうか!?


早坂と及川は、アニメファン向けの有名チェーン店に来ていました。
及川は無類のアニメ好きらしく、離島に住んでいるにもかかわらず、わざわざその空気感を味わうためにわざわざここまでやってきています。
早坂は付き添いでくっついてきただけのようですが……偶然知り合いと鉢合わせしてしまいました。
が、早坂は視線があったにもかかわらず踵を返し、無視してしまうのです。
そんな態度を見て、知り合いはむっとして一緒に来ていた友人にそのことを報告しました。
今早坂いたわ、1年の途中まで2組にいて、学校に来なくなっていなくなったやつ。
相変わらずだったわ、絶対こっちに気づいてるのにシカト。
一瞬人を値踏みするような空気があるの。
嘘を見透かした気になって、自分だけが正直な人間だと思ってんだよ。
……そう言われていることを知ってか知らずか……早坂は表情一つ変えず、さっさと店を出て外で及川の買い物が終わるのを待つのでした。

作家の黒蓮と編集者は、とある島に向かう船に揺られています。
目指す島は「寧島」という小さな離島。
そこには「福の神が立ち寄った」と言う言い伝えなんかはあるものの、基本的には観光なんかにも縁のない、十人以外はこのんで寄り付かないような島のようです。
宿泊する宿に予約の電話を入れたところ、「え?泊まるんですか?」と言う反応が返ってきたところからも、その寂れっぷりがうかがえましょう。
ですが黒蓮が求めているのはその寂れっぷりなのです。
都会しか知らない女が閉鎖的な離島に嫁いで悪戦苦闘。
そんな新作を構想している黒蓮、「よそ者とすれ違えば何者だと目で追う」「よそ者に話しかけられた時の雰囲気」「弛緩の中に潜む緊張感」……そんなものを実際に体験するためにやってきたのです!!
そんな黒蓮と編集者の乗る船には、先ほどの早坂と及川も乗っていました。
取材の一環に早速話しかけてみる黒蓮ですが、あいさつする及川に対して、早坂は例の性格を発揮し、及川の腕を引いてその場から離れてしまうではありませんか。
なんかバカにしてた、と逃げた理由を明かす早坂ですが、及川はあれだけでなんでわかるんだ、と突っ込みます。
早坂ってこうこういったらボッチになりそうで怖い、と続ける及川に、早坂は……ほほを染めながら、そうなったら毎日及川の机に押しかけよう、とちょっぴり大胆な宣言をしたのです!
……が。
早坂のあからさまな気持ちに全く気が付かない及川、衝撃的なカミングアウトをするのです。
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俺、高校から大阪に引っ越す、と!
及川の父親は仕事で大阪に暮らしているそうなのですが、高校進学を機にそちらに移住しようと言うことになったようです。
住み慣れた島を離れるのは本来ならいろいろと葛藤するのでしょうが、その点に関して及川に迷いはありませんでした。
なにせ、引っ越し先は例のチェーン店が自転車で5分の場所にあるのですから!!

島につきました。
とんでもない現実に打ちのめされてしまった早坂でしたが、黒蓮たちもこの地で現実に直面することになりました。
なにせこの島の住人、フレンドリーに話しかけてきたり、ちょっとした待ち時間にお酒やらをふるまってくれたり、子供たちはすれ違えば元気よくあいさつしてきてくれたりと……想像していた「閉鎖的な離島の住民」と言う光景はかけらもなかったのですから!!
閉鎖的なのは自分たちだった、人間力の圧倒的な敗北だ、とげっそりしてしまう黒蓮……
そんな中、再び二人は早坂に出くわしました。
島についてから分かったのですが、早坂は二人が止まる宿の娘です。
お世話になるんだからもう一回声をかけてみよう、と言う編集者の提案で、再び早坂への接触にチャレンジすることになりました。
早坂の反応は、最初こそむっとした感じでしたが……黒蓮のほうが話しかけると、さっきの取り付く島もない感じとは全く違う、比較的打ち解けた態度を取るのです。
……まるで、初対面の時とは違い、黒蓮が自分の凝り固まった考えを知って反省したのをわかっているかのように。

黒蓮たちとやり取りしている合間に、早坂は奇妙なものを拾っていました。
海辺の岩場に転がっていた、小さな……
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福の神の置物。
福の神伝承のあるこの島では置物があること自体はそれほど珍しくはないのですが……早坂は何となくそれを持ち帰り、家で洗ってみます。
ですがどんな洗剤を使っても、何度洗っても、その置物のぬるぬるはとれません。
おまけに洗っている最中左腕が取れてしまうなど、もろくもあるので……これ以上洗うのはあきらめました。
荒い終わった後、早坂はそもそもなんでこんなものを持ち帰ったんだろう、と自分の行動を疑問に思います。
が、転校してこの島にやってきた早坂、この島に流れ着いた者同士の好ってところか、と自分を納得させるのでした。

翌日、島の神社にその置物を持っていき、これがどんなものなのか尋ねてみることにしました。
とはいえこの神社、神主が不在で時々ここを掃除するだけの管理人的な人がいるだけ。
管理人的な人もそこまで福の神の置物に詳しいわけでもなく、それが何なのかまではわかりません。
捨てるのもゲンが悪いというなら、そこら辺にある空いている祠にでも入れておくと良い、と適当なアドバイスをしてくるにとどまるのでした。
そう言えば、と早坂はその場を去る前に管理人のおじさんに聞いてみます。
福の神にお祈りして、お金持ちになった人っているの?と。
するとおじさんは、それはいない、神様なんて人間のために何かしてくれるもんじゃないから、福の神がいるとしたら、たぶんそれ自身が金や物を引き寄せるものなのだろう、それは大企業の社長みたいなもんで、やっぱり神様ではないな、とこれまた夢も希望もない返事が返ってくるのでした。

空いている祠をさんざん探す早坂ですが、結局茂みの中にうずもれた、壊れかけたものしか見つかりませんでした。
仕方ないとそこに置物を置いた早坂、せっかくですので、しゃがみこんで手を合わせて願い事もしておきました。
どうかここに、でっかいあのチェーン店がたちますように。
及川が引っ越したくないって言いだす位の、大阪店よりももっとずっとでっかいの。
……なんてね、と立ち上がる早坂。
するとどうしたことでしょう、今そこにおいたばかりのはずの置物が忽然と消えているではありませんか。
ふっと顔を上げますと、そこには
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子供くらいの大きさに大きくなったあの置物としか思えない「なにか」が立っているではありませんか!!
自分多れた左腕を右手に持ったそのなにか……ゆっくりと、歩いて……早坂へと迫ってくるのです!!
一体これは何なのでしょうか。
まさか本物の……「福の神」……?


というわけで、謎だらけの「福の神」らしきものをめぐる物語が描かれていく本作。
普通の漫画ならばここから、福の神が巻き起こすトラブル的なものにてんやわんやになりながらも楽しい日常を過ごしていく、と言った感じのお話になっていくことでしょう。
ですがそこは堀尾先生です。
現れた福の神のような形をしたそれは、確かに金や人をその場所に招くような力を持っていることがわかるのです、が。
その福の神の異常な部分がちらほらと見え隠れしていき、やがてそれはどんどんとおそらしさをはらみ始めていくのです!!
徐々に侵食をはじめる、福の神の力。
その力は、じっくりと、確実に島を蝕んでいくのです……!!

そして謎多き福の神が、異常な存在であるときが付けるのはある条件を満たしたものだけのようで。
その条件を満たしていた早坂と黒蓮、編集者がこのお話の中心になっていくようです。
じわじわと増していく恐怖……
福の神の目的は何なのか?
それに気が付いたとき、早坂たちはどうするのか……どうにかできるのか?
これから先も目が離せない展開になっていきそうです!!

ついでと言っては何ですが、早坂と及川の関係……刻刻には無かった恋愛要素も気になるところ。
お話にどう絡んでいくのかもそうですが、乙女心の揺らぐ早坂に燃えてみるのもよろしいのではないでしょうか!!
黒蓮先生もいいキャラしてますし、キャラクター面にも注目ですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!